第43話
「おっはよおぉっ!!でござるぅっ、未央音殿っ!!」
その日の朝、志乃はいつものように騒がしく、荒々しく教室の扉を開けた。
「おぉ、志乃っちおはよ♪残念だけど冷迩と未央音ちゃんなら今日はまだ登校して来てないよ?」
「…ちっ……六炉殿だけでござるか…ちっ」
「うん、クソ態度悪いね?」
「これではわざわざ六炉殿に会いに来たみたいじゃないでござるか」
「まあまあ「ちっ」未央音ちゃんが来るまで「ちっ」俺が相手「ちっ」して「ちっ」あげるから「ちっ」そんな気を落とさずにさ?「ちっちっちっ」」
「俺もしかして耐久力無限だと思われてる?有限だからね?何もしてないのにドロップキック食らわせて来たりさ?冷迩も冷迩で新技思いついたとか言ってどんな技かと思ったら『六炉ガード』だよ?どういう事?盾なの?俺は?」
「あっはっは、クソワロでござるな」
「面白い事何一つ言ってないんですけど!!?」
今日も六炉が元気にツッコミを炸裂させていると教室の扉が開き、冷迩と未央音が二人揃って教室の中に入って来た。
「……あ、丁度来たね………って…ありゃ」
「うっひょお!!……未央音殿が来たでござるよ!!」
教室に入って来た二人を見た六炉は両手を握り締め喜ぶ志乃を尻目にその表情をひきつらせていた。
「……志乃っち、喜んでるとこ悪いけど多分今日あの二人喧嘩してるかも…」
「喧嘩?何を言ってるんでござるか…冷迩殿と未央音殿でござるよ?あの二人が喧嘩なんてする訳ないでござるよ、腐ってるのは体臭だけにしろでござる」
「辛辣過ぎる……えっ?てか何?俺臭いの?自滅したくなって来たんだけど」
「まぁ、それはご自由にしてもらって私は全然構わないでござるが……」
「おいっ」
「どうして二人が喧嘩しているなんて思うんでござるか?」
「いや、だって見てみなよ?二人の表情…」
「…むむむ」
六炉の言葉を聞いて二人を見ると、確かに冷迩と未央音は互いに反対の方に視線を向け、その表情も不機嫌そうで、ムスッとしている様子だった。
「た、確かに何かギスギスした空気を感じるでござるが………」
「でしょ?だから今日は志乃っちもなるべく大人しくして………」
「いやいや!!それでも喧嘩しているようになんて全然見えないでござるよ!!」
六炉の言っている事は勿論事実なのだが、それでも志乃は何故か到底二人が喧嘩しているとは思えなかった。
「まぁ、志乃っちが俺達に出会ったのは中学生になってからだったしまだ経験値って物が……ね?」
「け、経験値も何も………」
「ん?」
「だったらどうして二人は仲睦まじそうに手を繋いで登校しているんでござるか!!」
すると志乃は喧嘩しているにも関わらず、三本指で冷迩の指を控えめに掴む未央音を震える指で指差しながら六炉にそう言った。
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