第14話 盗賊について
朝ご飯はパンとサラダと猪肉のシチュー。シチューとかいってもベースのポトフにミルクとか入れただけのなんちゃってシチューですが。
食卓に並べていると父さんが母さんを抱えて連れてきた。起こすのを諦めたらしい。
「今日はかなり手強そうだね」
「寝ぼけてる時とかめちゃくちゃ可愛いぞ。家族以外には見せられんがな」
幼児化してるからね。そんな母さんにデレてるおっさんとか家族以外には絶対に見せちゃいけない。
「ん~…ごはん…」
匂いに反応して起きたみたいだ。狩人だった頃は気にしてなかったけど、母さんは何時くらいに起きてたんだろう。夜更かしは…まあ、元気な時以外はしないタイプだし。
「母さんの顔を洗ってきてあげたら?」
「ダメだ。完全に目が覚めたら自分で食べるかもしれない」
「父さん…」
この人が一番ダメな気がする。まあ、夫婦円満の秘訣とかかもしれないから黙っておこう。
「じゃあ、いただきます」
「いただきます」
「いただき…まふ」
父さん達がイチャイチャしてるのでアカネに食べさせながら俺も食べた。タタルの町に行ったら調味料とか香草とか見てみたいな。同じ食材でもいろいろ試せるし。
「今日は街道に戻って町に向かうのかな?」
「いや、街道は行かない」
「なんで?」
「盗賊がいるとアーノルが言ってただろう。街道付近にはアジトはないだろうからな」
そういえば昨晩、村を出る時に気を付けろって言われてたっけ。
「探すの?」
「リベラからタタルまではほぼ草原。行商も旅人もほとんど行き来しない。おおよそだが予想できる」
「盗賊なんか久しぶりだよね。こんなところで狙っても割に合わない気がするけど」
「街道の巡回をしてないからアジトが見つかる可能性が低いのは利点ではある。リベラからの帰りなら高価なポーションや魔物の素材も狙えるからな」
「なるほど…多くても10人くらいの小規模かな」
「多分な。まあ、もうポーションを売る事はなくなるだろうから帰りを狙っても大して金にならんだろう」
「ポーションか。母さん…気にしてなかったけど村の稼ぎ頭だったんだね」
いつもポーション作りに追われてた理由がわかった。…リベラ村、大丈夫か?
「今後は行商を呼び出す料金がかかるかもしれんな。まあ、俺達が住み始めるまでも成り立ってたんだ。どうにかするだろう」
「そうだね」
「気になるのが行商が遅れる事なくリベラに来てた事だ。馬車で半日程度とはいえ被害に遭ったなら予定通り来れないはずだろう。」
「盗賊を見かけたけど被害に遭ってない…?盗賊じゃないかもしれないのかな」
「いろいろ気になる点があるからな。小規模なら討伐の準備に時間はそれほど必要ない。タタルから手配されていたら探しても間に合わないかもしれんが…」
父さんは盗賊の正体に心当たりがあるのだろうか。そういう言われ方をしたら気になるなぁ…
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