第45話 佳境
「ミケレ、やってやったぞ」
「ありがとうございます。わかっていただけたでしょうか」
私は博士にエレメナの記憶を除くように頼み込んで作戦を立てていたのだった。
「ああ、おいエレメナ、お前は何者なんだ」
「ふん」
ここで旧エレメナが正体を現す。
「ここまでされるなんて」
「どういうことですか」
ああこっちのエレメナもいたわ。
「あなたは私の分身にすぎない」
「え?」
「させないよ」
博士は装置を暴発させて旧エレメナにあてた。
「いった!」
エレメナに手を出そうとした旧エレメナが吹っ飛んだ。
「私の特別製のロボはどうだエレメナ」
「なんですかそれは」
機械が連なってできたロボが目の前に出現した。
「何が起きていますのミケレさん」
「エレメナ氏は敵よ。私たちを利用しようとしていたの」
「そんな!」
「まことに信じられないね」
倒れる旧エレメナのことを知りみんな驚く。
「そろそろ私も黙っていられないかな」
その時エレメナの傍に見慣れた。声が聞こえるのだった。
「よくここに出てこられたわね」
「ふん、随分とやってくれたね私」
未来の私が初めてみんなの前に姿を現す。
「ミケレなのか?」
「ええ殿下、そうですよ」
「正確には未来の私です」
「どういうことなんだ」
「殿下は知る必要はありませんね」
「そろそろ行きますかね」
「そうしましょう」
「さよなら皆さん、また楽園で会いましょう」
「え?」
エレメナと未来の私が消えていった。
「これは不味いです。ミフリの元へ行ってしまったようですよ」
「今すぐ追いましょう!」
「ミフリの奴に式をさせるつもりなのか」
博士には頭があがらない。ここまでエレメナと未来の私の計画を崩すなんて、相当博士の話は決定打だったようね。
「どうしたんですか」
出口に向かった私たちは、真っ先に向かった博士が立ち往生していたことに気付いた。
「出口をふさがれたみたいだ。あいつら私たちを閉じ込めやがった」
「脱出方法は?」
「開発装置を使えば行けるが、かなり時間がかかる」
「全て想定詰みの策略のようでしたね」
「全な時間稼ぎだ」
「なんとも面白いことでした。自分の身の丈に合ったことをするべきですよね。本当に記憶の断片はどうします」
「まあ、放っておいても勝手にくるだろうね。それより干渉が来る、備えて」
「分かった」
「見えてきたね」
「うん?」
「あら? どうしたのエレメナ?」
「ミフリ様! 今から式を始めませんか?」
「え?」
「何を言っているの? 神秘結晶はミフリさんに渡しましたよ。覚醒をしなくてはいけませんのに」
「神秘結晶なら、すでに覚醒しましたよ」
「あなたは」
未来のミケレがローブをとる。
「ミケレさん! ということは既に達成したのですね」
「ええ、これを見てください」
未来のミケレは覚醒した神秘結晶をミフリに渡すのだった。
「これは! 流石です。他の三方はどこへ行きましたの」
「ああ今博士と一緒にラボにいる」
「そうですか」
「ミフリ様! 覚醒した神秘結晶は早くの進展を望んでいます。次なる進捗を」
「分かったわ、今すぐに始めるわ、式を」
「ミフリ? あなたはきっとすごい人になるわ」
「お母さま?」
「いつか多くの人に喜びを与える凄い存在になるって私は確信している」
「うん」
「お母さま?」
「ごめんなさいミフリ、私はもうここにはいられないの」
「どうして?」
「呼ばれてしまったわ」
「そんな、お母さまの分まで私頑張るね」
「お願いね」
「ありがとう」
「私は遅れをとるわけにはいかないの。お母さまの意思を引き継がないといけないのだから」
「ミフリ様もうすぐですね」
「ええ」
ミフリが手に持った神秘結晶が輝きだす。
「これよりこの私の祝福の儀を始める。全てのエネルギー供給を永遠に」
ミフリが神秘結晶を掲げて輝いた光は各地を照らして変化をもたらすのだった。
「これは、どういうこと? 周囲が花に覆われていく」
「ありがとうミフリ様、もうあなたは用済みよ」
「え?」
「やっと出れた」
「なんですかこれは? あたり一面に花畑が」
広がる花畑は既に未来の私たちの計画が始まったのだと気づくのだった。
「楽園計画」
「何か知っているのかミケレ」
「ええ、とにかくミフリさんが危険です」
「急ぎましょう」
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