第13話 昼休みの時間だけじゃ足りないよ

八木くんは図書室で借りた本を持って保健室へと帰って来た。

花岡先生は八木くんに言った。

『高野さんと話せた?高野さん、八木くんのこと色々考えてるようだったから』

八木くんは花岡先生に笑顔で言った。

『もちのろんです。なんていうか本当に友達になったんだなって思いました。僕は友達になって欲しいとは言いました。でも、芸能人と僕とじゃ友達なんて無理だろうなって思っていました。それが、叶うなんて信じられませんでした。高野さんは僕のことをちゃんと考えていて凄いなと思いました』

花岡先生は八木くんを見て言った。

『友達になれたのが実感湧かないのは、私も分かる。だって、あのAYAちゃんだよ。私だったら発狂しそうかも...でも、八木くん同い年の友達大事にしてあげてね』

八木くんは、はい。と返事をした。


『キーンコーンカーンコーン』


花岡先生は言った。

『昼休みだね、そろそろ八木くんの友達が来るね。ご飯食べながら授業の復習でもしたら良いと思うよ』

そんな話をしているうちに、高野さんが入って来た。

高野さんは八木くんを見るなり、言った。

『八木くん、今度の小テストなんだけど国語のこことこの部分が分からなくて、八木くん分かるかな?』

八木くんは持っていたパンを膝に置き、高野さんの問いに答えていった。

『これはこういう意味でここはこうするんだよ。反復練習すれば合格点には達すると思うよ。頑張って、高野さん』

高野さんは八木くんから言われたことをメモして昼ごはんを食べながら言った。

『八木くん、私のことは綾って呼んで良いから。さん付けだとなんだか他人っぽいでしょ。私たちは友達なんだから、堅苦しい呼び方じゃなくてもっと友達っぽく呼ぼうよ』

八木くんは驚いて、モジモジしながら言った。

『じゃあ、綾さんでお願いします。それ以上の呼び方は緊張するので、綾さんオンリーでお願いします』

綾さんは八木くんに向かって言った。

『じゃあ、私は本当は八木遊平だから、遊平って呼びたいけど八木くんの方が語呂がいいから、八木くんのままにしておく』

すると、花岡先生は2人が座っているソファに向けて言った。

『じゃあ、私のことは花ちゃんって呼んでね。うそうそ...冗談よ。なんだか愛称って良いわねって思ったから、言ってみただけよ。本気にしないでね』

八木くんは先生に向かって言った。

『先生、本気にしようとしましたよ。良かった、冗談で。本当、冗談キツいですよ』

綾さんは言った。

『冗談でも、私は花ちゃんって呼んでみたいな。だめですか、先生』

花岡先生は手で小さくバツを作って言った。

『私から言ったことだけど、ここは学校だし他の生徒も先生もいる。1人の生徒が先生のことをちゃん付けしたら、他の生徒も真似するでしょう。だから、この愛称は無しでお願いするわ』

高野綾は残念そうにうなだれた。

昼休みにする勉強のことや愛称など話せば話すほど話したいことで溢れていた。

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