第4話 魔王の山

勇者、戦士、魔法使いは、魔王が住むと言われている山の麓まで来た。


「はあっ!!」

勇者が剣を振ると、剣は青白い光の尾を引きながら、3匹のオークを一瞬にして両断した。

さらに、青白い光はそのまま二十メートルほど飛び、離れた所にいた魔物たちも両断してしまった。

「終わったな。」

戦士は剣を鞘に納めながら言った。

「すっ、凄い。

たった一振りで。。。」

それを見て、魔法使いの少女は、とても驚いた顔で言った。


3人はここまで、何度か魔物たちと戦ったが、戦闘と言えるようなものでは無かった。

勇者と戦士の力は、魔物たちの力よりも、遥かに強かったのだ。

「勇者が持っている剣は、世界最強だからな。

あの剣に勝る剣は、何処にも無い。」

戦士が少女を見ながら言った。

「それだけ、剣を使う者としての責任は、とても重大だけどね。」

勇者はそう言いながら、剣を鞘に納めた。


「さて、どうする?」

戦士が、山へと続いている登山道を見ながら、言った。

「そうだな。

お嬢さん、魔法で、魔物たちの足跡を辿る事はできるかな?」

勇者が魔法使いの少女を見ながら言うと、戦士も軽く頷いた。

「えっ、はい。

できますけど・・・?」

少女が不思議そうな顔で、勇者に言った。


「この山は、魔王が住むと言われている山だ。

だから、この近くに住む人たちが、そんな危険な山へ入るとは考えにくい。

となると、この登山道は、魔物たちが仕掛けたトラップということだ。」

勇者の代わりに戦士が、少女を見ながら言った。

「あっ、なるほど、そうですね。」

少女は目を輝かせ、明るい顔で戦士を見ながら言った。

「さらに、これだけ高く、険しい山だと、魔物といえども登るのは、とても大変になる。

魔物たちが、魔王が潜んでいる暗黒アンコク王城オウジョウへ、出入りするにも不便だ。」

戦士が続けて言うと、

「あっ、だから、暗黒王城へと続く、秘密の通路が何処かにあるはず、ってことですね。」

少女が嬉しそうに言った。

「そういうことだ。」

戦士が嬉しそうに、少女を見ながら言った。

勇者も嬉しそうに、ほほ笑みながら少女を見ていた。


少女が魔法を掛けると、魔物たちの足跡がクッキリと黄色く浮かび上がった。

色んな足跡が、あちらこちらに着いていたが、その中でも、多くの足跡が集まっている箇所があった。

3人はそこから、魔物たちの足跡を辿って行った。

しばらく進むと、その足跡は、大きな岩が連なっている崖の前で消えていた。

「どうやら、ここが秘密の通路への入口らしいけど。。。」

勇者は、大きな岩の前で消えている、魔物たちの足跡を見ながら言った。

「うーん、何処にも、岩が動きそうな仕掛けは、無さそうだな。」

戦士は岩や、周りの土などを調べながら言った。

「そうですね。。。」

そう言って魔法使いの少女が岩を触った時、それに気付いた。

「あっ、これ岩じゃないです。」

「えっ、そうなのか?」

戦士が驚いて、岩をガツガツと叩きながら聞いた。


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