ある学校の美術科の浅羽は、初対面の文芸科の木下から、自作の挿絵を書いて欲しいと半ば押し付けられる。早速取り組む浅羽だったが、彼の眼には作中登場人物たちは動き回り、喋り出してしまい……。
少々変わった学生たちが、真摯に芸術に取り組み姿を切り取った現代ファンタジー。悪戦苦闘しながらも、相手を汲み取り、世界を広げていく浅羽の姿に共感し、エールを送りたくなります。
セミプロでも、人とは違う世界が見えていても、作中人物の表現と創造に対する姿勢にははっとさせられます。まだまだ世界が広がっていく予感に、ドキドキするラストでした。