第2話 入学式は目立ちたい
今日からこの学校の保健室の先生になる花岡先生は緊張していた。
入学式で新しい先生です。と紹介された。
壇上に立ち、目の前には生徒だけしか見えない状態に緊張感を持ったが、今まで看護師としてやってきた経験に比べるとどうってことないと思った。
そして、マイクの前で手短に話し始めた。
『初めまして、みなさん。花岡美咲といいます。この学校で保健室の先生として働きます。何かがあったら必ずあなたの力になります。そして、入学してきたみなさん、入学おめでとうございます。どうぞこれからよろしくお願いします』
そう言って、頭を下げた。
そして、校長先生の話、在学生の話と終わった後に新入生代表が呼ばれたのだった。
教頭先生から新入生代表、八木遊平。と呼ばれた。
すると、周りがざわざわし始めた。
壇上に上がった八木遊平くんは言った。
『みなさん、こんにちは。新入生代表の八木遊平です。ここにある紙に書いてあることは読みません。僕が言いたいのは1つだけです。みなさん、学校生活楽しんで行きましょう。僕はもう楽しんじゃう準備は出来てるので、こんな虹色の髪してます。これでおわりです』
そんな八木遊平の姿をiPhoneで撮影していた生徒がいた。
彼の名前は天堂虹(てんどうにじ)、彼もまた高校3年の問題児だった。
そんな天堂虹に先生がiPhoneを取り上げようとした。
天堂虹は言う。
『入学式にこんなやつ初めてですよ。後になって良い思い出でになりますって。取っといて損は無いですよ』
先生は取り上げるのを諦めて、分かったよと引き上げた。
ある先生は保健室の新任で来た花岡先生にこっそり言った。
『災難でしたね。本当に今年は多分、保健室利用者が増えると思いますよ。さっきの新入生代表の子もきっと友達作る大作戦もあれじゃあ失敗すると思うし、今年は特に1年から3年まで大切な年になると思いますよ。前任の先生は保健室の利用を特に厳しくしていたので、利用する人があまりいなかったんですよ。その分、教室に来れない生徒が増えたので結構困りました。でも、花岡先生なら前任者に比べて、生徒のことを考えてくれる良い方だなと直感的に思ったので、よろしくお願いします』
花岡先生はこの学校の先生からそう言ってもらえて、嬉しさもありましたが、前任の先生がどんな人だったのかも気になりました。
入学式が終わり、生徒たちは自分のクラスに初めて入って、友達を作るだろう。
ただ、八木遊平は担任の先生に叱られて、虹色の髪はまるで草のようにしょげているようだった。
国清高校は、ごく普通の学校だったが、生徒会長のおかげで髪色ピアスが自由だった。制服は残念ながら自由な服装を着ることは出来なかった。男子は学ランで女子はネクタイのあるブレザーだった。ネクタイは何色でも平気だった。
だから女子の間では金色のネクタイをする者もいた。
本当、人によって様々だった。
高校の偏差値は高くもなく低くも無い56だった。
新入生代表だった八木遊平くんは国清高校の入学試験で1位だった。
見かけによらず、彼は秀才だった。
こっぴどく叱られた八木遊平くんはクラスに帰ると、もう自己紹介が始まっていた。
彼は順番が来るまでと窓の外を眺めていた。
さて、順番が回ってきた自己紹介で彼は何を話すのか。
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