第109話 死という結果


 何故だ。


 何故レンブラントの周囲にいる女性たちはレンブラントが俺の何倍も強いと思い疑わないのか。


 理解に苦しむ上に、実に腹立たしい。


 ずっと違うと、そうじゃないと、俺の方がレンブラントよりどう考えても強いし、実際に高等部最後の試合では俺はレンブラントに勝利しているじゃないかと、あれから何年経っているんだと、声に出して叫びたかった。


 そしてそれは今も変わらず叫びたい衝動に駆られているのだが、もう訂正する必要も、そしてこれからは俺よりもレンブラントの方が強いと言われる事も無くなるんだと思えば、それらの吐き出したい、吐き出して楽になりたい感情たちを申少しだけ俺の胸の中に押しとどめている事が出来る。


 ヴィクトリア王女様が『どうせ今からどちらの言い分が正しいのか目の前で証明されますわ』と言っていたように、まさにこれからどちらが正しいのかが目の前で証明されるのである。


 そう、レンブラントの死という結果でもってな。


 そして俺はレンブラントが死ぬと想像しただけで笑いが込み上げてくるのをグッと堪える。


 まだだ。 まだアイツが死んだわけではない。


 万が一に彼女たちの言う事が正しかった場合もあるので結果が分かるまでまだ気は抜けない。


 しかしながらそれでも万に一つの可能性しかない為アイツが死んだと仮定した近未来の妄想(サーシャとの甘い生活や、俺とサーシャとの子供と戯れる妄想)で頭の中が一杯になる。


 そんな期待を胸にローレンスの戦いを眺めるのであった。





 ったく、レヴィアのせいで面倒くさい仕事を押し付けられてしまったではないか。


 一度レヴィアにはこういう危険が伴うような事は勝手に参戦せず、王国騎士団や衛兵、宮廷魔術師に任せるよう一度キツく叱らなければならないだろう。


 レヴィア一人で問題が解決し、そして他の方に迷惑がかからないのであればいくらでもしていいとは思うのだが、今回のスタンピードに関しては実際にダグラスに迷惑をかけてしまっているのだから、ちゃんとダグラスに謝罪をさせた上でダメな事は駄目だと叱ってあげるのが弟子として迎え入れた師匠の役目であり、そして大人の役目でもあろう。


そんな事を思いながらダグラスがいる場所から二キロ程前でスタンピードを迎え撃つ。


「しかしながらすげー魔獣の量だな」


 とりあえず課金ガチャで手に入れた黒竜、ファフニールが放った一撃のお陰で魔獣たちがこちらまでやって来るのまだ時間的余裕がある為、魔獣がこちら側へ来るまで俺は設置系魔術を数百個くらい一気に設置していく。

 

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