第11話 初めての乗馬 

🖼 初めての乗馬 


ガントさんに呼ばれて部屋に通されたが、あと一件、貴族依頼を受けてくれたら、Aランクに昇格の話があるけど、どうする?ってもう、決まったことなんでしょ?

Aランクへの希望は特にないけど、どんな仕事?って聞けば、また、貴族の護衛だって。


オルコット伯爵の姪か何かで、男爵位の女性騎士さんがいるんだって、その人が、何か? 領内の見回りに行くそうで、その相棒にご指名なんだってさ。

どうせ、指名したのは、伯爵かあんただろ? 馬に乗れるか?って聞くので、「恐らく」ってしか答えようが無い。まだ、乗馬スキルなんて持ってないしね。

どこか、乗馬の練習出来るとこ無いのか? 「あるぞ〜」

どこに? 「近衛騎士団の練習場、そこに彼女もいるよ」って、何を企んでいる?


何はともあれ、領内の騎士団の練習場にやってきて、「ギルド長のガントさんからの紹介で来ました、乗馬の練習をしたいのですが・・・」って言ったら、詰め所から、女性が出てきて、僕をじろじろ見回しているよ、「鑑定」! 

▶セリーヌ男爵 オルコット伯爵の姪 20歳 女 

・乗馬 騎馬 騎乗戦闘 早馬、念話、

・身体強化、俊足、格闘技、剣術、

・火魔法、火炎、火槍、


って、まあ、それなりのスペックだよ。

しっかりジロジロみられたけど、おかげで、いろいろ複製できたし、準備OKです。

すると、「よし、合格!」って何? 採用試験だったの? 


早速、馬を借りて、手綱を渡されたが、・・・さて、まずは・・・

念話で・・・

「あの〜、すみません、初めてなので、よろしくお願いします」

「ふん、まあ良い、乗れ、そしてしっかり捕まっていろよ」

「はい、お願いします」

って、馬に念話でお願いして、なんとか跨って、手綱を握りしめたら、馬がゆっくり歩きだして、次第に早足になっていった。

「乗馬」「騎乗」のおかげで、なんとか出来ているのが嬉しい。

なんてったって、景色が良いよ、馬の背の上だからね。


念話、「なんだ? 初めてっていうから、ゆっくり付き合ってやっているのに、・・・行くか」

って急に、この馬、走りはじめたよ、しっかり足のクッションでバランスを取って、衝撃を躱していないと、辛くなるな、・・・って頑張ってやっていたら、いつの間にか、隣を、セリーヌさんが並走しているよ。

「なんだ、出来るじゃないか、うまいもんだな、実はその馬、気難しい奴なんだが、・・」

って、何?そんな馬を、いきなりあてがってくれてるの?


「はい、なんとか、馬がリードしてくれて助かっています〜」としか言えない、しゃべっていると、舌噛みそうだし。

それでも、そんな感じで、セリーヌと並行して、練習場を10周くらいしたら、セリーヌがリードして速度を落としてくれたよ。

念話「ありがとう、なんとかなったかな?」

  「ああ、結構良い感じだったぜ、俺に任せろ」

馬から下りると、足がガクガクだよ、しまったな、緊張してて、「身体強化」を忘れていたよ。なので、「ヒール」を自分にかける。


それを見ていたのがセリーヌさんで、「回復」も使えるのか?って感心しているよ、はい、やれと言われれば、何でもやりますよ、できればね。

騎士団の食堂で、今回の依頼内容を、直に聞くことができた。


伯爵に縁のある貴族を回って、ご機嫌伺いと称して、様子を探ること、最近、おかしな動きをしているものが居るらしいのだ。

騎士団で出向くと捜査と疑われるので、セリーヌの単独行動の予定だったのだが、安全に気を使う伯爵の要望で、護衛を一人付ける、が条件となったこと、で、伯爵が僕を指名依頼したらしいよ。はい、すべて了解です。


あと、行動中は、男爵と部下では無く、セリーヌと、平民魔法師の友人という設定でいくこと、名前は呼び捨てで、セリーヌ、ヒロシ、で、ということが決まった。

道中、泊まりは、訪問先の貴族宅で部屋を借りれるはずだが、そうで無い場合も考慮して、テントを各自持参で、食料も持参で、って言い出すので、実は、僕は、「収納」持ちなんです、って「腕輪収納」を指さして、教えておいた。

なので、荷物は全部、僕が「収納」で持ちます、ってね。


セリーヌの顔が、急に輝いて見えるよ、その笑顔は反則だな。これは魅惑か何かのスキル?まあ、見た目は、やや細身ながらしまった身体の金髪美人さんなんだよね。


ふと気配を感じて、その気配の場所を見て、「カナデも来るのか?」って聞けば、「バレました、テヘヘ」って、カナデが現れたよ、セリーヌは知っていたんだな。

「何で?わかるんですか〜、内緒ですよ、カナデは出来る娘なんですから〜」ってまた消えていったよ。

まあ、カナデも居るなら、心強いかな、まだ、コミュニケーションを取っていないけど・・・あとは、実践で。



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