第9話 お腹が痛くても

 単純に

「明日は誰にでも来ない」

 と感じたのです。


 つらいこと、楽しいことがあったとき思うのです。

「彼はもうこんな体験ができないのだな…」

 と。


 つらいときのほうが思いますね。

「つらいけれど、嫌だけれど、めんどくさいし、本当に嫌だけれど、こんなことも、こんな経験も彼はもうできないんだな…」

 そう思うと、嫌だけれど経験しているだけでも、

「まあ、仕方ないな…しょうがないな…それだけでもいいことなのかな…」


 悟ってしまったわけではないですがそう思うのです。


 変な言い方ですが、

「おなかが痛くても」

「めげても」

「泣いても」

「つらくても」

「嫌でもきらいでも、まずくても、疲れても、

面白くなくても、肌がわなくても、

じゃまだけども、腹がたつけれども、不快でも…」

 それは生きているからなのだろうな…などと人柄にもなく思うのです。


 悟ったわけではないですよ、今だけかもしれません。

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