第29話:ヒンヌー教のご本尊様を捕獲!(第5章終わり~♪)


「待ちなさいっ! よくもやってくれたわね! もう許さないんだから!」


 忍者っぽくない幼馴染系アニメ声で、これまた忍者っぽくないセリフが近くの林から聞こえてくる。

 そこから数人の男を連れて、あのアゲハを倒した少女忍者が出て来た。

 逆ハーレムか~、うらやましい。ヲタクの理想の一形態だね、悪役令嬢物とかは最強テイスト。


「今度は逃がさないからね。私の糸の餌食になるといいわ!」


「それってさ、自分の得意武器をおもいっきり敵に教えているんじゃね?」


 こちらも思いっきり顔が赤くなり湯気が出る少女忍者。


「うっさいわね! わかっててもこの糸、逃げられないのよ!」


「カーボンナノチューブででも出来ているのか? 絶壁少女」


 炭素繊維の事を知らないのは当たり前だが、『絶壁』の方にばかり気を取られて激怒している様は、やっぱり抜けているとしか言いようがない。ちょっとだけ可愛いとも思う。いわゆる『ぽんこつ可愛い』?

 鑑賞に値するなぁ。


「今回はぜったいに逃げ出さないよう、仕掛けを用意したわ。お前たち、見せてやりなさい」


 女王陛下にかしずく家来のような態度の下忍が、後ろから縛られたアゲハを連れ出し、背中を蹴って前に這いつくばらせる。


 おい!

 背中はやめろ!

 また背骨がイっちゃうじゃないか!!


「武士も勝つためには何でもすると、朝倉宗滴様もおっしゃってなくなったわ。ましてや忍びはどんな手を使ってでも勝つ!」


 勝ち誇ったように、アゲハを縛っている縄の先を引っ張って見せる。


「おお。今帰ったか。雪風」


「こ奴。運慶を倒した。油断するな」


「甲賀の四天王が一位。その技を見せてやれ」


 最強なのか。道理で強いわけだ。

 常人相手ならば無敵だろうね。でもそのネーミング、ちょっとエロいイメージがありすぎだろ? もしくは帝国海軍の強運艦かブーメラン的な戦闘偵察機?


「武器を捨てなさい。全てよっ!」


 俺は言われるがまま、武器を捨て始めた。


 腰の後ろの特製片手剣二振り。

 右腰のホイールロック拳銃をホルスターごと。

 左腰の備前長船兼光。

 胸に付けているケーパーナイフ。

 背中のフリントロックショットガン。

 胸元とサイドに吊るしてある焙烙玉。

 ふくらはぎ外側のサバイバルナイフとボウイナイフ。

 ククリ、ダガー、ダーツ。

 マルチツールナイフ……


「あんた。どれだけ持っていたのよ!!」


「いや、まだ半分以上残っているが」


「も、もういいわ。まとめて武器ごと細切れに切り刻んであげる! 

 今のうちに神仏に祈りなさい」


「あいにく俺。無神論者なんだ。だけど今度ヒンヌー教徒になってやってもいいぞ?」


 全く意味は通じなかったようだが、あざけりの言葉ということは通じて何より。

 そろそろお開きにするか。



「アゲハ。もう治ったか?」


「はいです。花のぴんぴん丸です」


「じゃ、あとは任せた」



 アゲハは器用にも、縄でぐるぐる巻きにされた状態で、ぴょんと立ち上がり「ふんすっ、です」と可愛い声をあげて縄をぶっちぎった。


 黒古に言わせると、アゲハは俊敏性では俺に劣るものの、スキル『怪力!』を入手したらしい。あとは『無敵タイム』とかいろいろ。

 なんちゅうチート医療。恐るべし一子相伝の伝説的技術。

 あ。これって結構昔からあったりすると、戦国時代にはもうあった? いや、縄文時代や超古代文明の時から……


 俺が古代ロマンに浸っているうちに、アゲハは残っていた敵全員を捕獲。自慢げに俺を見て来る。


「よくやった。心配したぞ。体は大丈夫か?」


「はい、で?……す↓……」


 自分の身体に異常がないかを確認したアゲハが、急に俺の方を向いて、宇宙が破滅したような表情をする。

 着ていた忍者コスが、絶壁な糸使い少女、雪風の手で斬り刻まれていた。

『無敵』スキルで完全防御なんだろうな、は。けど服はHPが尽きて残骸となっている。


「今度、寧々ちゃんにもっとかっこいいコス作ってもらおうな」


 俺はアゲハが敵を翻弄している間に拾っておいた、拳銃とショットガンを長老たちに突き付けた。



「待て! 待ってくれ」


「これ以上被害が出ては、甲賀は成り立たぬ」


「要求を呑もう。降参じゃ」


「了解。では、蒲生殿の立ち合いの元、熊野牛王符の誓いを……」


「「「ははっ!!」」」


 うんうん、と首を縦に振る俺。

 あれ?

 今更ながら、めまいがすごいんですが。

 これ。治るよね?

 後遺症とかあったら、労災降りるかな?


 今度、福利厚生システムを信ちゃんに献策しなくては……


 そして俺の意識はブラックアウトした。




 ◇ ◇ ◇ ◇



「あんたねぇ。ずるっこいのよ。蹴飛ばしてやるから空の★になりなさいっ!」

「アゲハ、その★ほしいでち」


 色々な属性のヒロイン?登場。

 次回から京都で暴れまくります。



「これは笑える作品だ」と思われた方は★3つ。

「まあまあなんじゃない?」と思われた方は★1つで、ぜひ評価してください♪


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