一章 リベラ→タタル
第13話 アカネの朝ご飯?
いつもと違う環境だからだろうか。日の出と共に目が覚めた。父さんと歩き続けて川の付近に着いたのが3時くらい?今の季節から考えたら日の出は6時くらいだろうか。睡眠時間3時間か。二度寝する感じじゃないし…
ふとアカネがいない事に気付いた。寝る時まで一緒にいたはずなのに…野生に帰ったとか?いやいや、ウチのアカネに限って…ってか野放しにしたら危ないレベルじゃないかな。見た目はただのレッドスライムだけどレベル118ですよ?レベル8のゴブリンを相手にする感覚で誰かが挑んだらアカネに食料として美味しくいただかれてしまうのでは!?
気配察知を使ってアカネの気配を探してみる。弱々しい反応はあるけどアカネじゃない。ってか父さんの気配が大きすぎて凄い邪魔。ああ、父さん起きてるっぽいな。父さんの気配察知なら見つかる気がする。よし、着替えて行こう。
父さんは外で大剣を使って素振りしていた。父さんの異常な筋肉は日々の努力で作られているのですね。
「父さん。おはよう」
「マークか。おはよう。まだあまり寝てないだろう?大丈夫か?」
「なんか目が覚めちゃってね。ところでアカネ見てない?俺の気配察知の範囲内にはいないみたいなんだけど…」
「アカネ?さっき川の上流のほうに向かって行ったぞ。それなりの速さだったから急いでたのかもしれないな」
「何かあったのかな。探してみるよ」
「ああ。気を付けてな」
父さんに見送られて川の上流に向かう。方向がわかるなら父さんに気配察知を使ってもらわなくても探し出せるだろう。
気配察知を使いながらしばらく歩いているとアカネの気配を感じた。周囲に多くの反応がある…囲まれている?急がなきゃ!!
アカネがいた。大量のブルースライムに囲まれている。これは…なんだろう。イジメ?
アカネは普段通りまったりしてる気がする。
争ってる感じはしないので様子を見る事にした。
しばらく様子を見ていてもアカネもスライムも動かない。本当になんだろう。ん~。お見合いとか?アカネも年頃…なのか?スライムの年頃っていつよ。とか考えてたらブルースライムの群れの中から飛び出してアカネの前に対峙する個体が出てきた。なんとなく空気が張り詰めた気がする。
ここに到着してから30分くらい経った。ブルースライムの個体がアカネと対峙して10分。アカネが特別にのんびりしてると思ってたが違うらしい。スライムは基本的にのんびりしてるんだな。そろそろ飽きてきたんですが…
更に5分くらい観察しているとブルースライムがアカネに向かって飛び掛かった。あれは…攻撃?
アカネは避けない。ブルースライムがぶつかると思っていたが結果は違った。
ブルースライムはアカネの中に入っていったのだ。一匹が入っていったのを皮切りに周囲の全てのブルースライムがアカネに向かって飛び掛かった。アカネは四方から飛んでくる全てのブルースライムを受け入れた。
残ったのはアカネのみとなった。長年一緒にいるけどこんな光景は見た事がない。いったい何だったんだ?
アカネだけになったので近づいてみる。アカネはいつも通りだ。大量のスライムが中に入ったから大きくなったりしてると思ったんだが…いや、何もないはずがない。鑑定で見てみるか。
アカネ レッドスライム レベル153
火魔法B 水魔法C 風魔法D 魔力増強B 気配遮断 隠密 気配察知 膨張 収縮 吸収
…なんかレベルアップしてる。水魔法とか覚えてるし。食ったの?あのブルースライム全部食ったの?
「アカネ…え~っと…共食いしたの?」
アカネはご機嫌そうにプルプル震えてる。……まあ、いいか。強くなって悪い事はない…多分。アカネを見る目が少し変わりそうだけど、スライム的には普通の事かもしれないし。うん。気にしない。
「帰ろうか。朝ご飯作らなきゃいけないからね」
アカネを探しに来て1時間は経ってる。母さんはまだ起きてないだろうけどそろそろ準備しないとね。
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