最終章

314:最終章

「強いゴブリンがいったぞ!」


 戦場を怒号が駆け巡る。


 前線都市にいる冒険者の数は、およそ100人程度。その全員が精鋭といっても過言ではないほどの強さを持っている。そんな精鋭たちがゴブリンに多少なりとも押されている状況が続いている。


「この! ゴブリンのくせに!」


 そういって、痺れを切らし前に出た冒険者が、遠くより放たれた弓によって傷を負い戦線を離脱する。その間に何体もゴブリンを倒しているので、倒した数では圧倒的にこちらが勝っている。


「何体ゴブリンがいるんだ!」


 圧倒的な数の差がある、人間とゴブリン。そして何より、ゴブリンが持っている武器の質が明らかに高い。通常のゴブリンが持つのは、棍棒や、錆びた剣。武器が一級品になるだけで、これだけ最弱と呼ばれているゴブリンが脅威になるとは考えていなかった。


 そして僅かばかり、ゴブリン同士が連携して戦う。


数でも負け。


武器でも負け。


 辛うじて質では勝るものの、一人、また一人と戦線を離脱する冒険者が増えるたびに、戦場は厳しいものに変わっていく。

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