第11話 クールな彼女は素敵だった
高野綾は仕事の次の日に学校に来た。
彼女が学校に来たという噂は瞬く間に保健室まで噂が広がったのだった。
彼女がいつもの彼女と違うのはイヤホンを外して、クラスのみんなに挨拶をした事だった。
周りは驚き、彼女におはようの返事をした。
高野綾が席につくと周りに男子が近寄ってきて、色紙を出して言ってきた。
『高野さん、サイン書いてください』
高野綾は差し出された色紙にAYAと書いて、手渡した。
クラス中の男子が雄叫びを上げて、次から次へと色んなものにサインをした。
それを横目に見ていた女子は言った。
『男子って単純すぎるわ』
『話題なのは今だけだっつうの、すぐ終わるよ』
そんな心無い言葉を言われている高野綾を見て、通りかかった八木遊平くんがその女子たちに声を掛けた。
『お前ら高野の何を知ってるんだよ。高野は頑張ってるから話題になって人気も出たんだよ。お前らも1回高野のコンサート観てみろよ。うだうだ言ってるんじゃねーよ』
そんな八木くんに女子は言った。
『だから、男子たちは嫌い。どうせ好き同士の集まり会でしょ。あいつらもみんな頭がお花畑だから話題に飢えてるだけ。それだけでしょ』
そういう言い争いをしていたら高野がその女子に思いっきり平手打ちをした。
相手も僕も一瞬何が起きたか分からなかった。
高野綾はその女子を見て言った。
『あんた何か言いたいことあるなら、面と向かって言いなよ。八木くんもごめんね。私のこと庇ってくれてありがとう。ねえ、話題になるのは今しかないかも知れないけど、ファンになってくれる人たちの脳内はお花畑なんかじゃないよ。みんな素敵な人たちばかりだよ。殴ったのは悪かったけど、本当むかついちゃったからごめんなさい』
女の子は平手打ちされた右頬を丁度入ってきた担任の先生に猫撫で声で高野が悪いみたいに話始めた。
すると、担任の先生は高野に向かって歩き始めた。
高野はやばいと思い、身をかがめた瞬間に八木くんが間に入り、先生に言った。
『高野は悪くないです。悪いのはその女子ですよ。もし、高野を叱るなら僕が代わりに叱られます』
そう言った八木くんに複数の男子が呼応した。
『そうだ、そうだ。悪いのは高野さんじゃない。あいつだよ、先生』
先生は八木くんに言った。
『お前、八木だろ。入学式にやんちゃした。お前のこと知ってるぞ。高野もこんなやつに庇ってもらうなよ。つるむなら女子同士でつるみなさい。それから、口喧嘩するまえに手を出すな。高野、お前アイドルなんだろう。このことが発覚したらアイドルとしてまずいだろう。このことは内密にしとくが、もっと慎重に行動しろよ、高野』
高野は先生の姿が見えなくなると心のモヤモヤさをでっかい声で言い出した。
周りは何が起きたか分からなかった。
『うるせー、馬鹿野郎。私が何しようと勝手だろ。それから、八木くんを侮辱するな。私の大切な友達なんだから』
そのかっこよさに周りは惚れた。
クールビューティーで思ったことを言うそれが本来の高野綾だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます