第10話 アイドル生活に永遠はない

ここは舞台の裏側。

高野綾は歌う順番を待っていた。

LOVE Roseは5人組ユニットで新メンバーとして高野綾はやって来た。

最初は馴染めるか分からなかったけど、今は違っていた。

LOVE RoseのリーダーがAYAに声を掛ける。

『これが新星LOVE Roseの新たな舞台になる。一緒に駆け抜けよう、AYA』

舞台から聞こえるファンの歓声が私の胸をドキドキさせた。

舞台に立った私に見えるファンの姿は私たちLOVE Roseを見る視線と飛び上がる準備はできている、そんな感じだった。

私たちは同時に挨拶をした。

『『愛は永遠に花の中へのLOVE Roseです。よろしくお願いします』』

そして、私たちのデビュー曲が始まった。

LOVE Roseは元々4人組だった。

でも、事務所が小さくてデビュー曲を出して貰えず、もがいていた。

カバー曲を歌うばかりで、売れない日々を過ごしていた。

そんな中で、TikTokで売れて新しいメンバーを迎える為にオーディションをした。

そのオーディションで選ばれたのが、AYAだった。

AYAはこの舞台で初めてお客さんを見た。

今まで鏡の前で踊ってばっかりだったから、初めての舞台は緊張でよく覚えていなかった。

でも、舞台から降りるとまだAYAを呼ぶ声がした。

LOVE RoseのメンバーもAYAに声を掛けた。

『AYA、どうしちゃったの。今まで、イヤホンばかりつけて私たちと会話することも無いくらい一匹狼だったじゃん。何かあったの?』

AYAは言葉に詰まりながらも言った。

『高校の友達と約束したの』

彼女は言った。

『約束ってどんな約束?』

AYAはえっとと言いながら言った。

『実は2つの約束があって、1つは勉強は一生懸命にして、もうひとつは今のアイドル生活を大切にって言われたんだ。だから、今を大切にする為にLOVE Roseに入ったからには頑張る事にしたんです』

LOVE Roseのリーダーは言った。

『その友達、凄いじゃん。AYAがここまで凄くなるとは思わなかった。これからもっと有名になって夢を大きく持って最終的には武道館で歌おう』

AYAは迷わず言った。

『はい。絶対にここで終わらず上目指して武道館で歌いましょう』

2人でイベント終わりに話す会話はきっと叶えられる夢だと感じていました。

高野綾は勉強もアイドル生活も絶対に成功させてやると強い気持ちで家に帰りました。

そんな高野綾の気持ちとは裏腹に八木くんはオンラインで高野綾のライブを観て、キュンキュンしていました。

やっぱりアイドルの高野と高校生の高野はギャップがあるなと思いました。

八木くんは早く明日の昼休みになって高野に勉強を教えたいと思っていました。

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