第62話 勘違いして捕まった同僚、

「そ、そうかしら……?」

「あぁ、そうだぞっ」


 そして俺の説明を聞いてレヴィアは満更でもなさそうな表情をしながら『えへえへ』と嬉しさをかくしきれないといっか感じで笑う。


「まったく、ご主人様はそうやって無意識に女性を恋の沼に引き摺り込むのだから恐ろしいわね。 今間違いなく恋の沼に落ちた音がしたわよ?」


 しかし俺のフォローを愛しの奴隷様は納得いかないのか変な言いがかりで俺を攻め始めるではないか。


 そもそもレヴィアみたいな若い女の子が、自分で言うのもなんだが俺みたいな無精ひげを生やし、そして自室としてつかっている教室は掃除ができておらず、タバコの臭いが染みついているような、そんな男性を異性として好き人るわけがないというのに、ここ最近の愛しの奴隷様は少しばかり神経質すぎるのでは? と思ってしまう。


 そもそもそうやって勘違いして捕まった同僚を俺は知っている。


「……どうせ今ご主人様は『俺みたいなくたびれたタバコ臭いオッサンがレヴィアみたいな今をトキメくわけがない』などと思っているのでしょう?」

「ど、どうしてそれが分かったっ?」

「いや、どうしてって、そう顔に書いてますからね? あと、私のご主人様がとことん唐変木かつ鈍感という事が分かりましたので、そんな女心の分からないご主人様の奴隷になれた事を私は今とても幸せな事であると噛みしめると共に、もし今現在ご主人様の奴隷になれていなかった場合を想像すると鈍感大魔王であるご主人様を攻略していかなければならないと思うとぞっとしてしまいますね。 そしてレヴィアやヴィクトリア王女様にサーシャさんたちはこの鈍感大魔王を攻略していかないと思うと不憫で不憫で……っ」


 なぜ俺は愛しの奴隷様にここまで言わなければならないのだろうか?


 そもそも俺の事を捕まえて女心がまったく分からない唐変木の鈍感大魔王などと言うとは、リーシャは俺の事をまったく分かっていないといっても過言ではないだろう。


 というかリーシャやサーシャ、そしてここ最近ではレヴィアまで俺の事を唐変木だ鈍感だなんだと言い始めているのだが、俺ほど女心が分かる男性もそうそういないだろう。


 むしろ女心が分かるからこそヴィクトリア王女様を弟子に取ったし、そのあとにレヴィアへフォローを入れたのではないか。


 いったい女性人たちは俺のどこを見て唐変木だ鈍感だと言っているのか、そしていかに俺が女性心を分かって言えるかを朝まで話し合う必要がありそうだ。


「そんなんだから唐変木で鈍感だと言われるのですよ……」


 そして愛しの奴隷様であるリーシャはそう呟くのであった。

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