第7話 村長訪問?

 昼食を食べて少し休んだ後に父さんが村長さんの家に向かった。

 村長さんの家で話すとカイゼルが帰ってくるかもしれないので我が家に連れてくるそうだ。何故か大剣を持っていったが理由は考えないようにしよう。


 「村長さんが家に来る事ってほとんど無かったね」


 「村長は私達の事が苦手だからねぇ」


 「そうなの?」


 「あの人、なんか偉そうだけど…別に貴族でもないし。鑑定使えるだけのおじさんよ?」


 「ああ、そういう対応するから嫌われてるんだね。村長さん、プライド高いからなぁ…」


 「村長ってだけで普段は何もしてないからね~。領主への報告と納税の時くらいしか仕事してないんじゃないかな?」


 村長の仕事を全く理解してないから何も言えないけど、普段は特に何かしてるのを見た事無いな。カイゼルも基本的に家で何かしてるけど決まった仕事はしてないし。


 「まあ…よくわからないけど、村長さんにしかできない仕事もあるんじゃないかな?」


 「ん~。一応、リベラの村は国から悪鬼の森の監視を任されてるらしいけど、実際に仕事してるのはパパ達だし…」


 巡回や狩りの際にゴブリンを間引くのは仕事である。異常な数のゴブリンや見かけない魔物が発見されたら大発生の兆候としてすぐに報告しなければならない。


 「狩りは日課だからね。動物の肉がなきゃ村の人達が困る」


 「狩り以外の男手も貴重なんだから村長も何かやればいいって思うのが普通じゃない?」


 「まあ…そうなのかな?」


 「で、積極的に何かやるわけでもなく無駄に偉そうだから嫌いなの。貴族の理不尽さに比べればマシだけど」


 「貴族って見たことないからなぁ…」


 「貴族は凄いわよ~。平民は税を納める家畜にしか見えてないから」


 「関わりたくないね」


 「まあ、この村を出たら注意しましょうね」


 「うん」


 母さんと話をしていると父さん達の気配が近づいてきた。上手く誘えたみたいだ。


 「そろそろ帰ってくるよ」


 「じゃあ、お茶の準備をお願いしてもいいかしら?私は甘いのがいいな」


 「うん。母さんのお茶にはジャム入れておくね」


 調理場でお湯を沸かす。カップ4つとスープ皿を1つ。アカネはお茶を淹れたら飲みたがる。


 「ただいま」


 父さんだ。出かけた時に持っていった大剣を壁にかけると肩に担いでいた村長を床に下ろした。なんで担いで帰ってきたんだろう。

気絶してるっぽいんですが。


 「あらあら。今から大事な話をするのに寝てるなんて…」

 

 母さんは収納魔法を使って1本のポーションを取り出した。


 「気付け薬か?」


 「ええ。夢魔の催眠にも有効なとっておきよ。3日は眠らなくても大丈夫なオマケ付き」


 「なんか凄そうだねぇ」


 父さんは母さんから気付け薬を受け取ると村長の口の中に流し込む。


 「……ッグフッ!!ゲホッ!!」


 死んだように眠って(?)いた村長が激しく咳き込みながら飛び起きた。


 「クソマッズ…水…水くれ…え?何だ?」

 

 よほど酷い味だったのだろう。村長は水を求めて周囲を見るが、ここが自分の家ではない事に気が付いたらしい。


 「村長さん。水です」


 「マーク?ああ、ありがとう…」


 水を飲んで一息ついたのか村長は改めて状況を確認する。


 「私は何故ここに…?さっきまで家でマイトと話していた…よな?」


 「俺が気絶させて俺の家に連れてきた。大事な話がある」


 「普通に呼べなかったのか?」


 「こっちのほうが早かった。とりあえず座れ」

 

 父さんは既に座っている母さんの隣の席に座る。


 「まったく…私の時間を割くとは…つまらん要件なら許さんからな!!」


 村長は文句を言いながらも向かい合うように席に座る。俺も人数分のお茶をトレイに載せてテーブルに向かった。

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