法へ / 利根角成 作

名古屋市立大学文藝部

法へ / 利根角成 作

紙一重


呪いとまじないは紙一重


呪いは負のエネルギー

呪《まじな》いは正のエネルギー


読み方ちがえど

根本は同じ

強く願う力


愛すべき法の

闇を知る


憎しむべき法の

信念を見る


私が法に抱くのは

強く闇深い負の感情か

強く感慨深い正の感情か

どちらであるのだろうか


呪いとまじないは紙一重













期待と愛情


期待は双務

裏切られしとき

憤慨し取り立て

拒絶する


愛情は片務へんむ

打ち砕かれしとき

傾聴し向き合い

受容する


嗚呼ああ私が抱くは期待

信念と違えば

心を閉ざす


嗚呼あなたが抱くは愛情

信念と違えど

向き合い続ける
















信念


その胸に咲くは向日葵ひまわり

花言葉がごとく

あなただけを見つめている


弱さには目を閉じず

ただひたすらにあなたを見ている


その胸に咲くは菊の花

秋霜しゅうそう烈日れつじつがごとく

厳しい目つきで見つめている


弱さには目を閉じず

ただひたすらにあなたに突きつける


その胸に光るは鏡

何者にも染まらず

公正という名の天秤を掲げる


弱さには目を閉じず

ただひたすらにあなたを導く



先に待つのが絶望でも

彼らは立ち続ける

あなたのために


胸に輝く信念を抱いて

昨日も今日も明日も





昨日、今日、明日あす


法を学びしとき

人探すは昨日

過去の先例に学び

そこに充足を覚える


法を使いしとき

人こなすは今日

経験を積み重ね

そこに安寧を感じる


ただ人は明日を見ない


過去を詰め込み

現在に当てはめど

未来を見ない


法に向き合いしとき

私が考えるは明日

可能性を広げることで

そこに希望を見出す













法へ


法に抱くは期待

裏切られしとき

拒絶し心を閉ざす


過去を盲信し

現在に充足していた罪


受けるべき罰

懲役3年罰金300万円

社会科学の象牙の塔へ


人が嘲笑しようとも

法の明日を求め向かう


呪いをまじないへと昇華すべく

絶望に目を閉じず

ただひたすらに深淵に向き合う


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