「パララ・サルーン」について

 異世界から転移してきたスガワラにとって、元の世界と決定的に違う「魔法の概念」を作中で説明させる重要な役割を担って登場した人物です。


 魔法の優れた才能を持ちながら、考え方という意味で「希望」と「絶望」、パララとラナンキュラスは、対をなす存在として描かれています。



 身長は150弱、肩より長い濃い青色をした髪をしています。年齢設定は18~20ですが、作中でスガワラが何度か思うように、非常に幼い顔立ちをしています。顔と同様に、身体的な発育も遅いようで、そこに若干のコンプレックスを感じています。


 鍔の広いとんがり帽子と濃紺のボレロ、という誰もが魔法使いを想像したら思い浮かべそうな衣装をまとっています。


 精神的に成熟している登場人物が多かったために、頼りない人物を1人メインキャストに据えたいと考えた側面もあります。



 魔法に関しては、才能とともにそれなりの誇りをもっており、第9話「不感の才能」では、アレンビーに対して「負けません」と自身の能力への自信も覗かせます。

 自分に2面性があることを自覚しており、魔法を使う、もしくはそれに近い状況に追いやられるとスイッチが入ります。この状態になると、言動、表情すべてが別人のように変わります。


 普段の言動や見た目と魔法の能力とのギャップが大きいため、もっている能力以上に周りを驚かせている節もあります。



 作中であまり細かい描写はありませんが、基本的に魔法の才能以外はあまり恵まれておらず、「ダメな子」の印象が強い人物です。


 ある種の「トラブル体質」で、彼女の意思に関係なく、トラブルが向こうからやってくる不幸な人物ともいえます(泣)。


 元が頼りない人物ということもあり、わかりやすく作品内で精神的な成長をしていく人物です。 

 最終的には、彼女の存在がラナンキュラスを再起させる大きな原動力ともなりました。



 筆者としては、物語の先に行き詰ったときに彼女を頻繁に登場させている節があり、「困ったときのパララ頼み」で執筆していました(笑)。


 顕著なのが、第9話「不感の才能」の魔法闘技です。初期の構想段階では、魔法闘技、という存在自体がありませんでした。ですが、パララのもっとも印象深い話はおそらくここになるのではないかと思います。


 第3話「魔法使いの挑戦」にて、「――ぼろぼろの辞典のようなものが鞄から出てきたが、そちらはすぐにしまっていた」の一文が、物語後半のいろんなところで効いてくるので、筆者として登場時からうまく扱えた人物かと思っています。

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