第20話 夢を描くために重要なこと

内田涼くんが初めてアイドルになりたいと思ったのは、小学生の時に見た嵐のコンサートだった。

次に見たのは東方神起の歌う姿だった。

日本で活躍する2つのグループのアイドルの姿に感銘を受けたのだった。

いつかアイドルになることが、内田涼くんの夢になっていた。

そして、中学2年生の時に、日本の某有名アイドル事務所と韓国の事務所のオーディションに参加した。

その結果、日本の事務所は落ちて、韓国事務所は最終選考まで残ったが、落ちてしまった。

その時にもう自分の人生は終わりだと思ったのだった。

たった1回のチャンスをものにできないなら、この先も無理だろうとさえ思った。

そんな時に日本人が韓国でそして世界で活躍していたのを見て、勇気づけられた。

僕よりも年上な韓国で活躍していたユウタくんや高田健太くんを見て、また頑張ろうと思えた。

僕も韓国で羽ばたきたいと思ったんだ。

でも、昔の僕が今の僕を見たらきっと怒るだろうな。

だって、何もかも惰性で生きているから。

このままじゃアイドルの夢さえ消えてしまう気がする。

一体、夢を具現化するにはどうしたらいいのだろう。

迷った末に原点に戻ることにした。

そう、それはダンス部の顧問に会うことだった。

顧問の先生にアイドルになりたいことを話すと先生は意外なことを口にした。

『涼はそのアイドルになりたいんだろう。確かに、今のダンス部に涼みたいなダンスを踊る子はいない。涼はダンス部を私のせいでやめてしまった事を私は悔いている。だから、涼に言えるのは1つだけだ。涼、世界を見るためには世界を知るんだ。涼の武器を磨いて世界と戦うんだ。涼の得意なものを武器にするんだ。応援してるよ、涼のこと』

内田くんは、先生にありがとうございますと言って先生の言葉を忘れないようにメモしたのだった。

内田涼くんは自分の原点で何が今必要か考えた末に出した自分の武器がダンスだと再発見したのだった。

その為に何をするべきか、それはとにかく練習だった。

先生の言う『世界を見るためには世界を知ること』それに感銘を受けていた。

内田涼くんはその日から、ダンスの練習と韓国語の勉強を始めた。

年齢なんて関係ない。

やりたいことに突き進む、それが夢のために出来る大切な事だから。


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