第28話:テンプレは偉大だがリアルだと飽きる


「おのれ。少しはやるな」


「ま、まだまだ」


「この者は四天王の中でも最弱のもの。次は甲賀最強の……」



「たとえテンプレ儀式でも、もう飽きたよ。まとめてかかってきてよね」


 そう答えると、俺に頭痛が襲う。

 めまいを押さえて周りを見る。

 あれ~、100人どころか200人はいる?

 これ倒しちゃっていいの? 全員。

 恨み買うだけじゃない?


 とりあえず正面で笑いながら立って固まっているように見える爺さんたちを、縄でぐるぐる巻きにする。周りに散開していた忍者連中も拳骨で倒していく。


 あ、やばっ。

 頭痛がひどくなってきた。

 急いで小屋の中へ入り、加速を解く。


「黒古、出番だ。……頭いて~~」


「しょうがないですわね~」


 黒古が太い針を数本、絶対領域より少し上、スカートに隠れたベルトから取り出し、俺のうなじに刺していく。


「サンキュ。おさまった」


「すぐ帰ってきなさい。1分と持たないわ、きっと」


 黒古に痛み止めをしてもらって、能力値限界まで加速。次から次へと甲賀忍を自分たちが持っていた縄でぐるぐる巻きにしていく。


 やばっ。

 50人くらい縛り上げると、もう痛み止めが切れて来た。

 再び黒古の元へ。


「次は効果半減よ。気をつけてですわ」


「し、仕方ない。頑張る!」


 30人縛って来た。

 20本くらい針を刺された。


 15人縛って来た。

 50本くらい針を刺された。


 5人縛って来た。

 100本くらい刺された。


「おい。もう効果なくなって来た。何とかしろ」


「じゃ、次はちょっと痛いですわよ?」


 を止めるために、を打つとかなんだ? それ。


 とりま。

 やってもらいましょう。



「……これで行くのか?」


「そうよ。それなら少しは持つでしょう。それにいかにもヲタクという恰好でステキ!」


「それもそう……か?」



 もう忍者連中を縛るのは面倒だ。

 俺はわざと向こうに攻撃させて、反射パリィ100%で倒す。敵にパトリシアがいない限り倒せるだろう。エーテルブラストで味方全体に攻撃1回分の無敵を付与とかチートすぎる。


 俺はゆっくりと小屋から出て姿を敵にさらした。


「お主! いつからそこに!?」


「あちこちで我が手勢が倒される気配がしたが、何をした?」


「お主は、天狗か? はたまた地獄の使いか?」


 あのなぁ。

 自分たちが縛られているの気づかないとか、なにそれ?


「天狗ねぇ。坊主や陰陽師に間違えられるよりいいかな、そっちの方が」


 そう言っているそばから、短弓の攻撃を無数に受ける。

 これくらいなら加速しなくてもかわせるし、剣聖から教わった無刀取りを真似て?指で、次から次へと矢を回収。その後、加速して、さっき弓使った連中を倒していく。



 再びさっきの位置まで帰ってきました。


「お、お前。それ程、やられているのになぜ動ける?」


「白い首布が真っ赤だぞ?」


「所々、針が見えるではないか。毒を塗った棒手裏剣が刺さっていて倒れないとは!」


 あ。

 見つかっちゃった?

 ハズい。

 今ね。首に無数の針が刺さっているの。置き針だそうで。頭痛を止めている。

 余りにもみっともないから、白くて長いマフラー付けてるのよ。加速している人がこれをつけるのは様式美。


 でも血が出て来たらしい。

 やばいっす。



「もう、約束の100人は倒したぞ? まだやるのか? それではこっちも手加減はしない。最新鋭の鉄砲を使用する」


 さっきの威勢はどこへやら。

 爺さん連中、顔を真っ青にして今にも降伏しそう。



「待ちなさいっ! よくもやってくれたわね! もう許さないんだから!」


 忍者っぽくない幼馴染系アニメ声で、これまた忍者っぽくないセリフが近くの林から聞こえてくる。

 そこから数人の男を連れて、あのアゲハを倒した少女忍者が出て来た。


 やはりあのツンデレポーズで俺を指さしてきた。また加速しないといけないのか?

 もう限界なんだけど。頭痛よりも針の方が痛くてさ。


 なんか楽な方法はないものか?

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