第2話 

 ある日、好奇心旺盛な一番上のねえねが二猫を連れて家を出て行ってしまった。そこは母猫に絶対行ってはいけないよと言われた所だった。僕と兄が止める間もなくねえね達は行ってしまった。その日、三匹は帰ってこなかった。

 翌朝。目が覚めると母ちゃんが泣いていた。母ちゃんはボロボロで寝ないでずっと探していたみたいだ。

「あそこにはたくさん猫がいる大きなおうちがあるの。人間は私たちを捕まえてそこの大きな家に入れられちゃうの。そこに行って帰ってきた猫を私は知らないわ。お父さんも連れていかれた猫を助けに行こうと行ったっきり帰ってこないの。あそこには絶対近づいちゃだめよ。」

 母ちゃんは泣きながら僕達に訴えた。

 それから僕たちは大きくなって母ちゃんのもとを離れることになった。これで兄ちゃんとも離れて一匹で暮らすことになる。一人で生きていくのは不安でさみしいけど、少し楽しみなところもある。だってもう自由にこの町を遊びまわれるからね。

 兄ちゃんと別れるとき、僕は初めて海を間近に見た。僕は毎日遠くから見ていた海が目の前に広まっていることに興奮して走って近づいた。

 「おい、まて」

 兄ちゃんに引き止められた。

 「あれには近づくな。俺はあれに近づいて死にかけたことがある。あれに入ると、息ができなくて苦しいんだ。それに息をしようともがいてもどんどん沈むし、本当にあれは…。思い出すだけで恐ろしい…‼」

 兄ちゃんの話を聞いても僕の興奮は冷めなかった。

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