言っておくけど盗撮って犯罪だからね?

第21話

「………さぶっ」



朝、眠さ故に視界がボヤけつつも、自分の口から一番に出て来たのはその一言だった。



寝惚け目でその原因を探ろうとしていると……




「……すー……すー………んゅ」



自分の目の前に飛び込んで来たのは安らか過ぎる程に可愛らしい寝息を立てている未央音の無防備な寝顔だった。



「…未央っ…!!?」



驚きと共に、未央音の言葉が頭を過る。



『私は朝起きて……れーじが隣に……居た時……』



『…さっき……扉が開いて……れーじの顔が見えた時……』



『…すごく……すごく……どきどきしたよ?』



「…………………」



あの時は母さんから呼ばれて、未央音の言葉に答える事が出来なかったけど……今、自分の胸に聞いてみると鼓動は速く、血の巡りによって自分の体温が上昇して行くのが分かる。



鼓動の音は誰かに聞こえてしまうんじゃないかと思う程大きくて、まるで自分の心臓の中で誰かが力一杯太鼓でも叩いているのかと錯覚する程だった。



当たり前だ、幼なじみと言う贔屓目を差し引いても、可愛いと確信を持って言える未央音が、寝息を感じる程の距離で同じ枕で安心しきっているように隣で警戒心の欠片も感じないくらいにすやすやと眠っているんだから……



でも、それは未央音が俺の事を信頼してくれているからで………その信頼を裏切らない為にも、俺がここで未央音に対して劣情を抱く訳には行かない。




柔らかそうで艶のある水滴が留まっていられない玉のような白い肌、長い睫毛……リップなど必要がないくらいに潤ったように見える唇………俺はこの誘惑を何とか耐え凌ぎ、寒さを感じた原因を探る事にした。



「全く……こいつは…」



未央音の格好を見るとまた肩の露出したニットを着て居る、こんなに肩を露出してたら春とは言えまだ朝は冷えるだろう。



見ると自分にも布団が掛かっていない。



大方布団に侵入しようと俺の部屋まで来て布団を捲ったものの眠気に耐えきれず、布団を掛ける前に眠りに落ちたと、そんな所だろうか。



実際未央音は寝惚け気味に俺の布団に侵入して来る事が多々あり、いざ起こすといつ来たのか覚えていないと言う事も多い。



このままでは風邪を引く、そう思って布団を掛けようとした時だった。



「………あれ」



何故か自分の手が全く動かない。



平行して段々と自分の両手に熱を帯びてゆくのを感じる。



「……ま……さか」



恐る恐る自分の掌の所在を確認しようと視線を下ろして行くと………




「……ん……すー……んにゃ」



「なっ!!?」



自分の両手の平は未央音の柔らかく弾力のある太ももに挟み込まれていた。



ふにゅん



その擬音が脳内で再生されると同時に……




「……………~~っっ……!!?」



冷迩は言葉にならない叫びを上げるのであった。



「……んにゃ……あ……れーじ……おはよ」



ぎゅっ



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