第8話 勉強も出来るアイドルになりたい
高野綾と話した次の日の放課後に、保健室を訪ねて来た。
高野綾はドアを半分くらい開けて保健室の中を少し覗いていた。
その様子に花岡先生は気づいて声を掛けた。
『高野さん、来てくれたのね。どうぞよかったらソファに座ってね』
高野さんはソファに座り、ありがとうございますと頭を下げた。
彼女は耳につけていたイヤホンを外してポケットにしまい込んだ。
それを見て花岡先生は言った。
『そのイヤホンで何聞いてるの?何か好きな歌とかかな』
高野さんは嫌そうな顔をして言った。
『色々詮索しないでください。会ったばかりの人に教えたくありません。これはただ聞きたくない声から身を守るためのものなので』
花岡先生はやってしまったと思った。
少し気難しい子なのだろか、それとも何万回もイヤホンの事を聞かれたからそういう態度なのだろうかと色々頭の中を花岡先生は考えが巡ってしまったのだった。
考えている間に高野さんは先生に言った。
『時間がないので、手短に言いますけどどうしたら、勉強とアイドル生活を両立出来ますか?このままだと勉強が出来ず、留年もチラチラと私の前で近づいている気がします。どちらかを諦めないともう無理なのですかね』
そんな彼女のどうしようと困っている顔を見て花岡先生は考えた。
そして、思い浮かんだ考えを言った。
『じゃあ、家庭教師をつければいいんじゃないかな。でも、外部の人間をここに呼ぶのはある意味リスキーなことだから、この1年生の学年の中で1番優秀な子に家庭教師を頼みましょう。その子は絶対に秘密を守る良い子だから。心配しないで、ただとても面白い子よ。先生が保証するから。ね、良いよね?』
高野さんは少し考えて言った。
『もし、次の中間テストで点数が上がったら信じます。仕事の関係上学校に来れるのは放課後とか昼休みからとかになるんですけど、それでも良いですか』
花岡先生は言った。
『その辺のことはその子に言っておくわ。それから気になったんだけど、アイドル生活がある中で毎日学校はどうしてるの?休みすぎると色んな意味で大変じゃない。もし良かったらで良いんだけど、教室に入らずに保健室登校とか考えてみない?』
高野綾さんはソファの背中に頭をつけてフッと息を吐いて言った。
『お気遣いありがとうございます。でも、休んでしまっても教室には入りたいんです。私は勉強も頑張れるアイドルになりたいんです。他の人が私のことを茶化したり、悪口言ったりしても教室で授業を受けたいんです。そのためには、先生が言ってくれた家庭教師さんが必要なんです』
彼女はソファから立ち言った。
『だからどうかよろしくお願いします』
花岡先生は言った。
『全力でサポートするから、こちらこそよろしくお願いします』
2人は放課後に大きな約束事をしたのだった。
花岡先生の考える家庭教師とは八木くんのことだった。
さて、高野さんと八木くんが出会う時どういう化学反応が起きるのだろうか。
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