第39話

「あれ?ってか六炉達の写真が無いな…」




自分達と志乃の写真を見つけた所でこのコンテストで一位を取りそうな一葉と一緒に写真を撮った六炉の写真がない事に疑問を抱いた。



「……いや…まぁ、それは……ね?」



「ん?何かあったのか?」



「いや、なんと言いますかその……写真をコンテストに投稿したらスマホとお前を灰にするぞと……言われましてね……はい」



「…お、おぉ」



もろとも葬ろうと、そういう訳だな?



ガシッ




「六炉?余計な事は言わなくてよろしいんですのよ?」



ポリポリと頬を掻く六炉の後ろから修羅も顔負けな覇気を纏いながら一葉は肩に手を置いた。



「ひいぃっ!!すいませんすいません!!」



撮影現場で一体何が……



「………でも……ちゃんと写真は…撮れたんだね…?」



「…うっ…み、未央…」



「…良かったね?……ひぃ…」



「…も、もう!……そう言う事は言わなくてよろしいですわ!!」



むにむに



「……ふぁ~」



一葉は恥ずかしがり屋だし確かにコンテストに応募出来なかったのは納得のいく結果かもしれない、でも良い写真を撮る事が出来る一葉の事だ……二人で相談して、時には言い争いもしながらも、やっぱり最後には良い写真が撮れたんじゃないだろうか?



そう思うとその写真を見れないのはちょっともどかしいような、勿体ないような気がする………



「…冷迩さん?何か言いたそうにしているようですが、頼まれてもあの写真は見せられませんわよ?」



「ん?いや、気にしなくていいよ、後で六炉に見せて貰うから」



「……六炉?分かってますわね?」



「み、見せない!見せないから!!」



これ以上詮索するのも野暮だし、そろそろやめておいてやるか……



「………えへへ…」



ふと、未央音に目を向けるとまたスマホを大事そうに両手に抱えながら画面を見て笑みを浮かべている。



「…………………」



スマホを勝手に覗くのは悪い気がするけど……最近ずっとスマホに夢中だから流石に心配になって来るな……



未央音が何か変なサイトでも見ていないか、それだけを確認する為に未央音の後ろから…余りまじまじと見ないように考慮しながらゆっくりとスマホの画面に目を向けた。



すると……



「………あれ?これ……俺達の写真?…」



画面に写っているのは普段俺達が学校で二人で居る時の、そんな日常を写した写真だった。



「……!……れーじ…!?」



未央音は俺の視線に気付くと一瞬で俺の方に振り向いてスマホを自分の後ろに隠した。



「……い…いつの間に…後ろに…」



「…い、いや、最近スマホばっかり見てるみたいだから少し心配になって……」



「…み……見た?」



「ん?あぁ、さっきの写真か?見えた…けど……」




そんなに隠すような事だろうか?



「冷迩は乙女心が分かってないねぇ」



「全くですわね」



すると同時に肩に手を置いて来る一葉と六炉……




気安いなこいつ等。



「ってか一葉?この写真撮ったのお前だろ?」



「ギクッ」



さっきの写真は俺と未央音が話している所を撮った物、つまり撮影者は他に居る事になる、この距離で俺達を撮れる人物はいつものメンバー以外にはいない……そしていつものメンバーで写真を撮っているのは……




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