第8話 まだ来そう
不在…。
納得できたかというと、そうでもなかったです。
彼は眠っていましたし、棺も持ちました。車まで運びました。重かったです。
その後、焼鳥屋に行くとやはり僕は彼がいつも座っていたカウンターを避けてしまいます。
怖いのでもなく、そんなことは絶対ないのになんか気分的に
「ぼちぼち来そう」な感じがするのです。
常連客はなんとなくあのカウンターの端の席を避けています。
同じ感覚だと思いますね、怖いのではなく、
「まだ来そう」な感じなのです。
僕らの居心地の悪さがなくなるころ、こんな「まだ来そう」な感覚もなくなるのでしょうか。
異世界というか、転生先から僕らはみんな徐々に帰ってくるのでしょうね。
彼の不在はいろいろと感じさせてくれます。
特に
“誰にでも平等に「明日が来る」のではない”
五十過ぎになって今更何を言っているんだ…
と思われる方が多いと思いますが、すいません、あらためて思うのです。
いい歳ですので、過去に同い年や自分より若い知り合いや友人が亡くなった経験はあります。
三十代の時、ヨット部の後輩ががんで亡くなったさいにも、そこまでは思いませんでした。
自分も年をとり、子供ができ、会社というかお店でも責任がでてきて、きっと感受性が変わったのだと思います。
あと50年も生きられない、そんなこともあるのでしょう。
「明日が来ない」人もいる。
だから頑張って生きましょうとか、そんなことを書くつもりは毛頭ありません。
そんなできた人間ではないので…。
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