第3話

 一猫暮らしを始めてから何日か経って、僕はまた海を見に来た。僕は何か視線を感じて海に近づいてみた。そしたら海の近くに魚の群れがあった。でも僕が近づいたらさーっと逃げてしまった。当たり前だけどね。でも一匹だけ逃げないでこっちを向いている。僕の事が怖くないのかな。僕はこの子を食べる気はさらさらない。興味があっただけだ。

 「こんにちは」

 僕は恐る恐る話しかけてみた。

 「こんにちはぼくはイワシのプラク。お母さんが将来食べ物に困らないようにつけてくれたんだ」

 と水面に顔を出しながら答えてくれた。

 「僕はさんま。僕は三男だからさんまだと思ってたけど、もしかしたら僕も君と同じなのかな⁉ぼく最近独り立ちしてまだ友達いないんだ。よかったら友達になろ!」

 プラクはこちらこそよろしくと言い、水しぶきを立てて喜んでくれた。

 今日僕にこの町初めての友達ができた。



 ぼくには最近友だちになったさんまという名前の猫がいる。さんまは最近悲しい顔をしているのだ。

 「どうしたの最近元気ないけど大丈夫?」

 「気づいてた?そうなんだよ。最近僕の大好きな兄ちゃんがいないの。まさか姉ちゃんたちのとこ行ってたりしたら…」

 「お姉ちゃんたちのところ?」

 「うん、僕が小さい時に姉二匹と兄一匹が母ちゃんに行っちゃだめって言われた所に行って帰ってこなかったんだ。ほんとどこ行っちゃったんだろう。」

 「そうだったんだ。もしかしたら…」

 僕には少し心当たりがあった。

 「プラク場所分かるの?」

 「ここをまっすぐ行ったところに猫がたくさんいる建物があるんだよね。もしかしたらそこかもしれない。」

「でも猫は、僕は泳げないんだ。兄ちゃんたちに会いたい。助けたいけど…」

 さんまの目には涙があふれていた。

「ちょっと待ってて!」

 ぼくははそう言って仲間の元へ駆け出した。考えるより先に身体が動いていた。

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