第3話 疑念
翌朝3人が目を覚ますと、周囲に二十数体の、魔物の死体が転がっていた。
「うへぇー、大漁だな。」
戦士が驚いた顔で言った。
魔物たちは、昨夜、魔法使いの少女が仕掛けた、マジックトラップに掛かり、絶命していたのだ。
「そう、だな。。。」
勇者はそれを見て、少し不思議そうに言った。
「お嬢さん、ありがとう。
こんなに魔物をやっつけるなんて、スゴイな。」
戦士が、嬉しそうな笑顔で、少女を見ながら言った。
「いっ、いえ。
お役に立てて、嬉しいです。」
少女は赤い顔をして、しかし嬉しそうな笑顔で言った。
「あっ、あの、わたし、ちょっとおトイレへ。。。」
少女が恥ずかしそうに言った。
「ああ、気を付けてな。」
戦士はそう言うと、笑顔で、軽く少女に手を振った。
少女が茂みの中へと入って行くと、戦士は真剣な顔で勇者に聞いた。
「どうした、何か気になるのか?」
「ん、ああ。
これだけ多くの魔物を退治している事も驚きだが、ほら、魔物たちを見てくれ。
どの魔物も、苦しんだ顔をしていないんだ。」
「確かに、そうだな。。。
じゃあ、マジックトラップに触れた瞬間に絶命した、ってことか?」
「ああ、恐らく。」
「こんな、大きなオークまで。。。」
「今まで何人かの魔法使いと旅をしたが、ここまで強力なマジックトラップを仕掛けた者は居なかった。」
勇者がそう言った時、茂みの中から少女が戻って来た。
少女は両手で頭を押さえ、フラフラと歩きながら、何かを呟いていた。
「おい、どうした?
大丈夫か?」
慌てて戦士は少女に駆け寄ると、少女の体を持ち上げた。
「うっ、うううっ、あああっ。
あっ、頭が、痛い。
割れるように痛いの。」
少女はギュっと目を閉じ、涙を流しながら言った。
勇者は急いで近くの草を刈り、地面に敷き詰めると、その上に大きな布を被せ、簡易ベッドを作った。
戦士は、そっと簡易ベッドの上に少女を寝かせた。
「明るい、熱い炎が、怒りや憎しみの炎が。。。
いや、止めて。」
少女が苦しそうに言った。
「どうやら、記憶が戻り始めたようだ。」
勇者はそう言うと、少女の頭の痛みを和らげる魔法を掛けた。
すると、少女の顔が少し落ち着き、息が戻り始めた。
「はあっ、はあっ、あっ、ありがとう、ございます。」
少女は仰向けのまま、赤い顔で勇者と戦士を見ながら言った。
「いいって。
それより、大丈夫か?」
戦士が心配そうな顔で、少女を見ながら聞いた。
「はい、もう、痛みは治まりました。」
少女はそう言うと、ゆっくりと起き上がった。
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