315
「ランチェスターの戦略ですか?」
「ああ、弱者の戦略ともいう」
数日前の、王都の会話を思い出す。一騎打ちの場合、同じ武器を持った状態で戦った場合、人数が多いほうが勝つといった戦略だ。今回に関していうと少し状況が違うが、要は人数が多いほうが勝つ。ということ。
加えていえば、冒険者は数名のチームで戦うことはあっても、100人規模での集団戦はしない。言ってしまえば100回の一騎打ちが成立する状況ともいえる。
今回、用意したゴブリンは300体。3体で一組のチームを100組作った。複数人で一人の冒険者を優先して狙い、少しずつ戦力を削る。
「あ、やられた」
今、目の前で3体一組のチームがやられる。どうしても知能の低いゴブリンだと時折、連携を忘れたり、一人だけ別の冒険者に飛び掛かったりと、ミスが起きる。そのたびに、ゴブリンが削られていく。
(それでも格上相手に、よく戦えている)
ドヴェルグに作って貰った剣は、人間の剣に勝っているのではないかと思うほど、よく切れる。武器を新調しただけで、これだけ戦えるのは驚きだ。加えて言えば思ったより知能の低いゴブリンが連携を取れている。
「ぎゃぎゃ!」
それも、あのゴブリンのおかげか。確か、あのゴブリンはボスが指名した、知能の低いゴブリンをまとめる役だったはず。今の手薄になったところに、新しいゴブリンのチームを投入して戦線を立て直す。
「流石、王か……ゴブリンの才能すら見抜くとは……」
改めて、王の凄さを思い知る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます