第45話:宇佐山城救援(第8章終わり~♪)
1569年8月
西近江。堅田北
宇佐山城が遠く南4kmに見えます。その手前になんかワシャワシャ人だかりがあります。約2万5千人います。
慶次の目算では2万4994人だそうで。あまり意味のないスキルです。
黒古の針でなにか意味のあるスキルにしてもらうか?
今回は第3大隊、1200人。
参謀長、作戦増幅機半兵衛っち。
突撃隊長、世紀末的な前田慶次。
第3大隊長、磯野カツ……員昌。
この連中がついてきました。
楽な戦場になるといいんだけどなぁ。
でも25000対1200ですぜ、紳士淑女の皆さま。
勝てるわけあるかいっ!
「殿さんよ。勝たなくてもよい戦いは楽だな。逃げていればいい」
「そうもいきません。宇佐山城を救援しに来たことを見せつけねば」
「儂にやらせてくれ。朝倉のこちらへ向けて備えてある兵は5000程度。如何様にもかき回してくれる」
残り2個大隊2000人が到着するまで1日。
それまで持つかな宇佐山城。
あそこが落ちちゃうと、信ちゃんの弟が戦死して怒った信ちゃんが比叡山を焼くフラグが立っちゃう。
なんとか混乱させなくちゃなんない。
半兵衛っちに直接聞くしかないよね。
「半兵衛、良い策は……」
「ございますか? さすがは殿」
おい!
人の話をさえぎるな!
こっちが聞こうとしたんじゃないかよ!
みんな、興味津々の顔で見て来る。
最近、今張良とか言われ始めた、光秀。
今孔明がいるのに何でそんな言われように。
悪名高めて、それ打ち消したい。
でもそうなると安楽な6畳1間が遠ざかる。
「その手ですね! やはりそれしかございません」
ま~た、これだよ。
すでに心は骸骨です。
「遠ざかる?」
「は、戦はしなくともよいと、あの盤上の遊戯にて殿に教わりました。ここは朝倉に退いてもらえばよいだけの事」
まあ、そうだよね。
朝倉攻めはここではなくて、それも織田の軍勢の総力を挙げてやるもの。ついでに調略もしとかないと一気に攻められない。もう作戦放棄するか。
「一揆ですか。しかし堅田の宗徒は一向宗からは離れられないかと。今回の場合は本願寺がまだ表立って蜂起していないためにできた調略にて」
え~と。
第1次信ちゃん包囲網って、本願寺も敵対したよね?
で、信ちゃん摂津から帰るの遅くなって比叡山でにらみ合いに。
「やばい。早くしなくては」
「夜に這って奇襲か? 殿さん」
慶次、お前もか?
聞き間違いの多い家臣嫌いだ><;
「そうですね。ここは兵糧を焼き払って継戦能力を無くさせるしかありません」
「儂らにやらせてくれ。元浅井家臣。夜襲は得意。泥をすすり這ってでも敵を仕留める!」
いやいや、戦わなくていいんです。
このカツ……員昌って奴。
もっとずるがしこい奴かと思ったけど、名前が鰹、ではなく勝夫だったのか? 勝ちにこだわる奴はいつか死んじゃうよ?
「では、第3大隊の中核戦力、第1中隊250名で夜襲。そのほかは撤退を援護できるところに布陣。十字射撃をする用意を。
それから殿」
「なんだ?」
「あれとあれを使ってよろしいでしょうか?」
いや、だからさ。
代名詞使うのは禁止!
はっきり固有名詞使ってね。
「あれか?」
「はい。賤ヶ岳13人衆と『くれ芋ぁ』でございます」
あれ使っちゃう?
13人衆はいいけどさ。
『くれ芋ぁ』かぁ。
冬木の奴が『何を』詰めているのかわからないのがコワイ!
一応、今回は「ちゃんと敵をやっつけられると思うよ~」とか言っていたが信用すれば命に関わるぞ!
「中身は聞いたのか?」
「はい。説明書を頂きましたゆえ、ご安心を」
珍しいな、あいつにしては。
「全て、見事な色付きの絵画にて。子細に説明がなされておりまする」
……そっちがメインの制作品な訳ね。
バエる絵を描きたいがためのクレイモア。
納得しました。
早く俺も遊びて~~~、と切に願う光秀でした。
◇ ◇ ◇ ◇
「殿、最初の『くれ芋ぁ』が発射されます」
半兵衛っちのナレーションと共に、琵琶湖大花火大会が開催されました。
「まずは敵の歩哨を照らし出します。赤を中心とした焙烙火矢」
2人で持ち運んで、敵のすぐ近くまで運んで行った棒の先についた焙烙を火薬の力で飛ばす。
数本が敵前線に着弾し、辺りを明るく照らす。
もちろん赤いのはまぶしくなり過ぎて、暗くなった時に視力が落ちるのを防ぐことだよ。
これは珍しく冬木が基本をきちんと守ってくれた。
「次は13人衆の狙撃です」
各自6丁を携行していった13人のスナイパーが必中の狙撃を行う。
やっとポリゴナルライフルがまともに飛ぶようになったので、200m位はなんとか人に当てられるまでになったとか。
今ね。
革新的な兵器、作っちゃってるんだ。
一つは褐色火薬。
もう一つは、ナイショ。
「
白いたすきを味方であることの目印にして、同士討ちを避けている。
ここは旅順要塞ではありません。
滋賀県大津市です。
絶対に乃木坂の場所に明智坂なんか作るなよ! 46人可愛い子集めてくれればちょっとうれしいのはヲタクとして当たり前だが、城攻めは工兵隊の仕事です。
「兵糧に炮烙玉を設置して撤退始めました。敵は気づかないようです」
戦いって、敵の作戦意図を見誤らせることが重要だ。
盛大に兵糧が燃えていれば、それが作戦目的だってわかっちゃうから、時間差を置いた。
その時間で逃げる!
「磯野殿、撤退を始めました」
「兵糧が燃え始めたぜ。敵が照らされてきた。うようよいやがる。349人。819人。1017人……」
慶次。
それ意味ないからやらなくていいよ。
「予定線まで撤退完了。『くれ芋ぁ』発射」
どっかああん!
どっか~~~ん!
どかんっ!
次から次へと、発射される『一尺玉』。
あ~、あれだな。
垂直に打ち上げて「た~まやぁ~」とかいうやつ。
あれを平行に打ち出しやがった。
前方から悲鳴。
「あちちち!」
「ぐっ!」
「ぬおぅ!」
「くさい!」
色々な感想です。
そんなに感動した?
よかったね、400年後まで待たずに花火を体験出来て。
でも最後の「くさい!」って?
「最後の『くれ芋ぁ』のテーマはイタチの最後っ屁だそうです」
芋食っていると臭いんだろうなぁ。
最後っ屁。
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