第7話

「さあ、始めようか。」


その一言が合図で俺はスマホの10分タイマーを起動する。


「まずは……松谷。」


「は、はぃっ!」


…やっぱり緊張するよな。


「固くなるな、とはとてもじゃないけど言えない。俺だってこんな話し合いだ、緊張はする。だけど、自分に自信を持って、安心して答えてほしい。多分だけど、そこまで変な質問や話し合いをするつもりはないから、まずは楽な体勢で。」


「……はい。」


少し間をおいて松谷の姿勢が整った。もう大丈夫だろう。


「そしたら、俺からスタートで、交互に質問をし合う。これを制限時間まで繰り返す。それだけだ。」


「わかりました!」


………よし、俺も覚悟を決める。


「じゃあ、行くぞ。」


俺の最初の質問は決まっていた。ずっと聞きたかった。一番モヤッとしていた気になること。


「松谷、俺は松谷に一昨日の焼肉屋で振られた。これは事実だ。そしてその日は終わり、俺は家に帰った。正直、こんなこと言うとダサいけど、振られる覚悟はしてた、けどやっぱり振られるのは、きつかった。…でも、仕方のないことだから、次の出社時には何もなかったかのように、周りに悟られないようにしようと思ってた。」


俺は一息ついて、そのまま続ける。


「でも、でもだ松谷、俺たち、俺が告って松谷が振ったこの失恋の関係。告った俺はともかく振った松谷は普通に気まずいと思う、てか思った。のにも、のにも関わらずその次の日、俺が胡桃を連れて牛丼屋に行ったときに、申し訳ないことに俺とお前はまた出会ってしまった。本当にごめんな。真面目に数えると一日にも満てないインターバルだ。振った側は多分だけど、大体の人は、まじかお前こんなとこで会うとか最悪!とか、うわ気まずいって…とか思うもんやと思う。」


俺の言いたい質問は、まだ質問の形になっていない。だから俺は一息ついてまだ続ける。


「でも松谷はさ、昨日振ったばっかりの俺を見て、なんならイケメンの弟君もいる中、しっかり挨拶してくれたよな…!まずそのことを素直に尊敬するし、すごいと思う……。だけど、そんな昨日振ったばかりの俺を遊びに、遊園地に誘う意図なんて考えてもわからなかった。正直今も、わかってるなんて言えない。」


「・・・。」


もう既に申し訳ない気持ちでいっぱいだし、松谷も多分苦しい。だから、もう質問に入る。そう思い、俺は最後にもう一息入れる。


「だからこそ聞く。松谷、どうして自分で振った俺を遊びに誘ったんだ…?」


前置きは長かったが、とりあえず最初にしたい質問はできた。後は松谷の出方を待つしかない。


「あ、あの、それは。」


来る、来るぞ…ハラを決めたんだ、どんと構えろ!


「…石本さん、私はあなたのことがものすごく好きだからです……。」


・・・え?


なんか思ってた角度と全然違う!もっと弄ばれてるのかなとか、俺彼女いないのにハニートラップかなとか、ほんとに色々考えまくったのに!全部違う!え?


「・・・ちなみに、その件について、どのくらい好きか、とか言える範囲で言えたりします…?」


いや、まだ友好的な好きかもしれない!まだ俺の推測が100%間違ってるなんてことはないかもしれない!そう信じたい!


「えっと…そうなると、言葉では伝えきれないものがたくさんあるので、見てもらいたいものがあるんですけど…。」


おおっとだいぶ俺の推測が傾いてきてるぞ…しかし、最後まで諦めないのが男。こうなったら最後まで聞け。一人の男、石本琢磨!


「はい。見ます。」


俺がそう言うと、彼女はなぜか顔を赤くしながら、手持ちの鞄に入ったスマホを出した。スマホを触っている彼女は、段々口元もにやつきはじめていて、正直不気味さも感じる。普段はあんなに人当たりの良い松谷が、こんな毒のオーラを感じさせるのは初めてだ。だが俺は受け止める義務がある。たとえ俺の推測が100%外れていようと。俺は松谷と向き合わなければならない。


「まず、これが一人暮らしの私の部屋です…。」


俺はテーブルに提示されたスマホの画面を見た。


「こ、これは…!」


いや、まじでこれは、なんだ…?


「この部屋は、私の生活スペースで、石本さんが好きなあまり、自作の石本さんグッズで溢れかえっています。」


どうやら100%なんて可愛い外し方じゃなく、それ以上の予想を120%外していたようだ。


「えーと、グッズというのはどういうものがあるんだ?」


「石本さんの等身大パネル、1/10フィギュア、実写缶バッジ、実写写真など、代表例でこの辺りです…。」


なるほどなるほど…

うん、松谷、想像以上。やべえ。


「なるほど、部屋はこんな感じなんだな。」


「はい。そして、こちらが音声ファイルになるんですけれども…。聞いていただけますか…?」


「あ、あぁ、聞くのは聞くけど。反応に期待はしないでくれよ…。」


もう想像もつかないしやばい予感しかしないって…


『石本さん…私、石本さんのことが好きですっ…!ずっと、告白したくて、でも、言えなくて…石本さんから告白されたときも、私から告白するならまだしも、石本さんから告白されるなんて…石本さんの恋愛歴が汚れる…!そんなのはいけない!だから私から告白させてください。改めて言います。石本さん。あなたのことが、好きです。』


………まあ、これだけなら、ただ想いを伝えられなかった女の子の秘めてる気持ちの吐きどころってだけで、俺のグッズに比べたら全然マシじゃ…


『あぁ、松谷、ありがとう。君の気持ち、とっても嬉しいよ。松谷、いや、名前で呼ばせてくれ。亜季、俺も亜季のことを愛してる。だから、一生幸せにする。結婚を前提にお付き合い、してくれるかい?』


・・・は?……えーっと、これは俺の声、だけども……俺こんなこと言えるタチじゃないし、いった覚えもないし、まじで…誰…?え、俺、二重人格なの!?やだ…怖ぁ…えぇ、自分が怖いわ。


『・・・はいっ!』


いや松谷もはいっ!じゃなくてね?えっと、ほんとに、はいっ!じゃないのよ?それは俺かもしれないけど、間違いなく、この俺ではないのよ。いやほんとに怖いって〜…


『ゴーンゴーンゴーンゴーン』


あっるぇ〜?なんか鐘鳴ってな〜い?これ結婚式に鳴るやつじゃな〜い?いや知らぬ間にゴールインしてたの〜?そりゃ一昨日の夜、俺から告ってもごめんなさいなはずだわ、だってもう俺の知らない俺と付き合ってるのに別の俺から好きです付き合ってくださいなんかおかしいもんなぁ?見た目変わらんもんなぁ?中身は絶対俺じゃないけど。


「以上です…。」


いや、以上ですって言われてもねぇ…反応に困るってぇ、だって俺の知らない俺だも〜ん。んで、めーっちゃ松谷顔赤いって、これ絶対照れてんじゃん、俺の中にいるもう一人のボクみたいなやつにホの字じゃん…


もうこれはこの前胡桃に言われたとはいえ、近々真面目に病院探すか…


それで俺はこの音声をどう説明すればいい…!?


「………えっと…これは…」


もう俺も言葉詰まるってぇ!だってこの俺はそのことをなんにも知らないもぉん…知ってたらどれだけ良かったかなぁ…。こんな遠回りもしなくて済んだよなぁ…。


「…すみません!普段話してた時の石本さんの声を録音、サンプリングしまくって、めちゃめちゃ自然に合成音声で聞こえるようにして、理想の言葉言わせてる妄想酷めな女なんて…流石に引きます…よね…?」


想像の120%どころか150%なんだよなぁ〜〜


いや何?俺の人格ではなかったのね?それはそれで良かったけどさ?何?合成音声?それで録音した俺の声をデータにしてこんな自然に会話してるように見せれたのか?もうそれは引く引かないの次元ではないんだよ…なんで俺とあの会社で同僚やってんだよレベルの才能持った逸材なんだよなぁ…


「ちなみになんだけど…いつからその…俺の…声で喋れるやつの製作には取り掛かったわけ?」


「えっと、一昨日に完成して、それまではひたすら石本さんの声を録音してて…それで数えて847日なので…時期で換算すると…一昨年の4月2日からですかね…。」


なんかめっちゃ顔赤くしながら言うけども〜〜?それあれなんよ〜?研修始まったばっかりの入社二日目の日じゃないの〜?入社二日目から目つけられて二年以上に渡ってコソコソ録音されてたってまーーじぃ?


「なるほどね…それだけ俺のことを、まあ想ってくれていたってこと、になるのか…なんか、ありがとな。」


いや正直すごすぎて怖いとかもうその辺の感情がほぼ無やけど、なんか好かれてるのはわかったし嬉しいからお礼言ってしまったよ〜?いや、いいことではあるんだけど、何か、何かが俺の感性に『お前、それワンチャンやばいぞ、気をつけろ』みたいなアラート出してる〜。


「いえいえそんな!とんでもございません!!正直、今見せただけでは私、石本さんへの愛が足りてないと思ってるんです。」


は?これだけ無尽蔵に近い愛を今の今まで俺も気づかなかったけどニ年以上にも渡って注ぎ続けてきて、まだ愛が足りない…?


いや、重いとかそういう話じゃない。松谷はもう俺に充分な愛を注いでいる!これは多分誰がどう見てもそう答えるし、なんならそう答えざるを得ないレベルなんだけど!?え、ええ、えええ?もしや、もしやもしや!!

まさかまさかの、まだなんかあんのか…?


「いや、多分、今聞いた話だけでも、松谷からの愛は足りすぎて溢れかえってると思うよ…?」


これ以上は愛の量が俺のキャパを越える。これ以上愛なんて注がれたら、多分俺はもう、この愛には勝てない。こんなに明らかに社会的にやってることやばいのに、これ以上の愛を見せられたら…俺は…本気で松谷をまた愛してしまう!!だから、だからやめるんだ!!これ以上は本当に良くない!俺の中の俺が終わる!


「だから私、もう一つ持ってきました。」


お、お、お、終わったんじゃないか…?


「このスマホのメモにしたためてるんですけど、」


やめ、て、く、、れ…もう、こ、れ、い、じょ、う、は…


「私、もう石本さんへの想いが我慢できなくて…石本さんと私が付き合えたなら、その後を老後まできっちり書き記した、人生の未来予想図小説を自作で……」


ラブの形がクリエイティブ〜!!


いや、もう、ダメだ…これは、もう200%だ…測定不能なんだ…


もう…お互い好き同士ってのも、わかった。たとえ松谷がものすごくやばくても、俺が松谷を好きなことに嘘偽りはない、もう、それで良いんじゃないか…?だってハッピーエンドじゃないか…


………


…………否


……………それは、否だ。


俺は確かに今まで、この松谷を含めて9人の女の子たち全てに結果として振られた。そうだ。俺は一人の男として、振られまくるなんて…すごくみっともないと思うよ。だが俺にだって!!俺にだってプライドぐらいあるんだよ!!

なんなんだよ第一よぉ!俺、一昨日松谷に告ったじゃん!?んで松谷振ったじゃん?もうそれで終わっちゃったじゃん?俺の胸に9つ目の傷出来て終わったじゃん?それは、もう完全には治らないのよ!?

いや、別に松谷に傷をつけるわけでもないし、かと言って正直俺もこんな形で告白を受理したくない!


だったら…


「なるほどわかった。そしたら俺の質問は一旦停止だ。長々とすまない。」


「では、次に私が質問に行きます。」


「あぁ、なんでも来い。」


答えは一つだ…!


「石本さんは私のことが好きですか?」


うん。それは…


「松谷のことは好きだ。好きじゃなかったならそもそも一昨日に告白なんてしていない。」


「そしたら、今、私が告白したら、石本さんは付き合ってくださいますか?」


来た、これの答えは決まってる…


「現段階では、断固としてお断りさせていただきます。」


告白の答え、それは今のお互いでは、思いが一方通行であることを確認できている。それを踏まえてちゃんとお互いの気持ちを伝えられるように。受け止められるように。付き合うとか、交際とか、そういうのはその後でも遅くないんじゃないか?だから、まずはお互いに歩み寄ろう。というのが、俺なりの答えで、それに対して、松谷がどう答えるかは、松谷の選択であり、それは松谷の自由である。


「……どうして…ですか…?理由…聞いても…良いですか…?」


「あぁ、それは今の俺たちは自分の好き、という気持ちをぶつけ合っているだけで、それだけではお互いの素面、というか中身、というか、まだまだ見えてない、知らない部分が多すぎる。その現段階で付き合うのはお互いにあまりメリットはないと思うし、お互いのことをもっとよく知ってから、それでもまだその時に付き合いたい、好きだ、と思っていたなら、その時から付き合い始めても、遅くはないだろう?と思った。だから、『現段階』では、『断固』としてお断りなんだ。」


俺は今、伝えられることは全て伝えた。後悔はない。失恋したあとに、ここまでスッキリ終わったことなんて、中々ない。松谷がスッキリしてるかはわからない、多分してないと思う。だけど、今のままの勢いで付き合っても必ず後悔する。だから、これが俺の今の答え。


「……わかり…ました…。」


納得がいってるかはわからないし、多分これも納得がいってないと思う。


だけど、今は、今はこれで、良いんだ。


「デレデデデレデデデレd」


タイマーだ、一見短いようでクソみたいに長い、長すぎる10分が終わった。


「……よし、終わりだ。松谷、戻れるか…?もしあれなら、無理して戻らず、今から早退みたいな感じで直帰しても止めないぞ。」


まああれだけ言ってしまったからな…松谷も結構キテるだろうし、結構きついだろ…。


「…もう、戻りませんし…止まりません。」


……あぇ?

っていう俺のいつもの思い過ごしだった…?


「とりあえず…戻る…ってことで…おっけぃ?」


「はい!大丈夫です!ですが、その前に一つお願いがあります!!」


おうおう、なんか、いつもの松谷って感じの元気さで、すっげえこの感じ安心する。


「お、なんだ、叶うかは知らんが、言うだけならタダだ、お得だから言うだけ言ってみることをお勧めするぞ。」


「石本さん!私と同棲してください!」


・・・んほーい??


えっと〜?ん〜?え〜?…なんて〜?


距離の詰め方バグ〜?


「えっと…松谷、お前、さっきまでの俺との会話、え、忘れた?」


「いえ、しっかりと覚えてます。お互い知らないところ、見えてないところが多いから、ゆっくり、よく知っていこう、それでまだ好きならその時は付き合おう!ってことですよね!?」


いやもう覚えてんじゃぁん…合ってるよぉ?だったらなんでぇ?なんでいきなり同棲になるの?


「いや、松谷、待て、待つんだ、ステイッ!あの、同棲って、一般的には…あれじゃないの?お付き合いをした後に、更に仲良くなってからするものじゃないの?」


俺は割と当たり前なことを言ってる気がするんやけどねぇ…松谷の目がマジにまっすぐ過ぎて…あれ…?これワンチャン俺が間違ってる?って思うレベルよ。


「石本さん。確かに一般的に言われる同棲という行為はその手順を踏むと私も思います。しかし私の足りない愛を充分足りてると言ってくださいました。更にそんな石本さんは、こんな私を振らずに!もっとお互いのことを知ってから、見てからそれでも好きなら付き合おう、としっかり明言までしてくださいました!」


いや、それは言ったけどぉ…


「まあ、言った、言ったよ?だけどさ?順序よ!順序の話ね?付き合うから同棲が一般的って話ね、つまり、同棲から付き合うって、割とイメージすらつかないんだけど!?」


「つまりですね!お互いのことを知れたり、見れたりできたら、その度に付き合うまでの日数が早まるわけです!」


うん、そうね、それはそうだけどね?


「ということはですよ!?同棲という形をとれば、私達は家は同じ屋根の下で、会社も同僚で同じ部署。24時間365日ずっと同じ場所で過ごせるんですよ!?それは実質的に色んな石本さんを知れたり見れたりできるいい機会なんじゃないですか??」


おーーーーん??そうかーーー??


「それに、石本さんは…現段階ではってことは…それはもう将来的なことを見据えててくださってると…もう…」


おーーーーーーい???


「いやいやいやでもさ、あの、あれじゃん?付き合ってる人同士ってことは…そうだ!謂わば、好き同士じゃないと多分同棲、続かないんじゃないか??」


「え?何を言ってるんですか?石本さんさっき言ってくださったじゃないですか、私たちは自分の好きという気持ちをぶつけ合ってるだけって。」


ああ、それは言った。


「お、おう、それが?」


「私たち双方が自分の好きという気持ちをぶつけ合ってるのは、それは付き合ってなくても、好き同士ではないんですか??」


あ〜〜墓穴〜〜〜掘ったわこれ〜


でも確かに〜〜〜〜


「ま、まあ、そうだな、一応好き同士では、ある、な。」


「だったらそれだけの理由で同棲してもなんの問題もないと思いますよ?」


もうここまで言われたら、無理よ…。断れんよ。せめて、せめてもの反撃しとこ…。


「えっと、松谷?あの〜、まあ、同棲すること自体はもう仕方ないからするのはするとしても、同棲する家、家賃の分担、その他諸々、どうするんだ?」


これで考えてないなら、同棲の話がなくなる可能性は微量ながらある!もしなくならなくても、考える期間は同棲する必要性はなくなる!


「え?そんなの、もう今日の遊園地楽しんだら胡桃ちゃんにも話して、すぐ不動産屋にいってなるべく大きい一軒家を選ぶんですけど…あ、家賃とかその辺りの諸費用や月々の電気代、光熱費、水道代等は全て私が負担しますから、なんの心配もいらないですよ!後なんなら家具も今日選びに行きたいですね!」


いや行動力がもうオバケとかその想像できる人智を超えてるって〜…


松谷〜?おまっ、……え〜〜?


「え、あぁ、でも、松谷、そんな負担できるほどのお金、お前にあるのか…?正直、同僚の俺はまだそんな稼ぎもないし、もし俺が一人で負担するって話になってたなら、俺だったらとてもじゃないが、負担できる額じゃないと思う。貯金も貯まらなければ、何なら減って底をつくレベルの家賃、諸費用だと思うけど…まじで大丈夫か?」


「あ〜!それは私、この仕事の他になんか適当に回ってる副業3つぐらいあるんで、余裕です!」


おおおおおん?それならどうして俺の同僚なんかやってるのぉ〜?


「え、ちなみに…その大きな家を契約とか、まあもしかすると購入とか…まあそういうやつの諸費用は…大体稼ぎの全体からどのくらい引いたら行けるの…?」


なんかもう、心配通り越して怖い。


「あ〜、大体副業の内の1つの収入でその大きな家のローンが月払いの24回ぐらいに分けて払う契約として、諸費用も払うとしたら、大体同じような家を後40件くらい同じことしても、まだその収入も残るくらいですかね〜。」


えぇ…もううちの会社で働いてる意味…ある?

なんならもう副業だけで食えてんじゃん…いやほんとに、やべえよ…怖いよ…あの、俺のグッズとか、合成音声とか、自作小説とか、その辺は全然愛で許容できる範囲だから、なんにも怖くなかったけど、その収入あるのに、うちの会社に俺の同僚で同じ部署でいるのが一番怖いよ。もうなんで仕事してんのレベルだよ…?てかなんならよくよく聞いたらそれ、大きな家でさえも一括払いできてるよね?もう、なんか、ほんと、怖い。


「あ、あぁ、そうかぁ、じゃあ問題は、ないなぁー。」


んで、今思ったけど、今日の俺の遊園地での両隣、やばすぎんか…?


方やこの通りえげつない富を築き上げ、もう稼ぎまくりの超仕事できるマン、まじでなんで俺と同じ部署で俺の同僚やってんのか理解できないってぐらいなんかやばい松谷。


んで方や、なんか詳しくは知らないけど、学生時代成績オール5で、今年はあいつも大学3年生になったんだなぁと思った途端に大学来なくてももう卒業できるよ、むしろ天才的な発見をして、世界的に有名になって就職もそれで勝ち取ったから大学側に好きにしていいよって言われて暇だからって俺の家に単身転がり込んできて、ただ住み着くだけかと思いきや、勉強以外にも料理とか家事もまあ完璧だこって、とりあえずチートを超えたチートの俺の大好きな自慢の妹、胡桃。



あの、思ったのは…


なんで?胡桃はまだわからんけど、少なくとも松谷はなんで俺なの!?


まあ、なんか、よくわからんが、あれだな、一つ言えるのは、俺もちゃんと、人に、愛されてたんだな…。


「とりあえず同棲は胡桃がオッケーだったら決定で良いから、戻るぞ。」


「はい!わかりました!」


悩みのタネを消化するつもりが…消化したらそこから新しいタネがクソほど増えた…。もう、なんか、おん…。


まあ、そんなことより…。さて、次は胡桃と腹を割って話し合いだ。胡桃は俺のことを一体どう思ってるんだ…?答えによっては俺は今日おかんと親父に電話して、本気で土下座しなければならない……

まあ極論その程度で済むんだったらいくらでもするけども、そこが今不透明だから、これから見えるようにするんだ。

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