第7話 2人が揃う


 ガラッー。


 2時間目終了後、一輝の2つの教室の戸が開放された。1つは前方。もう1つは後方。


 前方の戸からは羽矢が、後方の戸からは莉菜が教室に足を踏み入れた。


 一輝のクラスメイト達は皆、前方と後方の両方に視線を走らせ、男女関係なくざわつきを生み出した。


「おいおい。まじかよ!」


「本当に?信じられない」


「うん。私も」


 クラスメイト達は友人らしき人間と目を合わせ、口々に驚嘆と同調の言葉を発した。


 一方、羽矢と莉菜は同じように、一輝の席に向かう。2人が向かう途中、無数の視線が彼女達にぶつかる。しかし、2人はそれらを気に掛けた素振りを微塵も示していない。


「おう!莉菜じゃないか!!」


「増本さん?」


 羽矢と莉菜は一輝の席に到着するなり、顔を合わせてそれぞれリアクションを示した。ちなみに、羽矢と莉菜は小学校から現在の高校まで同じ学校に通っているため、お互いに関する情報をある程度保持する。もちろん、面識もある。関係性としても悪くはないが、特別親しいわけでもない。


「莉菜も朝元が目当てか?」


 羽矢は一輝を一瞥してから、疑問を問い掛ける。


「うん、私はかずくんと話をするためにわざわざここの教室を訪れたの。もしかして、増本さんも?」


 莉菜は問いに答えてから、言葉を投げ掛けた。


「そうだ。私も朝元と話をするために来た」


 羽矢は薄く笑みをこぼして首肯した。


「増本はどうせ趣味のネット小説に関する話をするためだろ」


 一輝は席に座り、呆れた様子で2人の会話に飛び込んだ。


「おいおい。私をネット小説しか考えていない陳腐な女だと思わないでくれ」


 羽矢は不本意だと言わんばかりの表情を形成した。


「本当かよ。ほかにあるのかよ」


 一輝はあからさまに怪訝な目を向けた。明らかに一輝は羽矢を疑っていた。実際に、羽矢はほとんど場合、ネット小説の話を持ち掛ける。


「そ、それはもちろんあるぞ。例えば、美容関係の話とかな。洗顔や化粧品の話なら存分にできるぞ!」


 羽矢はいささか取り乱しながら、右手の人差し指を立てた。


「いやいや。俺が美容に関する知識を全く持ってないのに、どうやって話を展開するんだよ」


 一輝は即座に羽矢に違和感を感じてツッコむ。


「そ、そうか。朝元は美容に関する知識はないんだな。知らなかったなー」


 羽矢はわざとらしく棒読みで応答する。羽矢の視線は一輝ではなく、教室の天井にある。


「ちょ、ちょっと!かずくんも増本さんも2人で盛り上がらないで!!1人にしないで、私も混ぜてよ!!!」


 莉菜が頬を膨らませながら、不満を口にする。


「ばかな。ばかな。なぜ、・・・なぜあの陰キャに対して2大巨頭の2人があそこまで好意的なんだ・・・」


 一方、片山は驚きを通り越して放心状態から抜け出せない。片山は一輝の周りに羽矢と莉菜が群がる事実を受け入れられないようだった。


「ちょ、ちょっと!?賢治、賢治!!大丈夫!!!」


 松本は大きく取り乱しつつも、片山の両肩を掴み、これでもかというほど強く揺すった。


 しかし、片山からは少しのリアクションも生まれなかった。身体が上下に激しく移動し、松本が必死に声をぶつけているのにもかかわらず。



⭐️⭐️⭐️

読んでくださった方、ありがとうございます!白金豪です。


いきなりですが、この作品を書こうと思った理由を説明させていただこうと思います。


私はざまぁの作品を主に書いています。そんな中、ざまぁが継続的に続く作品を書きたいと強く思っていました。そこで、カクヨムのあるネット小説を拝見させていただいているとき、閃いたのがこの小説です。


そこで、嘘告白を考えたクラスの陽キャのイケメン男子生徒と協力した女子生徒にざまぁを継続的に味わせるために、嘘告白が行われた次の日に高校の2大巨頭の美少女であり、ほとんどの男性生徒が付き合いたいと強く願う主人公の親友と幼馴染が主人公の元に好意的に訪れる話を書き始めました!!


親友と幼馴染といった美少女が違うクラスの主人公のクラスに訪れるのは私の願望です。その上、私自身、実際に高校生時代に学園でも有名な可愛い女子生徒にそんなことをしてもらえないかと、願っていたことでもありました。実際には、そんなこと全く起きませんでしたが。


それと、嘘告白に関わったメインの2人にざまぁを継続的に与える、これはざまぁ好きの私の欲望が多く詰まっています。


長文になってしまい申し訳ありませんでした。ですが、ここまで述べた部分が今回の小説の起源です。

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