第63話 え? 世界一だけど?、




「ねぇ聞いて聞いてっ!! 私の・・レンブラントが第四王女ヴィクトリア様の師匠になったんだってっ!!」

「えぇーっ!? 確かサーシャの好きな人だっけ? サーシャがいつもあいつの事を凄い凄いって言うからどんな奴か一度見たことあるけどなんかパッとしないくたびれた青年って感じで全然そんな風には見えなかったけど、本当に凄い人だったんだっ!? 意外なんだけどっ!?」


 本当は既に朝刊で読んで知っているのだが、わざと初めて知ったような感じで私は対応する。


 こういう小さな対応一つ一つが人付き合いを円滑にする方法でもあると思っているからである。


 もちろんそういう態度を取る相手は選ぶし、親しくない相手には塩対応と使い分けている。


 ちなみにダグラスは塩対応でレンブラントに関してはいけいけどんどん恋の猛アタック対応であるのだが、いかせんレンブラントが唐変木すぎて箸にも棒にも掛からない為ぶっちゃけもう襲っちゃって既成事実を作ってやろうかと思っているのは秘密である。


 そもそも奴隷であるダークエルフのリーシャとは親密な仲みたいであるのだが奴隷と主人との婚姻関係は認められていないため、リーシャが奴隷という立場で甘んじている内に私がレンブラントを搔っ攫てやろうという魂胆でもある。


 しかしながらレンブラントの事を悪く言われるのは例え仲のいい同僚であろうとも聞き流せない。


「はぁっ!? そんな風に思っていたんだっ!?」

「ごめんごめんっ! でもあの見た目では私がそう思っても仕方がいでしょう?」

「まぁ、それは確かにそうなんだけど……。 だからいつも清潔にしろって言ってんだけどねぇ。 でも身だしなみを良くしてアイツの事が好きだというライバルが増えるのも嫌だし、ただでさえアイツがヴィクトリア王女様の前に取った弟子がレンブラントを見る目がどう考えても恋する乙女だし……、悩ましい所よね」


 確かに、レンブラントの身だしなみの事を言われると私も強く出られない部分があるもののそれはそれで利点はある為、いやむしろ利点の方が大きいため本気で直せとも言えないもどかしさがあるのも事実である。


「それでそれで、ヴィクトリア王女様の師匠に選ばれたという事は魔術に関しては、それこそ宮廷魔術師レベルで腕が立つというのは分かったんだけど実際問題どれほどレンブラントさんは凄いの?」

「え? 世界一だけど?」

「うっわ、即答じゃない。 という事はあの絶色のダグラスさんよりも? まぁ、さすがにそんなことは無いか」

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