第7話 また二人きりの時間だ
それから毎週土曜日の夕食後、小竹本屋に来ることになった。自制心から学校の勉強はあまり負担にならず、クラブ活動にもほとんど入らなかったんだ。作家になりたかったので、もっと本を読む時間がほしかった。
私は作家になりたい。以前より確信に満ちたものになったように思った。
前と違って、この新しい場所が、もう私にとって新しいものではなくなったんだ。ノルウェーから帰国したばかりの店長さんにも再会し、クリスティと私が友達になったことを知って、彼女は喜んでいた。
店長さんは、クリスティーの絵画について非常に好意的で、そこで美学の評論家たちと話しているうちに、ますます面白くなっていったと言った。それを聞いて、私はさらに興味が湧いた。
クリスティは、いつ私が入っても、挨拶もせず、目も合わせてくれない。でも、彼女が私のことを気にかけてくれているのはわかった。倉庫に行き本を整理することもあれば、机に向かって黙々と分析結果を書くこともあった。
私は話したかったが、今はその時ではないだろうと思っていた。隅っこで丸くなってじっくりと読む。見上げれば彼女がいる、そばにいるから十分だ。
「もうすぐ閉店時間だよ。」
彼女は初回と同じように、聳える本棚の前に立ち、微笑みながら私を見つめて、そいうことを言った。 しかし今、閉店とは、また二人きりの時間ということだと確信した。
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