第8話
「そう言えば今日は志乃は居ないのか?」
未央音ファンクラブ『過激派』の……
「勿論来てますわよ?多分未央が来たのでその内………」
「未央音どのおぉぉぉあああああっ!!!」
噂をすればなんとやらとは良く言ったものだ、教室の扉を開け、声高々に猪突猛進で突っ込んでくる一人の女子が俺達四人の目には写し出されていた。
「えっ、ちょっ、何そのスピード感は……えっ?どうしてこっちに向かって突っ込んで来て……志乃っち止まっ(ry
ドッッッ
「ぐへぇっ!?」
刹那、無慈悲で無意味なドロップキックが身構える六炉に直撃。
ガッゴッドサッ
その一撃を見事に受けた六炉はバトルマンガでも余り見ない程地面に2~3バウンドしてぶっ飛んで行った。
「………………」
痛そう。
「あの状態でもきりもみ回転を加えてぶっ飛んで行く所に六炉なりの拘りを感じるな」
「芸術点が高いですわね」
「人の心配をしろよ!!」
日々様々な人物から弄られるが故にこう言った理不尽な奇襲を受ける事も多く、その耐久性は中々目を見張る物がある。
「おっはよおぉぉでござるうぅぅぅぅぅっっ」
大惨事を引き起こしておきながらその女子生徒はそんな事は気にも止めずに未央音の胸に飛び込んだ。
「…わっ……しぃ…おはよ」
「クンカクンカスゥゥゥゥゥゥゥゥゥハァァァァァァァァァァァァッ!!」
この吸引力よ。
「…志乃、相変わらず落ち着きがありませんわね貴女は……」
「カメラ片手に言っても説得力ないぞ一葉」
「う、うるさいですわね」
「…えへへ…未央音殿ぉ……未央音殿ぉ」
「……しぃ……くすぐったい」
未央音のファンクラブの一員にして『過激派』名前は
髪の毛は緑2と白8で足したようなエメラルドグリーンで前髪を束ねて上でまとめてゴムで止めている。
流石くノ一と言った所なのか発育が良く胸も大きい、身長は未央音より2cm程高く、一葉に比べると少し低い。
未央音が絡むとおかしくなってしまうのは一葉と同様で未央音に対する溺愛度も半端な物では無く、興奮度が高まり過ぎると平気でラインを越えようとして来る結構油断ならないアホの子だ。
「おはよう志乃」
「…うわ、居たんでござるか冷迩殿」
「人の顔見るなりうわとは失礼な奴だな」
今をときめく筈の女子校生の彼女はまるで大正時代の侍のような喋り方をしながら俺の顔を見るなり苦虫でも噛み潰したかのように不快感が滲み出ているようだった。
「ふんっ、男の人はすぐ人の胸ばかり見るから苦手でござる」
「俺がいつお前の胸を見たって?」
そんな有らぬ疑いを掛けられているものの多分人として嫌われている訳ではないんだとは思う、志乃とは幼なじみではないものの、中学の時からの付き合いで何だかんだこのメンバーで今まで仲良くして来た実績がある、口から時々嫌味が出るのは会ったばかりの時の名残で最初は出会い頭に手裏剣を投げつけられるわトラップを仕掛けられるわ散々だったが……
志乃も男子に対してそう言う先入観があるだけで、発育がいいと言うのも本来なら良い事だとは思う……でもその表情から、台詞から……これまでに思い当たるような嫌な経験をして来たのだろうか。
「……しぃ…落ち着いて……れーじは…そんな目で……しぃの事……見たりしないよ?」
「そうだぞ志乃」
すかさずフォローを入れてくれる未央音に腕を組み、強く頷く。
「…れーじは……太ももの方が…好きだし……」
ん?
「未央音?」
それは言わない約束じゃ………
「………あっ」
俺の顔に視線を向け、何か思い当たる節があったのか未央音は再び口を開いた。
「…違った……れーじは……脇『も』好きなんだった」
「未央音!?」
なんか『も』って言ってるけど、このまま未央音にフォローを任せて大丈夫と言える自信がなくなってきた。
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