第2章 生徒の気持ち

第19話 韓国に渡ってアイドルになりたい

小学生の時の文集で僕はこう書いていた。

『将来は世界で活躍できるアイドルになりたい』と。

それが僕の小さい頃からの夢だった。

だけど未だに夢を達成できないでいる。

小学生の頃からダンススクールに通い、中学生からはボイストレーニングに通い詰めていた。

そんな僕はもう高校2年生だ。

僕の名前は内田涼。

本当は中学生で韓国に渡るはずだった。

でも、最終選考で事務所オーディションに落ちて結局、韓国へは行けなかった。

高校なんてどこでも良かった。

ただダンスがしたかったから、ダンス部のある高校を選んで国清高校に来た。

高校の勉強とか友人作るとかどうでも良かった。

ただ高校はとりあえず通うものだった。

僕と知り合いになりたい人たちは昼食の僕の食事を見て、心配する。

ちゃんと食べろと昼食を分けてくれたり親切にしてくれたけど、僕にとってそれはうるさかった。

僕に構わないでほしいとすら思った。

そんな僕を心配するのは同級生だけじゃなくて、先生もそうだった。

保健室の先生は特に僕のことを心配していた。

体のことだけじゃなくて、心のことも心配していた。

僕の夢が韓国に渡ってアイドルになることだと聞くと花岡先生はすごく嬉しそうに、色紙を出してきて言った。

『ここにサインして。だって有名になったら凄いでしょ』

目を輝かす花岡先生の目に押されて僕は色紙にサインをした。

花岡先生の喜ぶ顔に僕はなんだかとてもいい感じがした。

僕は夢を叶える延長線で高校に通っている。

でも、国清高校に通って分かったのは個性出したらへんな目で見られることだった。

僕は高校1年生の時に、ダンス部への入部を決めたのだけど、2週間で退部したのだった。

理由は1つだけだった。

それは、僕1人が上手くてもダメだということだった。

他人に合わせて、息を揃えて動きも揃えるそれが重要だった。

1人で楽しく踊り散らかすなら、ダンス部じゃないところでやれと顧問は言ってきた。

僕はその言葉で、初めてダンスってつまらないと思った。

それから、僕は自堕落な生活をし始めた。

何もやる気が起こらず、でも韓国でアイドルを目指したい気持ちは変わらなかったから、糖質ダイエットは変わらずやっていたし運動もしていた。

ただ、ダンスからは離れていた。

そんな時に出会ったのが作詞作曲で自作曲を作ることだった。

僕はギター1本で曲を作り、YouTubeに上げた。

ただそれがバズることは残念ながらなかった。

1番再生回数が伸びた『ウィンク』でさえ、15万回だった。

ただ何が僕の運命を変えたかは分からないけれど、僕はある大手事務所からスカウトを受けた。

周りからしたら凄いことだって思うけど、僕にとっては残念で仕方なかった。

なぜなら、その事務所は日本の事務所だったからだ。

本当のことを言えば、韓国の事務所が良かった。

欲なんて出しちゃいけないと思ったけど、結局僕は日本の大手事務所のスカウトを断った。

それから、僕はやっぱり歌も必要だけどダンスもすることにした。

それから歌だけじゃなくて、カバー曲のダンスを載せることにした。

久しぶりのダンスで足をつったりしたけど、がむしゃらにそして繊細に動くダンスはとても気持ちの良いものだった。

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