第25話 呼び出し〜殿下サイド〜
「うん? これはなんだい」
「殿下どうしました?」
「エレメナか手紙が来たんだよ。案内状!?」
僕はミケレからの案内状を読み解くと、エレメナにその内容を話す。
「時計塔についてですか」
「ああ、どうやらミケレは僕たちを時計塔まで呼んでいるようだ」
「私も呼ばれているのですかね」
「そのようだね。エレメナも来てほしいそうだ」
「なるほど、いったいどうしたものでしょうね」
「そういえばエレメナはミケレのことをどう思っているんだ。ちょっと今まで聞いたことがなかったよね」
「私ですか? それはもう尊敬していますよ。公爵令嬢としての気品ある佇まいは本当に憧れてしまいます。ただちょっと羨ましすぎる部分もありますが」
「羨ましい!?」
「ええ、殿下と正式な形で、触れ合える、私にはできないことです」
「そうだよな。でも心配しないでエレメナ、君の気持ちはしっかりと僕が組んであげてるから」
「殿下!」
「さて、ミケレの件であるが、流石に一応は婚約者である僕が見逃すというわけにはいかない、一緒に来てくれるか」
「勿論ですよ。殿下のためなら私はどこへでもついていきます」
「よし来た! それじゃあ行くぞ」
「ここが時計塔か」
「そのようですね」
噂で名高い一部分に時空が歪む時計塔、これは中々に面白いものだね。
「これからどうすればよいのでしょう」
「確かやってほしいことは全てミケレが手紙に書いてくれたね」
「他のものには時計塔のことをいったのですか」
「いや、言うわけないでしょ。いろいろと手続きが面倒だからね」
「そうですか」
「それじゃあいくよ」
手紙の工程を踏むと時計が動き出した。
「さて行こうエレメナ! 正直こういうのを待っていたんじゃないか。僕としては非常にワクワクしているよ。この非日常感がたまらないんだよね」
「私もです。殿下とならどこへだっていけます」
互いに手を取り合おうとすると、扉の中から光が差し込む。僕たちは気が付けば旧王国、おとぎ話の世界に転移したのである。
「ここはいったい」
「私知っていますよ。書庫にあるおとぎ話にある町の外観にそっくりです」
「ほう、確かミケレも書物をよく読むといっていたが、エレメナも読むのだな」
「勿論ですよ。書はいい意味で私に想像力を提供しくれます。だからこそ私は書の記述を読み込み、歌へのインスピレーションとして昇華しているのです」
「それは面白い心意気だね。流石僕のエレメナだ」
「そんな、殿下におほめいただき光栄です」
「しかしどうしたものか、こっちの世界には僕たちの常識は通じないのではないか。なればこそ、早急にミケレと合流したいのだが」
「なら、やっぱり目指すのはあそこですかね」
「ああ、そうだろうミケレなら絶対あそこにいるはずだ」
僕たちは目の前にある壮大なお城に視線を移した。
長年一緒にいた勘としてわかるのである。
「しかしどうやって行きましょうか」
「そのまま訪ねてみようか」
「それは流石にね」
「そこのお二方」
次の瞬間何者かが話しかけてきた。
「え? 私たちですか」
「そうです、その姿はかなり高貴な身分であると見ました。もしかいて王宮の関係者の方ですか」
「当然だな」
流れに乗ってみる。
「よかったです、よろしければ私を案内してくれませんか」
「いいよ」
「おい、さっきから城から遠ざかってないか、こんな遠回りする必要あるのかよ」
「勿論ありませんよ。あなたたちにとってはね。自分たちにとってはあなた方をこっちの道に連れてくるときこそいいことがあるのです」
「殿下助けて」
「エレメナ!」
突然複数人の襲撃を受けることとなった。
「貴様!」
「ははは、引っかかったな、金品を置いてきな、お偉いさんどもよ」
「そんなことできるわけないだろ」
エレメナを人質に取られてかなりまずいことになった。その時だった。
「何をしているお前たち」
お城の衛兵が現れて、襲撃してきた人物たちはみな逃げ出したのであった。
「た、助かった」
「殿下!?」
衛兵の中に見慣れた風貌の人物がいた。僕たちがずっと探していた人物である。
「ミケレ!?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。