第9話 初めての友達は家庭教師でもある
次の日の昼休みにいつものように八木くんは花岡先生と昼ごはんの約束をしていた。
保健室に入ると話し声が聞こえた。
八木くんが保健室に入ると花岡先生の他に女子が居た。
花岡先生は八木くんに紹介した。
『八木くん、八木くんは勉強得意だよね。八木くんに家庭教師をしてもらいたいの。彼女は高野綾さん。よろしくね』
八木くんは心臓が飛び出そうなくらい驚いた。
何も言えずにいる八木くんに高野さんは言った。
『こんにちは。私、高野綾と言います。私の家庭教師になってください。お願いします』
八木くんは、えぇ⁈と再び驚き花岡先生に助けを求めるような目で訴えるように言った。
『先生、僕で良いんでしょうか?僕、ただコツコツ勉強してきただけなんですけど』
花岡先生は言った。
『八木くんは、私が凄いって思うほど努力家な子だから、八木くんで良いんだよ』
八木くんは口に手を当て満面の笑みの笑顔を隠した。
八木くんは言った。
『あの、家庭教師になった特典とかつけられますか?』
花岡先生も高野さんも一瞬、お金とか高野綾のサインとかを要求されるのだろうかとヒヤヒヤしたが、八木くんが欲しい特典は違かった。
花岡先生が八木くんに言った。
『特典というと高野さんのサインとか写真はダメだからね。彼女にも悪いし、ファンにも悪いからね』
八木くんは手をバツにして言った。
『違います、違います。僕が欲しいのはそういうものでもお金でもありません。僕が欲しいのは友達です。僕と友達になって欲しいんです。先生とはもう友達ですけど、僕は高野さんと友達になりたいんです。特典って言うとビジネス友人のようになってしまう気がしますが、僕は本当の友達が欲しいんです。それに花岡先生が仲間が多ければ悪に立ち向かえると言ってくれたから、僕は友達を作ってクラスの奴を見返したいんです。お願いします、僕の友達になって下さい』
そんな一生懸命な八木くんに高野さんは言った。
『私も芸能界でひとりぼっちです。あえてひとりぼっちになりました。アイドルを目指して色んなオーディションを受けて、LOVE Roseに入ったけど、友達は歌しかありませんでした。友達を作るのが下手すぎて、歌とダンスを頑張れば誰かが見てくれて誰かが友達になろうって言ってくれるかなと思っていました。でも話しかけてくれたのは私のことを見つけてくれたファンだけだと思ってたけど、まさか家庭教師になってくれる方から友達になって欲しいと言われるとは思いませんでした。よかったら私からもお願いがあります。勉強だけじゃなくて友達になって一緒に高校生活エンジョイしたいです。よろしくお願いします』
2人は初めて生徒と家庭教師の関係でもあり初めて出来た同い年の初友達となった。
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