第4話 新任の保健室の先生に興味がある

花岡先生は保健室に戻ると耳にピアスをつけた男の子が保健室を見回していた。

彼はこちらに気づくと軽く会釈をした。

花岡先生は誰か分からず、名前を聞いた。

『あなたは何年生のなにさんかな?』

彼はにっこり笑って言った。

『俺は3年の天堂虹(てんどうにじ)と言います。今度の保健室の先生はどんな人か知りたくて、授業抜けて来ちゃいました』

彼の笑う顔は何かを見透かされそうなぐらいの顔だった。

嘘も何もつけないとも思った。

花岡先生は彼に言った。

『逆に聞くけど、前の保健室の先生はどんな方だったの?』

彼は花岡先生の目を見て言った。

『どんな先生か...とっても厳しい先生でした。保健室なのに休ませてもくれず、保健室登校すら贔屓にしている子しか許していませんでした。正直言ってひどい先生でした。でも、花岡先生は前の先生より優しそうで良い人そうで安心しました』

天堂くんは先生の机に置いてあった写真を見て言った。

『これは、誰ですか?周りにいるのはどこかの学校の生徒ですか?』

私は写真を指差して言った。

『これは、昔私が保健室登校していた頃に出会った仲間とお世話になった保健室の先生よ。私も、この先生のようになりたくて保健室の先生を目指したの』

彼はへー。と言って、花岡先生を見て言った。

『花岡先生は俺が見る限りもう十分先生になってますよ。俺、花岡先生に会えて良かったです。

それじゃ教室戻りますね』

そう言って、彼は保健室を出て行った。

保健室には花岡先生だけが残り、彼女はポツリと呟いた。

『一体あの子は何がしたかったのだろう』

情報収集のために花岡先生は保健室を出て職員室に向かった。

3年生の生物を担当している先生に天堂くんについて聞いてみた。

すると帰って来た答えは分からないの一点張りだった。

もう少し深く聞いてみた。

すると、その先生は言った。

『彼はとにかく自由なんです。でも芯があってやりたいことは絶対にやるんです。最近は困ったもので、YouTuberになるのが夢らしいんですけど、せめて専門学校か大学に行きながら今後の夢を作ってほしいと思って言ってるんですけど、彼は嫌だの一点張りなんでそれが困ってるんです。保健室にもし天堂が来るようであれば、相談に乗ってあげて下さい。よろしくお願いします』

花岡先生ははい。と返事をしてありがとうございましたとお辞儀をして職員室を出て行った。

教室では授業をしている先生に、それを聞く生徒もいれば、窓を見て授業を聞いていない生徒もいる。

高校を卒業してから分かることは、授業って退屈だったことや人が怖かったこと。

それを保健室では全部ストレスフリーにしてくれたこと、そう思うとこれから生徒にしてあげられることを頑張らなきゃなと心に決めた花岡先生でした。

入学式が終わり、次の日になると朝早くに保健室の前に八木遊平くんが立っていた。

彼は先生に何か言いたいことがあるみたいだった。

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