第8話

 それから1年ほどたった。11歳と1ヶ月ほどかな。


 リンは何度かの進化を迎えて、色や大きさがいろいろ変わった。魔物の種類を鑑定するような魔法などはないので、なんのスライムに変わったのかはわからない。体の大きさも自由に変えられるようになったのだが、最初に会ったときの大きさが一番都合がいいので、大きくならないようにお願いしてある。


 魔物の名前は冒険者ギルドや国が勝手につけた名前なので、きちんと照合しないとわからないし、そもそも新種だったら名前なんてない。多分、ランクD相当くらいだと思う。


 ルナはフォレストスパイダークイーン(突然変異)に進化したようだ。大きさは1.5メートルほどになった。進化してしばらくした後、1つの卵を生んだ。あまり変な場所で卵を管理するのも大変なので、僕の部屋に設置してもらった。フォレストスパイダークイーンのランクはDだ。


 ルナはクイーンになったためか、念話による会話が可能なほど知能が高くなった。


 寝る前にはリンとルナ、それに卵にも魔力を込め続けた。


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 さらに1年ほどたったときにルナの卵が孵って生まれてきたのは、上半身は人間、下半身は蜘蛛。アラクネと呼ばれる種族だった。髪の毛は真っ黒で、肌は病的に白い。人間でいうところの5歳くらいだろうか。


「君の名前は、カグヤだよ。よろしくね。」


 その日から、寝る前にはリンとルナとカグヤに魔力を限界まで渡してから寝ることになった。


 カグヤは上半身が人間だからか、言葉によるコミュニケーションが可能だった。


 今はあまり言葉が話せないが、成長するにつれて問題なく話せるようになっていくだろう。


 ルナと違って、カグヤは村人にそれほど嫌悪されていないようで、なりよりである。体が小さいし、上半身が人間だからだろうか。ルナが2年ほど問題を起こしていないということもあるだろう。


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 カグヤが生まれてさらに賑やかになった我が家。


 カグヤにも自分で獲物が取れるようになってほしいため、戦闘訓練をしていくことにした。


 カグヤの才能なのか、卵の段階で魔力を与え続けたのがよかったのか、魔法を使うための下地が出来ていた。


 僕と同じように両手から魔力の玉を出しつつ維持しながら、属性変更や形態変化、お手玉する修行を一緒にやってたりもした。


 ある日、カグヤの狩りの練習に森に入った。


 ルナに狩りの手本を見せてもらいながら、カグヤがそれを真似をする。


 小物の魔物や動物が相手の場合、予め蜘蛛の巣を貼っておき、そこへ追い込む。そして蜘蛛の巣にかかったあとに毒を注入し、麻痺させた上で糸でグルグル巻きにする。あとはそれを自分の住処へ持っていく方法。


 大型の魔物や動物が相手の場合、仲間と共に糸を少しずつ相手に絡めていき、ある程度動きを制限させてから複数箇所に毒を注入。麻痺したのを確認したら糸でグルグル巻きにする。仲間と一緒に住処に運んでいく。


 カグヤの場合、さらに魔法も使えるので、糸と魔法を使いつつ高度な戦闘が可能だ。

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