第2話 いいな~バブル
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彼は大学野球でいうところの東京六大学の一つを出て不動産会社に就職していました。
僕は薬局に今おりまして、その店長と毎月1回、情報交換兼ストレス解消をかねて行きつけの焼鳥屋で飲むのを非常に楽しみにしています。
これは奥さんも認めていることで、なにしろ地元だし晩くまで終電なんかも気にせず飲めるので本当に楽しい飲みでして今も継続しています。
地域の薬局で関係者ですから。
その焼鳥屋の常連客の一人が彼で、他のお客さんからも非常に可愛がられていました。
「堀さんの就職したころはバブルで…」
というのが彼のよく言う言葉で、
「どうだったのですか…就職活動のときに海外に行って拘束されたり、就職しても毎日飲みあるいていたのじゃないですか? 」
僕自身は彼が想像するようなおいしい思いはほとんどしていないけれど、バブル期の入社だとね、若い人たちはひとくくりにそう思うようです。
「俺はメーカーだよ、旅行やリゾート開発、システム関連や不動産、広告関連、ノンバンク、金融はそうゆう話は聞くけれど、あの頃人気のなかった給与も低いメーカー希望だよ」
「そうですか、でもバブルですよね」
まあバブルなのだけれど。
「会社の上司にもいるのですよ、堀さんと同じくらいの年齢の人が。もう残業もひどかったけれど毎日遊んでいたって…」
よくテレビで流れるのがジュリアナ東京とかのボディコンお姉さんの画像だからね、そればっかりと思うのも仕方ないけれど。
「残業はしたよ、しただけくれたよ、もうかっていたからね」
「そうでしょう、いいな~バブル」
羨ましいことなのだろうかといつも思っていました。
たまに土曜日にお店に行くと決まって競馬新聞を持っていて、
「堀さん、俺買ってきますから何にします」
と馬柱を見せてくれました。
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