①ヴァンパイア美彩よ天を堕として嗤え
いすみ 静江
プロット
お題:①に応募
・上記より、かっこよく惹き付けるカリスマ性があり、悲哀を帯びた悪として活躍する主人公の物語を目指す。
◯参考作品
芸術家、『サルバドール・ダリ』の生い立ち。
・夭逝した兄と同じ名を弟の本人は与えられたことにより、生涯に渡り影響が及んだこと。
・上記のことから、プラナリア(ウズムシ)のように分裂するイメージ。
『DEATH NOTE』、大場つぐみ様原作、小畑健様作画。
・デスノートに名前を書かれると亡くなることから。『逢魔が時刻印書』は2冊あり、白と黒の古書がある。
◯世界観
大きな目的:現代の日本に堕ちて来た主人公の女ヴァンパイアが苦行の身から人間になろうとして、女子高生と古書を挟み対峙する。夜の姉は、カリスマ性が高く、鞭を振るっても寄って来る男が多い。赤い飲み物にも毒されている可能性がある。
近年の流れ:
20年前。ヴァンパイアのエルライミサ姉妹とジャンセルが、名もない旅籠を赤い砂漠で営んでいた。
16年前。
14年前。
14年前。紫堂壱流はダムの水底に沈んだ合併前の黒村の出身で、ダム反対の母、
12年前。ダムの御霊を祀った秋河神社が村外れにあるが、そこで、神鏡聖花の母、
今年の3月。聖花と壱流の持つ白い『
キーポイント:老舗旅館かがみ屋。エルライミサが赤い砂漠で行っていたことと同じことが繰り返される。
キーアイテム:『逢魔が時の刻印書』とは、天が古の日本で、龍として観察された過程を描いた書を基本としており、旅人が赤い砂漠の名もない旅籠に置いて行った読めない本としてあったものだったが、冒頭に、エルライミサが妹と同名なのを訝しむ詩が掲載されている。その他は白紙の古書で、聖花も壱流も読み取れなかった。また、2冊で『Vの系譜』を表示できる。
◯主要キャラクター
①織部美彩(おりべ・みさ)・姉(日本)/エルライミサ・オルビニアン・姉(砂漠)……悪のカリスマ主人公で、姉妹の夜の顔。
【主人公・ヴァンパイア・女・23歳。闇属性】
ポイント:白と黒の『逢魔が時の刻印書』を手に入れて人間になりたい。だが、それは完全には叶わない夢だった。
所属:砂漠の名もなき旅籠で給仕し、鞭振るう。逢魔が時を過ぎると、妹と入れ替わる。朝焼けで自分の時間が終わる。
特殊能力:ヴァンパイアの同族を広める能力を持つ。年を取らない。転移能力も持つ。北の砂漠と日本の冬ツ湖ダムなど。
家庭環境:ガイナとシーニアに愛されて育ったが、両親亡き後、天が姿を変えた継母のジャンセルによって、与えた命を奪うと、ヴァンパイアの弱みである不死身の力を奪われそうになる。
異性の相手役:いない。
目的:聖花と壱流から容易に白と黒の『逢魔が時の刻印書』を手に入れられると思っていたが、手こずってしまい、妹に壱流を食べさせる。だが、古書は2冊共聖花が隠し持っていた。白と黒の古書を最終的には食べる。
キーアイテム:白と黒の『逢魔が時の刻印書』があれば解決すると思っている。天の邪眼からメッセージを受け、私が天下一のヴァンパイアと思わされていたが、それを覆すべく、砂漠の旅籠の走り書きで父と母を思い出し、人になりたいと思う。大ボスの天が使うジャンセルを斃す為にも古書が必要だと、赤い飲み物で陶酔した客によって知る。
キーパーソン:天の使いジャンセルに、自身の風貌が亡くなった母、シーニアに似ていると言われ、思慕の念を抱く。
性格:淡々と作業することに抵抗を感じる。言いつけられることに腹立たしく思う。旅籠で男衆にからかわれるのを嫌う。妹が鬱陶しい。しかし、半身だとも自覚している。
容姿:肌こそ褐色だが、全体に白っぽく輝いている。銀髪を長く伸ばして結わないでいる。金の瞳は憂いを持つ感じがする。怒っていないのに、気の強い顔と言われがち。服は、薄い銀色の布を巻いている。人ならば、身長165センチ、体重53キロ。バスト70のDカップ。
対となる黒い古書を持つ壱流への感情:聖花は、壱流に愛されていて羨ましい。
好きな色:銀。
呼称:自身を『アタシ』と呼ぶ。
台詞イメージ:「アタシの夢は人になること」
〈家族〉
ガイナ・オルビニアン:父。砂漠の水売り屋を兼ねた旅籠を営んでいる。エルライミサが三つで亡くなったとき、砂漠に埋葬した。神に祈ったのだが、
シーニア・オルビニアン:母。エルライミサが亡くなったとき、下の子の産み月だった。ショックの余り、早産で妹を産む。その後、容体が悪化し、亡くなる。
エルライミサ・オルビニアン/日本名・織部美彩(おりべ・みさ):妹。姉・エルライミサ亡き後間もなく産まれたのを父が今度こそ育つようにと姉と同じ名を付けた。
ジャンセル・バラム/後にジャンセル・オルビニアン/日本名・織部麗豊(おりべ・れいほう):継母。シーニア亡き後、旅人だったが、ガイナの心の隙に巣食った。ガイナ亡き後、旅籠を男衆に赤い飲み物を与える酒場のような場とし、エルライミサ姉妹をこき使った。天が姿を変えた人の生き血を集める為の仕事だ。
②織部美彩(おりべ・みさ)・妹(日本)/エルライミサ・オルビニアン・妹(砂漠)……姉の木偶人形で、姉妹の昼の顔。
【主人公の妹・ヴァンパイア・女・20歳。弱い闇属性】
姉との相違点:仕事は昼に砂漠の中で特異点に水を汲みに行く。性格は強くはなく、姉に従う。容姿は殆ど同じだが、羽織っている布が、薄い金色だ。
呼称:自身を『あたし』と呼ぶ。
台詞イメージ:「あたしは姉の幻影」
③天(てん)(霊体)/織部麗豊(おりべ・れいほう)(日本)/ジャンセル・オルビニアン(砂漠)
【
ポイント:
天と大蛇の容姿:天は、双頭の竜だが、霊的な存在だ。大蛇は、両頬と額に邪眼を持つ勾玉の模様を持つ大きな蛇。全長222センチ。
天と大蛇の呼称:自身を『我』と呼ぶ。
天と大蛇の台詞イメージ:「我は天。神に捧げよ、魔に捧げよ。赤い血を求めて止まない」
ジャンセルの容姿:髪は白髪が目立って来ており、瞳は琥珀色。顔は浮腫み、眉が薄く目が細い。肥満体で、尻で語り、身を振り歩く。身長159センチ、体重108キロ。
ジャンセルの呼称:自身を『アッシ』と呼ぶ。
ジャンセルの台詞イメージ:「アッシの鞭を食らいたくなかったら、そうさね……。言うことを聞くがいい!」
④神鏡聖花(かがみ・せいか)
【敵・人間・女性・16歳。光属性】……笑顔の可愛い女子高生。
誕生日:12月12日生まれ。
ポイント:白い『逢魔が時の刻印書』を16歳の誕生日に父から手に入れる。だが、本当は黒い古書の持ち主だった。
所属:
特殊能力:
家庭環境:母を病気で亡くしたと思っている父子家庭に育ち、父親は白黒町で蕎麦が美味しい『かがみ
異性の相手役:紫藤壱流という級友がいる。意識はしていなかったが、壱流と共に行動し、シンクロする内に、好感を持つようになる。
目的:父の宗方が隠されてしまう。そして、壱流ともシンクロできなくなり、二人を助けて、かがみ屋を元に戻そうと姉と対峙する。
キーアイテム:白い『逢魔が時の刻印書』を手にする。しかし、真の持ち主としては黒い古書の方だった。
キーパーソン:母親の
性格:穏やか。お父さんっ子。シンクロしたりしても驚かない。育ちがお嬢様。
容姿:頭の先から足の先まで真っ黒だ。黒髪を長く伸ばして高い所でバレッタを用いポニーテールにしている。黒い瞳は艶やかで、潤んだ感じがする。泣いていないのに、泣き顔と言われがち。服は、黒いブレザーの制服で、ミニスカートにはしていない。黒タイツ。身長158センチ、体重43キロ。バスト65のCカップ。
対となる黒い古書を持つ壱流への感情:生徒会長として、過疎の高校でもがんばっている。仲間意識以外になかったが、共に難を乗り越えて、友愛を抱く。
好きな色:黒。自室の殆どを黒い家具や黒い布などで揃えている。
呼称:自身を『
台詞イメージ:「私は思うの。人の夢は人を愛することだと」
〈家族〉
神鏡宗方(かがみ・むなかた):父。老舗温泉宿かがみ
神鏡絵惟(かがみ・えい)/旧姓・柊絵惟(ひいらぎ・えい):母。元、肖像画家。婚姻後、かがみ屋女将。故人。神社の鳥居で神隠しになる。白と黒の『逢魔が時の刻印書』を合わせて光り発せられる『Vの系譜』に名を刻んでいる。神隠しのときにあるモノ(実はエルライミサ)に噛まれ、ミトコンドリアDNAの遺伝により、ヴァンパイアとなっていた。聖花を産んだ後なので、聖花自身は人間だ。母は、柊素絵(ひいらぎ・すえ)。
家紋:
⑤紫藤壱流(しどう・いちる)
【聖花を想う人・人間・男性・16歳。弱いが光属性】……明るい性格で、周りを穏やかにする高校生。
誕生日:3月3日生まれ。
ポイント:黒い『逢魔が時の刻印書』を秋河ダム記念日に父から手に入れる。だが、本当は白い古書の持ち主だった。
所属:秋河高校1年生で生徒会長。
特殊能力:シンクロに応じる。
家庭環境:母を劇的な事情で亡くしたと思っている父子家庭に育ち、父親は白黒町町長。
異性の相手役:神鏡聖花という級友がいる。とても可愛いと意識していて、共に行動し、シンクロする内に、更に好感を持つようになる。
目的:聖花を助けたいと思う。かがみ屋を元に戻したいと聖花と呼応する。
キーアイテム:白い『逢魔が時の刻印書』を手にする。しかし、真の持ち主としては黒い古書の方だった。
キーパーソン:母親の
性格:明るい。お母さんっ子。シンクロしたりしても驚かない。父の庇護に置かれるが、気にしている。
容姿:茶髪を襟足でしっかり刈っている。琥珀の瞳はドライアイで、目薬を欲する。笑顔がチャーミング。服は、黒いブレザーの制服で、パンツスタイル。身長177センチ、体重59キロ。
対となる白い古書を持つ聖花への感情:素敵なお嬢様で憧れのタイプ。共に難を乗り越えて、本当は芯の強い方だと気付き、愛情を抱く。
好きな色:白。
呼称:自身を『俺』と呼ぶ。
台詞イメージ:「聖花ちゃーん! ラブ・ラブ・ユー!」
〈家族〉
紫藤隼(しどう・はやぶさ):父。白黒町町長。ダム建設をお金に目がくらみ強行する。かがみ屋でよく接待をする。壱流に紫堂家に代々伝わる黒い『逢魔が時の刻印書』を託す。灰色の背広を着る。
紫藤最幸(しどう・さゆき)/旧姓・森最幸(もり・さゆき):母。主婦。夫の進めるダム建設に反対し、赤い屋根の倹しい小屋で亡くなる。故人。祖母は、森キイ(もり・きい)。
家紋:
◯物語構成
・全5章構成
【プロローグ~1章】
①美彩サイドの接触:夢の中で聖花と壱流に語り掛ける。獲物の為に罠を用意し、老舗旅館かがみ屋を乗っ取る。
①聖花サイドの出会い:壱流を意識し始める。聖花は壱流が黒い古書を持っていることを知る。二人がシンクロする。
◇
天は、神かつ魔で、宇宙で暇を持て余していた。エルライミサが赤い砂漠で亡くなったとき、父、ガイナの神への祈りに耳を澄まし、天に悪戯心が働く。その姿を三つ目の邪眼を持つ大蛇に変えて、エルライミサの埋葬時に、己の血にて魔の命を与えた。実母、シーニアが衝撃で妹を産むと、妹は父により同じ名のエルライミサとなる。姉妹で同姓同名になるが、姉はもうこの世のモノではなかった。
母に続き父も赤い飲み物の飲み過ぎで亡くなり、家には旅人だったのが継母として、ジャンセルが入り込む。姉妹は、名もない旅籠の労働をさせられる。姉は、逢魔が時を境に夜の赤い飲み物売りとして、明け方からは、体をウズムシのように入れ替えて、妹は、昼の赤い水汲みと、一日中の労働が強いられていた。この無限の悪行から抜ける為に、姉は、夫婦の寝室で、シーニアが悶絶しながら、壁に『吹き返したのは、神ではなく悪の命だ』と言う走り書きより、『人になるには白と黒の古書が必要で、悪を斃さなければならない』と、それらの存在を知る。家にないことが分かると、夜間の労働時間も苦にせず働き、昼間に古書とのシンクロを試みる。僅かに反応があったのは、シンクロ受容力の強い聖花とそれに呼応する壱流だった。
聖花には白で壱流には黒の『逢魔が時の刻印書』を持って来るように、赤い月を背景に逆さ蝙蝠の姿となり、夢で告げる。夢の中で聖花は、殆ど話したこともなかった壱流とシンクロする。自身を呼ぶ声に呼応するのは壱流だけで、古書など知らないと、恐ろしいモノに伝えようとして魘され、手を伸ばすが、黒いベッドのシーツを濡らすだけだった。シーツの沁みにバケモノのシルエットを感じた。これから起こる恐怖に慄く。
【2章】
②美彩サイドの日本転移と侵入:美彩姉妹と麗豊が日本に転移する。
②聖花サイドの接近:壱流と行動を共にして親しくなる。かがみ屋に転移される。一緒に古書を使用する。
◇
エルライミサは、織部美彩として、冬ツ湖から、白黒町に転移して来た。その際、妹が分離に抵抗して、不意に同時に来たとき、天は狙ってジャンセルを寄越し、織部麗豊とした。古書の持ち主に接近して行く。
神鏡聖花は鄙には稀な気品ある漆黒の美少女で、高校で同級生の色白な優等生の紫藤壱流とこの間の月夜にシンクロし出した。そんな話も言い出し難かった。父、宗方以外の男子全般が好きではなく戸惑いがあった。父娘暮らしで温泉宿かがみ屋をきりもりしていた。父は聖花に母、絵惟の話をし、車でダムの上に広がる園地に連れて行き、冬ツ湖ダムの水底に村があると知らせる。壱流も母が妊娠の身で家に留り反対したが、賛成派の父が町長にのし上がった過去を父から聞いたと聖花からしどろもどろに聞く。その姿をほくそ笑みながら美彩が見ていた。
(※1)
聖花は、かがみ屋に紫藤町長親子が宴に来ているとき、ヴァイオリンをお披露目して、接待をした。その日は、十二月十二日で十六歳の誕生日だった。父に誕生日の贈り物として、白い古書を与えられ、冒頭の詩に恐怖を抱いて倒れてしまう。かがみ屋名物の父特製山菜お蕎麦の香りで息を吹き返し、こたつで食べていたとき、青い東京スカイツリーの傍で爆弾発見のテレビ報道が刺激的で、壱流とシンクロしながら、美彩が転移する前の赤い砂漠にある名もなき旅籠の様子をまざまざと見る。冒頭にある詩の世界観と同じようだと言うことが印象的だった。夢が終わると、かがみ屋は雪景色に変わっていた。
父の宗方は、このとき、冬ツ湖の方へ飛ばされて、身動きが取れなくなる。そして、妹の美彩と麗豊も来て、かがみ屋を悪い飲み物を宴に出す店へと変貌させられた。夢の中の店になるには、あっと言う間のできごとだった。聖花は無力で、壱流は空回りをしていた。だが、今からでも立ち向かわなくては、父を助けられない。町長は、いい塩梅に赤い飲み物の虜になっていた。壱流の父も救いたい。
(※1):その実は、古書の白と黒と持ち主が逆だ。それは、父宗方の代で隼村長の白い古書と念の為入れ替えていた。黒の古書に母系遺伝の秘密、ミトコンドリアDNA遺伝の仕組み、白いのにはヴァンパイアの家系図がある。このことは、誰にも分からない。だが、連れ合いを亡くした者同士、でき得ることをしようとした。これは、お互いの妻が生きている内に夫に何かあったら子どもに託すようにと言われていた。手に入れた経路は、絵惟は、実の母、
【3章】
③美彩サイドの人食い:妹・美彩が壱流を食べる。エネルギーを得て、新しい試みをする。かがみ屋を乗っ取った後は、美彩の独断場だ。麗豊は、あわよくば、赤い飲み物で儲けたいとこそこそする。
③聖花サイドの別離:壱流と引き離される。壱流が妹の方の美彩に食べられる。壱流を失ってみて、大切な人と分かる。
◇
壱流とシンクロを始めていた聖花の力で赤い砂漠を超時空千里眼で見ていた。それは、母の力を継承している。
聖花の父、宗方は、以前赤い東京タワーの縁で、街頭テレビの前にてご成婚パレードを楽しみに語る宗方の恋する幼馴染の柊絵惟に、テレビを買い、一緒に観たときに、絵惟が豹変してヴァンパイアとなり、次の東宮ご成婚パレードまで時と空間を転移して宗方の母が老いる程の時のかがみ屋に来た。宗方の母、弘子は息子が時空を渡っても分かってくれた。
古い村で、冬ツ湖ダム予定地に行った後、絵惟は次元について、宗方と話していた。小さな子に神社の奥に誘われ、童歌と共に次元が捻じれて、陰陽勾玉の如き天に連れられて神隠しとなる。家族は、そのまま、会えなくなってしまった。転移能力は遺伝だろう。このとき、絵惟は、他の人には見えなかったが、東京タワーに身を巻いた天の邪眼によって、ヴァンパイアにされていた。
温泉宿の宴会場の前で姉の美彩が聖花と、廊下で妹の美彩は壱流と遭遇する。聖花は突如として父がいないのを心配する。シンクロして、聖花と壱流はロビーに集った。二人で古書を翳すと、『Vの系譜』がロビーにある大きな白いカンバスのような絵に浮かび上がる。代々ヴァンパイアになったモノの名前があり、聖花は、迂闊なことに母の名、『Ei』に気が付かなかった。
夕刻から継母が赤い飲み物を値を吊り上げて白黒町の炭鉱夫に売るのに嫌々ながら姉は鞭を振りながら手伝い、明けの刻にウズムシのように身を裂いて妹と入れ替わり、妹は赤い飲み物用の水を汲みに冬ツ湖へ出掛ける。まるで、『逢魔が時の刻印書』を彷彿とさせるものだった。やかましい
かがみ屋で魔の日々を聖花は姉の給仕、壱流は妹の水汲みを手伝いながら過ごす。そして、あの日が来てしまった。五日後に壱流のシンクロが弱くなり、聖花がいぶかしむ。一切コンタクトが取れなくなり、一緒にいた妹を問い詰めると、当人が食べたと分かった。聖花は憤り、妹の美彩の腹を殴ろうとするが、聖花が栄養失調で倒れてしまう。壱流は腹の中、聖花は意識を失っている。危機を乗り越えようにも、このかがみ屋はすっかり、織部一家のものとなってしまった。聖花は、シンクロしたいと心の中で壱流の名を叫ぶ。姉の美彩は、蜜の味がすると、壱流を独占した快感を表す。
【4章】
④美彩サイド:強くなり、麗豊を斃す為に、姉と妹の美彩が完全に合体し、進化系となる。力は漲り、瑞々しい感覚を覚える。だが、壱流が異物となる為に吐き出したら、分離してしまった。
④聖花サイドの再会:壱流と再び合流する。姉妹の合体を解除したことで壱流が救われる。
聖花サイドの決戦:壱流と共に最後の決戦へ向かう。鏡の攻撃。しかし、ラスボスの存在を知らない。
◇
聖花は姿の見えない父を探して妹の腹からは壱流を助けたいと一心不乱になる。温泉への廊下で、妹は、ムナカタに出会い、明るい未来を聞いたと口癖のように謳った。父は生きていると望みを持った聖花は、姉の前に立ちはだかる。姉の美彩は鞭打ちながら、絶望を教えてやった。
仕事をしないかと言いつけに駆け付けた麗豊が来たとき、『逢魔が時』が来た。夕暮れに魔が差し込み、姉の美彩が、『刻を得た』と叫ぶ。二人の美彩が『合一』と唱えると、身二つだったが一つになる。強大な力で斃し、臥した所へ吸血し、干からびさせてしまう。すると、麗豊は大蛇に身を変えて砂となり、消えた。双刻一つに合体した姉妹、
父が、男子更衣室で縛られていた。助けたいが、美彩美彩に押さえ込まれる。高笑いまでしていたが、迂闊にも脱衣所にあった全身鏡に姉妹の美彩美彩は苦しみ出した。呻き、嘆き、その様は激しかった。聖花が持っていた二冊の古書を奪って食べた美彩美彩は大人しくなる。『ヴァンパイアの夢は人になることで人の夢は人を愛することで永遠の命はない』と最終頁の内容が全身に描かれた。美彩美彩の妹が亡くなり、壱流は吐き出されるように助かった。
姉の面影一つとなる。それは母系遺伝のヴァンパイアをVの系譜に従って現在へ向かって次々に姿を変えて行く。絵惟もその一人で、一瞬現れ、『聖花』と声を掛けたように思えたが、確実に亡くなったと分かった。
エルライミサ及び美彩と聖花の名が、『ミサ』と『聖歌』を示す関係にあった。
聖花は壱流に小指を突かれて指一つ繋がった。聖花は、『二人を結び付ける白と黒の古書がなくなっても』と言うと、壱流は、『大切な人』と言う。また、冗句のように、『聖花ちゃーん! ラブ・ラブ・ユー!』と温泉にコダマさせる。
【5章】
⑥美彩サイドの結末:死んではいない。不死身だ。
⑥聖花サイドの結末:壱流と共に幸せになる。同じ境遇で、同じ体験をした者同士、意識が上がり、生徒会に聖花が顔を出すようになる。
◇
村を沈めた冬ツ湖ダムを聖花と壱流は園地から見に行った。不思議なことに、もう真夏になっていた。水底の壱流の母と神隠しに遭った聖花の母は今どうしているだろうか。母二人からたまゆらを感じ取った。最幸と絵惟は、本当に亡くなってしまったのだろうか。夢にまで見た石鹸の香りを感じ取ると、もう一度、母に会える気がした。
その後、同じ境遇で、同じ体験をした者同士、生徒会に聖花が顔を出すようになる。壱流は、ヴァイオリンお嬢様と思わないようになった。かがみ屋は、通常営業となる。
美彩のメッセージとして、『夢は人になること』と記される。
◇
*ここで解決します。
2巻の引きとして冬ツ湖ダムに沈められた村で蠢く影が見えます。名残り惜しくもダムを去るが、二人の見た影が、美彩によく似ていた。美彩は、まだ霊体のある天の力により、復活する。これからは、現代戦ではなく、過去戦となり、昔の白村と黒村に潜んだ『飛縁魔』となる。そして、絵惟をヴァンパイアにするなどを引き起こす。
◇以上・プロット◇
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