第42話 死闘~ 阿古谷 唯 VS 兎
15時20分。各エリアで一人一殺の死闘が始まった。
♢
兎は阿古谷を鉤爪で切り裂こうと、左腕を大きく振って突っ込んできた。
阿古谷はそれを避け、兎の顔面を素早く殴り掛かった。
「はっ!」
スカッ‥‥
兎は俊敏に頭を下げ阿古谷の打撃をかわして、間合いをとった。
「よくかわしたね。今度はこっちからいくよ」
阿古谷はウインドブレーカーのチャックを全開にし、真っすぐ走って兎の間合いに入り込んだ。
兎は体勢を低くし、阿古谷の腹部を鉤爪で串刺しにしようと下から振り上げた。
シュンッ
阿古谷は兎の視界から消え、攻撃をきれいに回避した。兎は腕を伸ばしたままの体勢だ。素早く兎の左サイドの死角に移動し兎が振り向こうとしたその時、左頬に強烈な上段突きを食らわせた。
「おらぁぁぁぁあっ!!」
ボォゴォォォッ! 鈍い音がした。
「フゥキゥゥゥゥッ」
兎はその威力に飛ばされたが、右脚で踏み留まった。
「まだまだぁ!」
阿古谷は兎に体勢を整える隙を与えず、大砲のような飛び
バァゴォッ!
「キィィィィィ」
兎は阿古谷の膝蹴りを右肘で防御したが、膝の威力に負けて弾かれた。上半身が反れ大きな隙が生まれた。
阿古谷は即座に体勢を低くし、右手の掌を軽く兎に向け、左手はぐっと握りながら、
「くらえぇっ」
ドゴォン!(右掌で兎の
バゴォッ!(左拳で腹部へ中段突き)
「キィィィエェェッ」
兎は苦しむような奇声を発した。目に見えないほどの瞬足な阿古谷の追撃は続く。
ドガンッ、ドガンッ、(2段蹴り)
ドォゴ、ドォゴ、ドォゴ、ドォゴ、ドォゴ、ドォゴ、(多連続突き) 兎が大きく怯んでる間に、頭の位置までジャンプして、
「はぁぁぁあっ!」
バァゴォォォォォォンッ!!(顔面に飛び回し蹴り)
「フキャアァァァァァァッ!」
兎は勢いよく吹っ飛ばされた。
ガシャガシャアァァァンン!
100円ショップコーナーの棚に激しく激突し、弾かれたピンポン玉のように別の棚にもぶつかりながら転がっていった。
阿古谷は兎が転がっていったところまで近づいた。
(!?)
そこには兎の姿がない。
「兎野郎どこに消‥‥」
背後に黒い気配を感じた。
タ、タ、タ、タ、タ、、シャンッ!!
兎は素早い動きで阿古谷の背後に回り込み鉤爪を振るってきた。
「うっ」
阿古谷は腰のあたりを切り裂かれ、ウインドブレーカーの丈部分も破かれた。インナーの白いシャツが血で少し赤く滲んだ。
「
阿古谷は腰に手を当てながら兎に視線を向けたが、また目の前から消えた。
「どこに行きやがった‥‥」
辺りを見渡して、天井に視線を移したその時、
(ひゅーーーん) シャンッ!
兎が飛んできた。首を
シュパッ!
「くっ」
阿古谷は反射的に上半身を逸らし避けたが、
兎は着地した後、素早い動きで振り向き大きくジャンプした。阿古谷は兎を目で追う。
ぴょーーーーーんっ
兎は天井まで大きく飛び跳ねた。両脚を天井につけて蹴り上げ、まるでロケットように両手の鉤爪をまっすぐ伸ばして頭上から阿古谷に向かって飛んできたのだ。
(ひゅーーーん) バキバキッ、メキメキメキメキッ!!
空気を切るような音とともに、両手の鉤爪が床にめり込んだ。
「く‥‥」
阿古谷はバク転して避けた。
兎は床に両手をめり込ませた状態から腕力をバネにして飛び掛かった。
(ひゅーーーん) シャーーンッ!! バキッ、メキメキッ!
ぐるんぐるんと2回転しながら鉤爪を大きく振るってきた。また空気を切りながら床にめり込ませた。兎はぴたっと動きを止めた。
シュパァァァッ‥‥‥、
「あっ…」
阿古谷の右肩が切り裂かれたのだ。ウインドブレーカーも右肩からファスナーにかけて斜めに割かている。左手で傷を押さえる。掌に目をやると血が付着していた。
(こいつ、急に動きが尋常じゃないくらい早くなった‥‥。最初とまるで動きが違う‥‥)
「はぁ、はぁ、はぁ‥‥」
阿古谷の呼吸が荒くなる。
「フシュゥゥゥゥゥゥ‥‥‥」
兎は呼吸を整えるようにゆっくりと立ち上がった。阿古谷の次の出方を待っているかのようにじっと顔を向けている。
阿古谷も構え直す。切り裂き傷など気にしている場合ではなかった。
「なに余裕ぶっこいてんのよ。そんな暇ないっつーの!」
重心を大きく下げて音速の如く突っ込んでいった。
シャアァァァァン!
兎は鉤爪を大きく横から振るってきたが、阿古谷は力強く床を蹴り上げジャンプしてかわした。体を横にひねり風車のように回転しながら4段蹴りを放った。
「はぁぁぁあっ!」
ドガァッ、ドガァッ、ドガァッ
兎は3発の蹴りを両腕でうまく防いだが、
ドガァッ!!
最後の4発目の蹴りが脳天にヒットした。
兎は阿古谷の凄まじい空中での連続回転蹴りを全て防御することが出来なかった。兎のような化け物に攻撃が通用するほど阿古谷の武術レベルは高いのだ。
「フキゥゥゥゥッ」
阿古谷はうまく着地し、怯んでる兎に猛攻する。
ドォッ、ドォッ(上段突き、中段突き)
「キィィィ」兎は奇声を漏らしながら後退りした。
阿古谷はさらに勢いよく兎に飛びつき首に手を掛け、
ドガッ、ドガァ!(2段飛び膝蹴り)
兎はさらに後退り
「おりゃあああああっ!!」
バッゴォォォォンッ!!
阿古谷は体を半回転させ、その遠心力から強烈な
「イギャァァァァアアアッ!」
兎はまるでショットガンで撃たれたゾンビのように吹っ飛ばされた。後頭部から床に落ちて勢いよく転がっていき、とぐち書店側の大きな支柱に激突した。そのまま床に這いつくばって動かない。
「はぁ、はぁ、はぁ‥‥、あんたはもう立てないよ。そのまま寝てな。トドメだけは刺してあげる」
阿古谷は膝に手をついて乱れた呼吸を整える。遠目から床に這いつくばった兎を数秒眺めた。やはり動き出す気配はない。ゆっくり兎に近づいていったその時、
むくむく、むくむく‥‥‥‥、、
兎が動き出した。その光景を見た阿古谷は足をぴたっと止める。
「チッ、あいつまだ動けんのかよ。しつこいなぁ」
しかし、何か様子がおかしい。
兎は立ち上がろうとしない。両手両足を床に付けている。腰を落としてまるで犬でいうお座りの姿勢だ。
阿古谷は目を細めながら兎を観察した。
その時、地面を何かで打ち付けるかのような重たい音が聞こえ始めた。下の階からはマシンガンの連射音も聞こえている。
ダン‥‥‥‥‥、ダン‥‥‥‥‥、ダン‥‥‥‥‥、ダン‥‥‥‥‥、、、
振動が足の裏にまで伝わってくる。
「え、なに!?」
ダン‥‥‥‥‥‥‥、ダン‥‥‥‥‥‥‥、ダン‥‥‥‥‥‥‥、、、
兎は両足を床に叩きつけ踏み鳴らしているではないか。
ウサギという動物は、普段はおとなしい動物だが警戒心や縄張り意識が非常に強く、犬や猫のように鳴くことをしないため感情を行動で繊細に伝える習性がある。
特に怒った時は、後ろ足をダンッと踏み鳴らすスタンピングという自己主張行動をすることがある。『足ダン』とも言われる。自分の要求が満足いかない時や、警戒して仲間に危険を知らせたり威嚇したりする時にそのような行動をとる。
阿古谷の猛攻を受けたことで、ウサギの遺伝子が組み合わされて創られた人造人間は怒りの感情を露わにし、阿古谷を威嚇するためその習性が発動したのだ。
「フゥゥゥゥゥゥゥゥゥ‥‥‥」
兎は大きな呼吸をマスクから漏らし、動きを止めて数秒後
ダァアンッ!!
思いっきり床を踏み鳴らしたその時、
シャキンッ!
両足のつま先から3本づつ鉤爪が突き出した。
兎は黒い革靴のようなブーツを履いており、鉤爪はブーツを突き破り飛び出した。両手10本の鉤爪に加え6本の鉤爪を装備したということだ。
そして兎は、両手両脚で床を蹴りながら勢いよくこちらに向かってきた。まるで見た目は巨大な犬のようだ。兎の第2形態だ。
ぴょーん、ぴょん、ぴょーん、ぴょん
「シャアァァァァ!!」 シャンッ!
「!? はやいっ…」
兎は鉤爪を振るってきた。
その速さは2足歩行の時と比べ物にならないくらい速い。阿古谷は避けることが出来ず両腕で防御した。
「くっ、あぁっ」
阿古谷は兎に腕を掴まれた。
鉤爪の刃が腕に食い込む。兎は掴んだ腕で押し出し、阿古谷が大きく後退りした次の瞬間、
ぴょーーーん。バゴォォォ!!
兎はジャンプしながら両足で飛び蹴りを放ち、阿古谷は吹っ飛ばされた。
「あぁっ!」
ガシャアァァァァァンッ、ガラガラガラガラ‥‥
阿古谷は100円ショップコーナーの食器棚に衝突し、棚と一緒に倒れた。食器やコップは耳障りな音を立てながら散らばった。その破片で手や足、
「く、う‥‥、ふざけ、やがって…、うっ」
阿古谷は立ち上がったが、額からは一筋の血が垂れている。
ぴょーん、ぴょん、ぴょーん、ぴょん、
兎は16本の鉤爪で襲い掛かる。阿古谷は床に物が散らばって足場が悪いので通路側に走り、兎と距離を取ろうとした。
兎は阿古谷を目で追いながら高く飛び跳ねた。ぴょーーーーーん。バク宙し阿古谷の頭上へ。両足から突き出した6本の鉤爪を向けて脚を伸ばしてきた。
シャキィィッ!
「うっ!」
阿古谷は背中を両足の鉤爪で引っ搔かれた。
縦に破かれたウィンドブレーカーに血が滲んだ。よろけた阿古谷に兎は追撃する。
シャンッ、シャンッ、シャキン!
兎は2足歩行へ体勢を変え、両腕を振るってくる。
「うっ」
阿古谷が背中の痛みを我慢しながら回避したその時、
シャキンッ!!
髪を後ろに束ねていた茶色のハンズクリップが、兎の鉤爪に当たり飛んでいった。絹のような艶のあるラベンダーベージュの髪は乱れたが、右手でかきあげた。
「やぁあぁぁ!」
阿古谷は兎が鉤爪を振るってきたのを弾き返し、顔面に向かってハイキックを打ち放った。
シュバッ
兎は素早く4足体勢に変え、阿古谷のキックは避けられて大きな隙ができてしまった。
その瞬間兎は鉤爪で突き刺そうと腕を伸ばしてきた。
「うあぁっ」
阿古谷は反射的にかわそうとしたが、左肩をかすめて斬られてしまった。
「キィエェェェッ!」
そして、目をはっきり開いた時には兎が飛び込んできて押し倒され、阿古谷に覆いかぶさった。
両手の鉤爪が阿古谷の顔面を貫こうとしている。ズキズキと背中に痛みが走る。歯を食いしばりながら兎の腕を両手で掴んで防御する。阿古谷の目に今にも鉤爪が突き刺さりそうだ。お互いの腕が、ぷるぷると小刻みに震えている。
「キィィィー」兎は腕を押し込もうとする。
「くっ、くぅ、こんの野郎ぉ!」
阿古谷は力負けしそうになっていたが、右脚で思いっきり腹部を蹴り上げ、兎は後退りしていった。
阿古谷は直ぐに首の力で跳ね起きた。
「はぁぁぁぁぁあ!!」
そのまま兎に向かっていき、凄まじい攻防が始まった。
ドガァッ、ドガァッ、ドガァッ、ドガァッ、ドガァッ、(多連続突き)
パシッ、パシッ、パシッ、パシッ、パシッ、
兎は全て腕で払いのけた。
「はぁあ!」 シュンッ!
阿古谷は姿勢を低くして遠心力を利用し、2足立ちしている兎の両脚を、左脚で
「ウギィィィ」
横転し腰を打ちつけた兎に、右脚を天井に向け高く上げ強烈な
ドゴォォ!!
床に衝撃音が走ったが、兎は後転して飛び起きて避けた。
「チッ」阿古谷は舌打ちをした。
兎はまた4足体勢に変えて、両脚をバネにしロケットランチャーのように勢いよく突っ込んできた。
シャァーンッ!!
左腕を大きく振るってきたが、阿古谷は横にずれて回避した。
兎は横を通り過ぎていった。その動きは確かに目で捉えるのが難しいほどに高速だったが、阿古谷の目にはゆっくりに見えた。
「ふっ、あんたがどんなに早くてもそんな一方的な攻撃、余裕で避‥‥」(!?)
グサァアッ!!
「‥‥あっ!」
阿古谷は左胸に激痛が走った。
兎は両腕を床についたまま、左脚をぐいっと伸ばしてきたのだ。
プシャァ‥‥! 目の前に血が噴き出し足元が赤く染まった。伸ばしている兎の左脚にも血がかかった。
「ぐはっ、あ」
阿古谷の左胸の鎖骨辺りに兎の左脚の鉤爪が1本貫通している。背中から鉤爪が突き出しているではないか。左肺に血が溜まったのか
「く、こ、この‥‥」
阿古谷は兎の左脚に手を掛けた。
とその時、
バゴォォンッ!! 兎はもう片方の脚で阿古谷を蹴り飛ばした。
「あぁぁ!」
阿古谷は吹っ飛ばされ貫通した鉤爪は勢いよく抜けた。ごろごろと横転して床にうつ伏せになり、そのまま動けなくなってしまった。
兎はゆっくりと立ち上がりぴたっと動きを止めた。どうトドメを刺すか思考しているのかもしれない。
「く、くぅ‥‥」
阿古谷は起き上がろうと僅かな力で両手を床についた。腕がぷるぷる震えている。
ゲホォッ、ゲホォッ、ゲホッ‥‥‥、
(痛い‥‥、こんな痛みは初めて。急所は外れてはいるけど出血がひどい‥‥、頭がぼーっとしてきた。うちは負けるのか。こんなクソ化け物に‥‥)そう思いながら右手で穴の開いた傷口を抑えた。呼吸するとヒュウ、ヒュウッと良くない音がする。息が苦しい。
「キィィーキッキッキッキッキッ‥‥」
兎は笑っている。肩を揺らして笑っているのだ。自分の有利な状況にマスクの下で歓笑という感情が芽生えている。
「う、う、はぁ‥‥、はぁ‥‥」
阿古谷はどうにか立ち上がったが呼吸が激しく乱れている。肩を大きく上下に揺らす。全身傷だらけ血だらけだ。立っているのもやっとだった。
兎は右腕を上に向け、ぱっと掌を広げてゆっくりと向かってきた。鉤爪がさらに鋭く見えた。
阿古谷は視界がぼやけてきた。あと一発攻撃を食らえば死は免れないと悟った。
その時、父の声が阿古谷の頭を過った。
それは、阿古谷がまだ剛葉流武道見習いの13歳の頃、父から教わった言葉だった。
『唯よ。掌というのは最大の刃物と化すことがあるんだよ。どんな刃物よりも鋭く、どんな獣や化け物をも殺せる剛葉流唯一の殺人拳。それは、手刀拳、という技だ。阿古谷家の遠い御先祖様がお偉いさんの護衛のために悪人に対して使っていたとされている。私も人生で一度しか使ったことは無いが、今はもう禁術だ。今後剛葉流継承のお前には一度だけ教えておくが決して使ってはならぬ。どうしても使わないといけない時とは、自分の命が危険に晒されている時だけだが、剛葉流の前ではそんな状況にはならぬよ。覚えておきなさい。いいね」
そう言った父が、スパッと老木を一瞬にして切り倒した時の記憶がフラッシュバックした。
年に一度だけ手刀拳の稽古日というものを設けてはいるが、阿古谷は動く相手に対して使ったことは無かった。もちろん禁術となっている故だが。
兎は数歩歩いたら、突如走り出した。
弱った阿古谷に鋭い鉤爪を向けて、猛烈なスピードで向かってくる。兎もトドメを刺すつもりなのだ。
(御父様‥‥。申し訳ございません。あれを使わせてください。約束を破ることになると重々承知です。これしかヤツを倒す方法がありません。禁術に頼る日が来るなんて恥ずべきことです。しかし、どうか、お許しください‥‥‥)
阿古谷は心でそう呟いた。この状況を命の危険と判断したのだ。
成功するかもわからない。肝心なのはどっちが先に攻撃を当てるかだ。もし兎の攻撃を先に食らった場合、阿古谷の命は尽きるだろう。
阿古谷は構えた。いつもの構えではない。残された僅かな力で重心を少し落とし、右手の掌を鏡のように自分の顔に向けている。全身の力を抜いたような脱力した構えである。左手は貫かれた胸部の痛みで動かすことができず、だらんっと下げている。
「‥‥来い‥‥‥化け物」
阿古谷は目をかっと見開いた。この一撃必殺の禁術に全てを賭けたと同時に、死を覚悟した。
ひゅーーーーーーーーーーんっ
兎は凄まじいスピードで刃を向けて走ってくる。もう阿古谷との距離は数メートル。兎は大きく腕を振り上げた。
「シャアァァァァァァァァァァァァァァァァァアアアァ!!」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!」
—————手刀拳‥‥‥
シュパァーーーーーーッ!
ブシャーーーーーーーーーーーーーー!!!
天井に向かって血が噴水のように吹き出した。
ごろんごろんごろん‥‥‥、ドッ、ドサッ‥‥‥。
阿古谷は両膝をついた。
すぐ後ろには、兎の首から下の胴体が横たわっている。さらに数メートル後ろには兎の頭が転がっており、血がドボドボと流れ出ている。
兎は即死だった。
阿古谷は、兎の鉤爪で切り裂かれるゼロコンマ数秒のところで、兎の首を掌で刎ね殺したのだ。
阿古谷はふと天井に目を向けた。もう体のどこにも力が入らない。視界がぼやけてくる。痛みとともに意識が遠のいていく。
「はぁ、はぁ‥‥、勝った‥‥、勝ったよ‥‥。御父様。み、みんな‥‥。く、あぁ…」
阿古谷は右手で左胸を押さえながら、ばたりと倒れた。
(あんなヤツに苦戦した。修業が足りないや。ごめん、、、なさい)
ゆっくりと目を閉じていった。全身傷だらけで、血を流しながら最後の最後まで2m越えの化け物に立ち向かったのだった。
第43話へ続く・・・。
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