第24話
ぽひっ……ぽひっ…
「これより……未央音ちゃん裁判を…開廷します…」
「…………………」
なんか始まった…
間の抜けた音と共に未央音は教卓の前に達何処から用意したのかもふもふの綿で出来てるであろうつけ髭と、これまた何処から取り出したのか、裁判官が法廷で使うハンマーを模した布と綿で作られた物を片手に教卓を叩いていた。
「恋氷路さん何してるの~?」
「それつけ髭?かわい~」
「……あ…ぅ……」
人気者の未央音が教卓の前に立てばそれは皆注目する訳で、それをきっかけに話し掛けて来た女子生徒に未央音は一度教卓に身を隠し、無視するのも悪いと思ったのか教卓の陰から控え目にその女子生徒達に向けて手を振っていた。
「未央音が可愛い」
「わ、分かってますわよそんな事、普段クールぶってるのに時々真顔で未央に対しての感情口から溢れさせるのやめて頂けます?心臓に悪いですわ」
未央音にも言われたなそれ、俺って他の奴から見たらそんなクールぶってるように見えるの?なんかちょっとショック。
「…れ……れーじ…来て……れーじ」
「はいはい、分かったよ」
全く何でわざわざ教卓の前に出て行ったんだか…
ぎゅ
教卓まで行くと未央音は俺の腕の袖を両手で掴み、もじもじしながら女子生徒達の方を見ていた。
「…えへへぇ…恋氷路さんお菓子食べる?」
「私のもあるよ?」
「…恋氷路さん甘い物大好きだよね?いっぱい食べていいよ?」
滅茶苦茶可愛がられてる。
もじもじする未央音にやられたのか三人は孫を前にした祖父母の様にでれでれとした表情を浮かべ…未央音にお菓子を差し出していた。
「…あ、ありがと……甘いもの好き…食べたい」
俺が来た事で平気になったのか、未央音はふにゃりと音がしそうな笑みを浮かべると女子生徒達が差し出したお菓子に手を伸ばした。
「それで未央音ちゃん裁判って?これから何かするの?」
「…あ……そうだった…被告人は……前に」
「も、もしかして私の事ですの?」
心当たりがあるであろう一葉は未央音から教卓を挟んで3メートル程距離を取った場所へと立った。
「れーじ……検事役ね」
「マジか」
「一葉殿、弁護役は私に任せるでござるよ!!」
「不安しかないのですけれど…」
「未央音ちゃん!!俺は何を??」
「……ろっくーは……なんか…ちょっと…その辺でいい子で…遊んでて?」
「子供かな?」
役も決まり、各々配置につくと、未央音ちゃん裁判なる物が開催された。
「被告人は……聞かれた事に…素直に答えて…下さい」
「わ、分かりましたわ」
「……あなたは…私を盗撮していたこと……この事実に…間違いはありませんか?」
「…はい!!間違いありませんわ!!」
曇りなき眼───!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます