第44話:本拠地と軍団
1569年6月
北近江。今浜改め長浜
「キンカン! ここに港とそれを守る城を作れ」
信ちゃんにそう言われた時。
へ?
と、なりました。
そりゃそうだよね。
ちょっと戦国時代知っている人ならわかる。
この今浜の名前を改め、長浜城作って浅井の代わりに肥えた北近江を領地にしたのって、
ひ・で・よ・し!!
だよ?
俺、光秀は坂本でしょ? 坂本!!
琵琶湖の東西で連携して安土城守れって、そして東西南北からの物資流通を押さえろって。
そういう狙いじゃん?
ああ。
そうね。
本物光秀の代わりに秀吉君が朝廷工作始めたから、坂本は秀吉にと考えたんでしょ、信ちゃん。
まだ坂本城作る時期じゃないだろうけど、きっとそう。
で、その前に浅井家が滅んだ。
だからその本拠地、小谷城を廃城にして平地に守備よりも交通の便を守備するための城作れって、
俺に命令したんだよ。
何故って?
俺が中心になって浅井潰しちゃいました。
姉川みたいな決戦じゃなくてね。
茶番の戦いしているうちに『誰かが』長政の首取ってしまい。
浅井勢総崩れ……のふりして、降伏したんです。
家臣一同、みんな。
降伏遅れた人は柴田のおっさんに撃破された悲しい結末になったけどね。
賤ヶ岳から降りて来た、賤ヶ岳13人衆という名前がついたスナイパー連中を先頭に、一気に後方から押しつぶした。
お蔭で結構、兜首が降伏する前に死んでしまいました。
そして長政の首は黄金のドクロで祝杯上げて、酒飲まされるのが嫌いなヘタレ武将の手によって丁重に葬られました。
それ以上は詮索しないの!
信ちゃん、何も言わずに見逃してくれたのはいいけどね。
代わりに『俺の持ち出しで』ここに城作れって!
12万石以上あるからそのくらいできるだろうって。
プラスアルファ持っているんだから、もう支援しないって!!
また極貧生活が続く光秀です><;
とりあえず1年は、ここで築城と朝倉の抑え。
そしていざというときの戦略予備として軍勢を養え、とのこと。
やってやろうじゃないの。
難攻不落要塞!
五芒星★型要塞!!
あ、資材に使うから★1つでいいから付けてください(メタ発言)。
◇ ◇ ◇ ◇
8月になりました。
そろそろ田んぼの手入れで大変な時です。
お百姓さんは額に汗して働き精が出ています。
だがな!
なんでこんな時期に戦始めちゃうんだよ、朝倉君!
8月から三好征伐に総力上げて摂津に行っていた信ちゃん。
急に蜂起した本願寺の
その隙を突いたんだろうね。
たしか正史では浅井と共に坂本まで行って、俺の作った宇佐山城を落城させている。
だがな。
そこ落とすの大変だよ?
と、思っていたんだけどね。
落城寸前だって。
裏山の比叡山から僧兵がなだれ込んでいるとか。
内応者があったんでしょね。
だから明智機動部隊が派遣されることになった。
ということで、俺今、ジャガイモの箱の代わりに豪華な訓示台の上に乗っている。
「全員傾注! 信長様から宇佐山救援の命令があった。行動計画の詳細は各隊幹部へ竹中参謀長より指示がある。その前に部隊全員に光秀様より訓示である。多くの者が初めての合同軍事行動である故、心して聞かれよ!」
副将である利家に~ちゃんから檄が飛ぶ。
いや、そんなに
俺、そんなにかっこいい事言えないよ?
ハードル上げないで!
でも、言わないといけなんだよな。
この
『元浅井家臣』
の連中に!
こいつら全部俺の配下になっちゃっています。
「兵士諸君!
君たちの欲するものはなんだ?
浅井の旧臣としての侮蔑か?
それを打ち消すための勲功か?
武勲に相応する、金銀銭、領地か?
いや、そんなものでは無いだろう!
そのような小さきものは後からついてくる!
我らの進むべきところには幾千万の敵。
そして我らの過ぎ去った道には、幾千万の笑顔の民衆。
それが明智機動部隊だ!
全ての敵を駆逐する。
全ての悪を打ち砕く。
全ての苦しみからの解放者。
それが我らのあるべき姿!
これから悪辣な朝倉と、物欲肉欲におぼれた腐れ坊主どもに鉄槌を下し、西近江に平安をもたらす。
兵士諸君。
君たちの戦いを、あの琵琶湖の中から40世紀の歴史が見守っているのだ!」
てへぺろ。
エジプト遠征の時のナポレオン演説の真似しちゃったよ。
ピラミッドないから琵琶湖の龍神様信仰を使いました。
浅井旧臣ならわかってくれると思ふ。
おおおおおおおおお!!!!
やっぱり吼えちゃっている。
俺って実は扇動者の才能ある?
いや、占道の力の方がいいです。
今度、宝くじ販売と競馬つくって、そのダフ屋と予想屋の元締めになって大儲けするんだ!
「この3月の間に再編成された、3個大隊に加えて、輜重大隊をすべて投入。一気に80kmを踏破。そのまま戦場に突入する。
心してかかれ!」
利家のに~ちゃんが吼える。
元の1個中隊の隊員たちを、下士官として3個大隊に配備。
大隊長は利家のに~ちゃんと金森君。
それと磯野カツ……磯野員昌。
今はまだ、士官は浅井の旧臣だけどね。
そこに今まで小隊長なんかやっていた連中を補佐に付けた。
これで何とかなるかな。
まあ、ダメだったら、またあとで考えよう。
臨機応変さ。
え? 適当な奴だなって? 他にどうしろと?
じゃ変わって頂戴。
肩たたきされた俺、閑職につくからさ、倉庫整理とか。そこ秘密基地にして。暗躍するんだ。陰の実力者ってかっこいいよね。
そんな秘密基地作るからさ、だれか肩たたきしてよ。
「殿! わたくし、勝手働きをしておりました。
お許しください!
殿におかれては、なんでもお見通しということ、甘く見ておりました」
どったの?
半兵衛っち。
「は。殿に変わり感触のよいものには調略を。堅田(かたた)の水軍衆。その半数は既に内応の約定を交わしており。すでに殿の秘密基地となる準備が着々と進行中。
いささか不安ではございまするが、琵琶湖を通りここより半日で兵1000程ならば堅田に上陸、宇佐山を包囲している朝倉勢の背後に出られるかと。
甲賀のものも暗夜にまぎれて、怪しきものは実力者と言えども陰で仕留められるかと。これで堅田は殿の秘密基地に!」
・・・・・・
聞こえていた?
心の声が漏れた?
またもや変な風に受け取られちゃったよ。
しかし。
いつもながら半兵衛っち。
いつそんなことやってるのよ?
ブラックすぎるっしょ。
早死にするよ?
あとで勤務時間を守るように全軍に通達出そう。
「そ、そうか。では第3大隊を先行させよう」
「では、殿の直轄という事でしょうか? あの隊が一番統制が取れませぬ。それを統率されるには神業の采配が……」
「やはり第1……」
すでに遅かったです。
磯野カツ……磯野員昌さん。
全開でやる気になっております。
俺、危ない橋はやっぱ失ってもあまり痛くない隊を、と思ったんだけど。
俺も行くのかよ!!??
光秀、墓穴を掘りました。
墓穴ではなくて、早く6畳1間に押し込めて幽閉してください!
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