第40話

「ふっ……わ、私だと言う証拠が何処に?」



「今からお前が持ってる未央音の写真を全部消「私ですわ」



すぐ自白するなこいつ。



「…だ、だって仕方ないじゃないですか!!…未央が……未央が可愛い過ぎるんですもの!!」



「いや、それはもう十分分かってるっつーの、でも何でお前が撮った写真を未央音が持ってんだよ……」



「……そ、それは…」



「あ!あれじゃない?ほら裁判の時未央音ちゃんと話してたのってもしかして未央音ちゃんにその写真を渡すって言ってたんじゃない?それで未央音ちゃんも一葉を無罪に……」



「六炉!!」



六炉がそこまで言いかけるとその視線だけで人を殺める事が出来そうな視線が六炉に向いた。



「あっ、はいすいません分かりました」



この短期間でお前等の力関係どうなったの?



「……そう……なのか?…未央音?」



「………え……と」



冷迩の問いかけに未央音は追い詰められたと言わんばかりにじりじりと後ろに下がりながらみるみると顔を赤らめて行った。



「裁判官が買収されてどうするんだよ、それにあんな写真ならいつでも撮れるだろ?」



「……ひぃ…写真撮るの…上手だったし……綺麗に…撮れてたし……それに…」



「それに?」



「……私に…取って……れーじが……見せてくれる…表情は……全部…大切……だから」



「…………!!」



「……な、なんだよそれ……今更だろ…?未央音はいつも俺の隣に居るんだから……そんなの…」



「……うん……そう……だけど……ふふっ…なんでろうね?」



その言葉を聞いて取り乱す冷迩を見た未央音は顔を赤くしたまま、口に手を当てていた。



「……あれあれー?顔赤くなってませんかねぇ?冷迩さん?」



普通にムカつくな!!



「思ったんでござるが、これ最初から皆で写真撮ってればいいものが撮れてたんじゃないでござるか?」



「…あら、いいですわねそれ、コンテストは終わってしまいましたが何ならこの後皆で写真を撮りましょうか」



「何より私が未央音殿の写真が欲しいでござる!!」



「わ、分かりましたわよ、後で未央に許可を貰ったら志乃にも何枚か渡しますから…」



「ぜ、全部がいいでござるよ!!」



「血渋きは任せろ」



「ちょっ!?血渋きって?いらないよ!?青春の一ページにそんな血生臭い演出!?ちょっ…そのチェーンソーどっから出し……うおぉっ!!?」



「ほら二人も遊んでないでいい所探して皆で写真撮るでござるよー」



「ちょっこれ遊んでるように見える!?こいつチェーンソー持ってんだけど!?何で皆平常心なの……うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ」



「おいおい血渋き担当が何処行くんだオラァァァァァァァァッッッ!!」




唐突に命を掛けた鬼ごっこを始めた二人は悲鳴とエンジン音を響かせながら教室を出て行った。



「全く騒がしいですわね……未央?」



続いて教室を出ようとした一葉はその場でスマホを見ている未央音に声を掛けた。



「……わ……何?…ひぃ」



すると未央音は先程と同じようにスマホを自分の後ろへ隠し、小首を傾げた。



「…何って…写真撮りに行きますわよ?」



「……ん……分かった……一緒に行こ?」



一葉の言葉に頷く未央音……



後ろに隠したスマホに未来からのメッセージが受信され、スマホの画面が光ると、その画面にはあの時放課後で偶然撮れた……いつも二人が幼なじみとして撮る写真より、少し特別な写真が写し出されていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る