ナニかと遭遇
黙々と道を進む二人。
そこで、ブルーは気になっていたことをローズに問いかけた。
「ねぇ 」
「ん?」
「ここは、なに?」
要領の得ない問いかけに、ローズは首をかしげた。しかし、合点がいったのか、ああと声をあげて応える。
「まぁ、庭園なのに森の中歩いたりすっごい長い橋があったり、変な植物あったりすれば気になるよな。ボクたちには今更なことだから気づかなかった。」
ローズのいった通り、庭園の小道はいつの間にか森の中を通り、遠くには見たこともないほど長い橋が見えている。加えて、見たことない大きさの花や宝石のような樹木、触れたら溶ける花びらなど、不思議なものがたくさんあった。
しかし、森の向こうには同じく花が咲き誇り、先程二人が居た庭園と異なるものが複数存在するのが分かる。果てがなく、広大な花園に無理やり森や庭園を入れたような違和感が生まれた。
「…でも、説明できても理解できないんだ。だからしないよ、ごめんな。」
「……」
「あ、バカにしてるんじゃないぞ!?君は理解しちゃダメだから…」
黙り込むブルーに気を悪くさせたのだと勘違いしたローズは慌てて弁明を図る。しかし、ブルーが視線を一点に集中してるのに気づき、やめた。
ブルーの視線は一点に集中しているのではなく、離すことができなかったのだ。
「──息を止めて」
「っ…」
先程の慌てた様子から一変、ローズは冷えた声音でブルーに指示をした。ブルーは気圧されながらもその指示に従う。そうしないとダメだと言う確信があったからだ。
途端、とてつもない異臭が辺りに充満する。
──べちゃ、べちょぉっ…!
皮膚が溶けたようにずる向け、這いずるように動く人型のソレ。ソレが現れた方向には、おびただしい赤黒く粘着のある液体が飛び散り、美しい植物を汚していた。
そして、ソレの周りの植物は液体がついた瞬間、ソレが触った瞬間に黒ずみ、ヘドロのように溶ける。
─ぐるん
ローズとブルーの方へ振り向いたソレ。
人であれば存在するはずの顔は、判別つかないほどに醜く朽ちている。そして、二つの穴から赤黒い涙を流しながら、腐ってしまった眼球を覗かせていた。
そう、ブルーが見ていたのは、生物の枠組みにいれるのも憚れるほどおぞましいナニかであった。
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