第45話 恐怖を覚えてしまう
「お師匠様っ! お師匠様っ! 言われた通り中級種である魔物を二十匹以上狩ってきました! 帰りの道中に襲ってきた魔獣が二匹程いたので全部で二十二匹となりましたが、どうでしょうかっ!?」
「お、おう。まだ小一時間程しか経っていないというのに………本当レヴィアは恐ろしい程才能があるな。もう俺が教える事など何一つも無いのではないか?」
「いえ、そんな事はありませんっ! 私はまだまだお師匠様の足元にも及ばないのでっ!ですが、そう言って頂けるととても嬉しく思いますっ!」
そして川の向こう岸から爆音と共に帰ってきたレヴィアは、その勢いのまま川を飛び越えて俺の元までやってくると、皮袋に入れた中級種の魔獣から取れる赤色をした魔石をキラッキラした目で俺へと見せてくる。
本当、コイツ犬だよな。
そもそも教えて直ぐに実践出来るって何だよ。
一応レヴィアには無理だとは思いつつも今日の日付が変わるまでに中級種の魔獣二十匹以上飼ってくる様にという課題を出したのだが、俺の予想と反してレヴィアはものの見事に小一時間程で課題を終わらして来やがったのである。
その勢いのまま褒めてやり、もう俺の元で弟子として師事を受ける事もあるまいと言ってみるのだが、普通に断られてしまった。
「しかし、これ程まで魔獣を見つけやすくなるとは思ってもみなかったですっ! 流石お師匠様ですっ!」
「ん、そ、そそそ、そうだな。」
そしてレヴィアが言うには俺が教えた方法を為したみたいであるのだが、俺自身は一体全体どの事であるかまったくもって思い出せない。
今日だって俺はここに着いて早々レヴィアに魔獣二十匹を狩ってこいとしか言っていないのだ。
「この前お師匠様が言っていた光の魔術を応用して作った魔術『サーマルカメラ』というものと、その原理や赤外線について教えて頂いてから、いつか絶対に実践形式としてお師匠様から試練が来ると思った私は、その日から必死に試行錯誤して先日ついにお師匠様の作られたオリジナル魔術である『サーマルカメラ』を習得出来たのですっ!その事を気付いたお師匠様が今日の実技演習を企画して頂いたんですよねっ! しかしながらこのお師匠様のオリジナル魔術である『サーマルカメラ』はとんでもない代物ですねっ!離れていても、どこに隠れようとも、暗闇であろうとも一発で分かるにですから、狙った獲物を取り逃すという事も無ければ一度上空から獲物を確認すればその獲物の位置情報から最短ルートで効率良く狩も出来てしまいますっ! 更にこの魔術は───」
あー………言ったかもしれない。
微粒子程残った俺のプライドが、コレならば流石の天才でも理解の範疇だろう?と悦に浸りながら語っていたかもしれない。
天才に恐怖を覚えてしまうのは仕方のない事であると、興奮しながら喋り続けるレヴィアを見て俺は思うのは仕方ないと俺は思う。
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