第78話 その中には私も含まれる、

「いや、だったらわざわざ聞き直す必要があったんですかねっ!?」

「無いの。 そして先ほどの答えは当然娘と婚約するという事でよかったかの?」

「なんで質問内容にどんでん返しも何も無かったにも関わらず俺の答えがノーからイエスに反転しているという考えになるんですかねっ!?」

「わ、私の婚約をするのは嫌だということかしらっ!?」

「そりゃそうでしょうっ!? 将来結婚した場合妻が王族ってだけで色々と面倒事が増えるわ、パーティーとかにも呼ばれて行かなくてはならなくなるでしょうし………………あっ」


 そして俺は国王陛下と会話をしていたそのままのノリでヴィクトリア様と婚姻関係を結んだ場合のデメリットを言うのだが、そういえば最後俺に話しかけてきたのは女性のような声であったような事を思いだしたところで俺は言葉に詰まってしまう。


 そう、最後に俺へ話しかけてきたのは国王陛下ではなくヴィクトリア様であり、俺はそのヴィクトリア様に対して、ヴィクトリア様と婚姻関係を結んだ場合のデメリットを言ってしまった事にそこでようやっと気づいてしまった。


 そこからはヴィクトリアを宥めるので大変であった。





 遠くの方からダグラスが魔術を行使している音がこちらまで聞こえて来て大気を震わして通り過ぎていく。


「すげー……」


 そう呟いたのは誰なのか。


 とりあえず五キロ先くらいで魔獣と戦闘を繰り広げているのだが、流石現在の魔術師ランキング一位の実力は伊達ではないようである。


 それでも私はレンブラントの方が強いと思ってしまう。


 レンブラントなら、きっと今頃魔獣を殲滅して戻って来ているであろうし、あのように魔獣を一匹たりとも取りこぼし足りなんかしない。


「こっちに一匹魔獣が来るぞっ!! 目視で確認した感じだと右前足にダグラスさんがつけた傷がるようだが、だからと言って油断は禁物だぞっ!!」

「「「はいっ!!」」」


 私はと言うとダグラスが取りこぼした魔獣を兵士たちと一緒に迎え撃つ。


 今回のスタンピードの規模と魔獣の強さが今までのスタンピードと比べて魔獣の強さと規模が上回っているので私たち宮廷魔術師が今日あの招集がかかったのである。


 そのため今私の数キロ先では約半数の宮廷魔術師が草原で魔獣を討伐しているのが見える。


 ちなみに残り半分の宮廷魔術師たちは今現在休憩中であり、その中には私も含まれる。


 それでもこうして取りこぼした魔獣を対処しなければならないので気を休める時間などは無いに等しいので、これが長期間長引かない事を祈るばかりである

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