第80話 ジャンルにおける書き分け

 ときどき言われるのですが、


「それぞれで文章が違いますね」


 自分ではわりと「なるべくしてなった」と、思っているんですけどね。


「だれに向けて、何を言いたいのか?」


 それを強く意識していれば、自然となるようになる! って。


 そこにはかつてコンテスト(落選)でいただいた選評も関係しています。


 ターゲットを意識すること。

 何を売りにするかを意識すること。


 要するに、読者層を考えるということですね。


 この「どうでも」なら、「個人の意見です!」とはいっても、ライトなそれですから。

 当たり障りなく、さらりと読める、感じのいい表現、文体で。


 時代劇では読者層を高めに設定しています。

 難しい漢字、言葉遣い、それで表現するのも、大人に向けてならそれのほうがいいと。

 ただし、あくまでも時代劇なので、ある意味でのファンタジーは込めて「それらしさ」をこそ追求しますけどね。

 何となく、江戸時代っぽいという。

 当時の言葉遣いですべて表そうとしても、勉強不足以前にそれが正しいかどうかも分からない。まして、読者に通じるかも分からない。時代小説、歴史小説が好きな方は年齢層にも、その知識にも幅がありますしね。「それ」を説明することに紙面を割かなければいけないのもマイナスになるでしょう。


 現代小説でファンタジー要素少ないなら「共感」を考えるかなあ。

 例えば、スマホ。

 私の世代ではスマホが普及して一気にそればかりになったことに戸惑うばかりですけど、今の中学生以下なら物心ついた時からそれがあり、それと共に過ごすのも日常でしょう?

 それは意識せざるを得ないですよね。

 文章についても、その意味で「共感を呼ぶ」というのは意識しています。

 時代が違うとか、私のときはこうだったと言っても、それのほうが「はあ?」と言われて、通じるわけがない。そんな押しつけはしないようにとか。


 いまだに異世界ファンタジー、その一人称は慣れず、中高生向けのそれはどういうのがいいかと模索するばかり。

 戸惑いながら書いているのが文章にも表れるかもしれません。


 「児童小説」にいまだ悩む、締め切りまで二週間を切った今日この頃。


 今回のコンテストでは明らかに、15歳以下と規定されていますよね?

 そう考えると……。


 昔話なら、読み聞かせを意識して、読むのは大人だろうけど、聞くのは子どもだろうと、ちょっとその意味では特殊な感じ。

 メッセージは内包して淡々と描きつつ、ただ読むだけでも面白く、単純にワクワクするように。言葉として口から出した時のリズムも考えます。そもそも「昔話」だから、現代とは違うのは当然で、それだからこそのおもしろさもありますし。


 児童向けもその感じでいいんでしょうけど、昔話とは違うジャンルなら?


 少年漫画を例にすればわかりますけど、「世界はそんなに真っすぐじゃない」「単純じゃない」って思うけれど、そのストレートな描き方が心に響くこともしばしば。

 表現や漢字だって、児童の理解できるものにしないといけないでしょう。

 そこはもちろん、時代劇を描くのとは違う。大人向けのエロティシズム漂う現代劇とも違うし、高校生向けの共感を得てもらうような青春群像劇とも違う。


 さて、どうしましょうか?


「ごちゃごちゃ言わず、書いてみろ!」


 結論はやっぱり、いつも通りですか。


 そんなどうでもいい話。

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